07 祖神を詠める和歌
 
                       参考:吉川弘文館発行「古事類苑」
 
△氏神(平氏神)
おひのぼるひらのゝの松はふく風の おとにきくだに涼しかりけり(清輔朝臣集 祝)
 
△同(源氏神)
おひしげれひらのゝのはらのあや杉よ こきむらさきにたちかさぬべく
                        (拾遺和歌集 十神楽 もとすけ)
 
△同(渡会氏神)
松風や小事の磐屋古てだに もらぬ時雨の音のみぞする
                        (詠大神宮二所神祇百種和歌 冬)
 
△同(丹波氏神)
おほ江山むかしのあとのたえせぬは あまてる神もあはれとやみん
                    (夫木和歌抄 三十四神祇 丹波忠茂朝臣)
 
△同(以産土神称氏神)
二葉よりおひ立影に行すゑの 千代をも契るはま松の風(大猷公御上洛中の詠歌)
 
たらちねのそふの社にもうでつゝ 猶あらためていのる行すゑ(同)
 
△同(氏神祭日)
神まつる卯月の榊とりそへて 梅の宮居にたつるみてぐら(年中行事歌合 秀長朝臣)
 
△同(氏神詣)
大原や小塩の松もけふこそは 神世のこともおもひいづらめ(伊勢物語 下)
 
おほはらや小塩の山もけふこそは 神世のことも思いづらめ
                     (古今和歌集 十七雑 なりひらの朝臣)
 
△同(別立氏神)
きさらぎやけふ神まつる小塩山 はやかげそへよ花のしらゆふ
                          (年中行事歌合 経賢僧都)
 
△同(氏人)
おほはらの神もしるらん我こひは けふ氏人のこゝろやらなむ
                     (拾遺和歌集 十恋 一條摂政藤原伊尹)
 
千とせまでかけてぞまもる氏人の かみへといます君のたまづさ(春日権現験記 三)
 
杉村にしめ引かけてうぢ人の ひかるばかりにみがく玉がき(永久四年百首 雑 顕伸)
 
榊とるやそうぢ人の袖の上に 神代をかけて残る月影
                     (続後撰和歌集 九神祇 土御門院御製)
 
うぢ人のまとゐるけふはかすがのゝ 松にも藤の花ぞさくらし(空穂物語 梅の花笠)
 
△氏神
ふたかたに我うぢがみをいのる哉 このてがしはのひらでちゝきて(相模集)
 
世世ヨヨの祖オヤのみかげ忘るな代代ヨヨの祖オヤは おのが氏神おのが家の神
                               (玉鉾百首解 下)
 
△産土神ウブスナガミ(産土神詣)
垂乳根のそふの社にまうでつゝ 今あらためて祈る誓ひは(大猷院殿御宝紀附録 六)
 
ちはやぶる神の社をたづねつゝ けふのためてふいのりをぞする(兼盛集)
 
かしこまるゑでになみだのかゝるかな 又いつかはと思ふあはれに
                      (夫木和歌抄 三十四神祇 西行上人)
 
△鎮守神(寺院鎮守神)
ふる雪に軒端の竹も埋れて 友こそなけれ冬のやまざと
                        (千載和歌集 六冬 読人しらず)
 
きたのみねふかきみのりをあふぐかな 神は日吉のかげをならべて
                    (夫木和歌抄 三十四神祇 正三位能清卿)
 
からふねに法まもりにとこしかひは ありけるものをこゝのとまりに
                             (古今著聞集 一神祇)
 
△同(大地主神)
たのめつゝこぬ年月をかさぬれば くちせぬ契いかゞたのまん
                           (新拾遺和歌集 十六神祇)
 
△同(寺院地主神)
つらければつらしといひつつらからで 頼むとならば我もたのまん
                            (玉葉和歌集 二十神祇)
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