06 神前にて詠める和歌
参考:吉川弘文館発行「古事類苑」
△神託(宇佐八幡宮)
世中のうさには神もなきものを なにいのるらんこゝろつくしに
(平家物語 八 宇佐行幸の事)
△同(三井寺鎮守新羅明神)
からふねに法まもりにとこしかひは ありけるものをこゝのとまりに
(古今著聞集 一神祇)
△同(賀茂神社上社)
さくらばなかもの川風うらむなよ ちるをばえこそとゞめざりけれ
(平家物語 一 しゝのたにの事)
△同(山王大師)
たひらかに花さくやども年ふれば にしへかたぶく月とこそみれ
(平家物語 七 平家三文へのれんしょの事)
△社格
あまつ神国つ社とわかれても まことをうくる道はかはらじ
(風雅和歌集 十九神祇 後西園寺入道前太政大臣)
あまつ神国つやしろをいはひてぞ わがあし原の国は治まる(同 後宇多院御製)
△同(安芸一宮)
波の音を心にかけてあかすかな とまもる月の影を友とて
(玉葉和歌集 八旅 西行法師)
△同(伊予国大山祇神社)
天河苗代水にせきくだせ 天降ます神ならば神(金葉和歌集 十雑 能因法師)
△同
名草山とるやさかきのつきもせず 神わざしげき日のくまの宮
(風雅和歌集 十九神祇 紀俊文朝臣)
△社祠(斎館)
忘めやあふひを草に引結び かりねの野べの露の曙(新古今和歌集 三夏 式子内親王)
卯花の垣ねならねどほとゝぎす 月のかつらのかげになくなり(同 前中納言匡房)
△同(神館)
千早振賀茂のみづがき年を経て 幾世のけふにあふひ成らん
(新続古今和歌集 三夏 前中納言定家)
△同(千木)
かたそぎの行あはぬまよりもる月を さえぬ霜とや神はみるらん
(住吉社歌合 修範朝臣)
ゆきもあはぬちぎのかたそぎもる月を しもとや神のおもひますらん(同 平経正)
我恋はちぎのかたそぎかたくのみ 行あはで年のつもりぬる哉
(新古今和歌集 十二恋 大炊御門右大臣)
夜や寒き衣やうすきかたそぎの 行合の間より霜や置らん(同 十九神祇)
久方のあまの露しもいくよへぬ みもすそ川のちぎのかたそぎ(後鳥羽院御集)
あまくだる神やねがひをみつしほの 湊にちかきちぎのかたそぎ
(玉葉和歌集 二十神祇 中原師光朝臣)
△同(瑞籬)
瑞籬にふるはつ雪を白妙の ゆふしでかくと思ひけるかな
(玉葉和歌集 二十神祇 増基法師)
ちはやぶる神のいがきにはふくずも 秋にはあへずうつろひにけり
(古今和歌集 五秋 つらゆき)
△同(玉垣)
雲はらふあらしのみがく月にまた 光をそふるあけの玉垣(住吉社歌合 堀川)
玉がきはあけの緑も埋れて 雪おもしろき松尾の山(山家和歌集 上)
神まつるゆふしでかくる榊葉の さかえやまさん宮の玉がき(後鳥羽院集)
ちはやぶるあけの玉がき神さびて 榊葉ごとになびく夕風(同)
△社祠
ちはやぶる神の社ヤシロし無かりせば 春日カスガの野辺に粟まかましを(萬葉集 三雑歌)
わぎもこにまたもあはんとちはやぶる 神の社をのまめ日はなし
(同 十一古今相聞往来歌)
うなゐごがかきねにいはふをやしろも おもふことだにならばたのまん
(夫木和歌抄 三十四神祇 上西門院兵衛)
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