第六十二回神宮式年遷宮祭典と行事
参考:神社新報社発行「月刊若木」ほか
〔神宮式年遷宮について〕
次期(第六十二回)神宮式年遷宮の準備が進められています。
皇祖天照大御神をお祀りする神宮(三重県伊勢市に鎮座)は、創祀以来畏き大御心を
戴き、古儀を旨として祭祀が営まれてきました。殊に、二十年に一度、宮処(御敷地)
を改め、古例のままに御社殿や御神宝を始め一切を一新して大御神のお遷りを仰ぐ式年
遷宮は、その主意、構成、規模において壮観類をみない民族の一大祭典であります。
天武天皇のお定めにより持統天皇の御代に初めて斎行されて以来、「皇室第一の重事、
神宮無双の大営」と重んぜられ、六十一回、千三百年と云うかけがえのない継承の歴史
を有しています。
〔第六十二回神宮式年遷宮祭典と行事〕
△平成十七年
山口祭ヤマグチサイ 五月
山口祭とは、遷宮の御造営にあたり最初に執り行われる祭儀です。御造営用材を伐採
する「御杣山ミソマヤマ」の山口に坐す神を祭ります。御杣山は時代により変遷がありますが、
古例のまま皇大神宮は神路山、豊受大神宮は高倉山の山麓で行われます。
木本祭コノモトサイ 五月
新宮の御床下に奉建する「心御柱シンノミハシラ」の御料木を伐採するにつき、御木の木本に
坐す神を祭ります。深夜、両宮域内の山中で行われる秘祭で、「物忌モノイミ」と称する子
供が忌斧イミオノを執って御料木奉伐の儀を行います。奉伐された御料木は新殿完成時まで、
内宮は御稲恩倉ミシネノミクラ、外宮は外幣殿ゲヘイデンに安置される。
御杣始祭ミソマハジメサイ 六月
御杣山で伐採作業を始めるにあたり、先ず御神体をお納めする「御樋代ミヒシロ」の御料
材を伐採する祭儀です。皇大神宮・豊受大神宮の御料木が立つ祭場で安全を祈願し、御料
木を「三ツ尾伐り」と云う古作法で切り倒します。前回は長野県上松町と岐阜県加子母
村で行われました。
御樋代木ミヒシロギ奉曳式ホウエイシキ
御杣山で伐採した御樋代の御料木は、沿道の各地で盛大な歓迎を受けながら週日を経
て伊勢に陸送されます。当式はこれを両宮域内に曳き入れる儀式です。到着した御料木
は、皇大神宮は五十鈴川を遡り風日祈宮橋カザヒノミノミヤバシ付近から神域に曳き揚げられ、
豊受大神宮は外宮北御門キタミカドから神域に入り、それぞれ五丈殿ゴジョウデン前に安置され
ます。
御船代祭ミフナシロサイ 九月
御船代祭とは、「御樋代」の用材をお納めする舟形の「御船代ミフナシロ」の用材を伐採す
る祭儀です。内宮と外宮の両宮域内に宮山ミヤヤマ祭場を定め、木本の神を祭り、「物忌」
と呼ばれる童男童女が草木を刈り初め、小工コダクミが伐採の式を行います。
△平成十八年
御木曳初式オキヒキゾメシキ
伊勢市・二見町フタミチョウ・御薗村ミソノムラの三市町村に住む旧神領民が、御造営の用材を両宮
に奉曳ホウエイする伝統行事「御木曳オキヒキ」の始めに行われる儀式です。正宮や別宮の棟持
柱ムナモチバシラなどにあてられる「役木ヤクギ」と云う代表的な御用材を、ゆかり深い特定の
町の住民が神域に曳き込み、「役木曳ヤクギヒキ」とも称します。
木造始祭コヅクリハジメサイ 四月
木造始祭とは、御造営の工事開始に際して作業の安全を祈り行われる祭儀です。五丈
殿で饗膳キョウゼンの儀を行い、同殿前に安置してある御木曳初式で奉曳された御料木に小
工が忌斧イミオノを打ち入れます。
御木曳オキヒキ行事(第一次) 五〜七月
御木曳行事は、旧神領民にあたる伊勢市・二見町・御薗村の住民が二ケ月間にわたり御
用材を両宮に曳き入れる盛大な行事です。旧神領地の町内総出の晴れ舞台で、数日前に
揃いの法被ハッピ姿で二見浦に「浜参宮ハマサングウ」をして心身を清めて行事に臨みます。内
宮の領民は木橇に御用材を積載して五十鈴川で「川曳き」を行い、外宮の領民は巨大な
御木曳車オキヒキグルマで「陸オカ曳き」を行います。全国の「一日神領民」も多数参加し、期
間中の伊勢の街は勇壮なかけ声と木遣キヤリ音頭で包まれます。前回は翌年の第二次御木曳
行事とあわせて二十万人が参加した。
仮御樋代木カリミヒシロギ伐採式
「遷御センギョ」の際、御神体を納める「仮御樋代」と「仮御船代カリミフナシロ」の御用材を
伐採するにあたり、木本に坐す神を祭り忌斧を入れる式です。
△平成十九年
御木曳オキヒキ行事(第二次) 五〜七月
△平成二十年
鎮地祭チンチサイ 四月
鎮地祭とは、新宮ニイミヤを建てる新御敷地シンミシキチで執り行われる最初の祭儀で、御造営
作業の安全を祈り、新宮の大宮地オオミヤドコロに坐す神を祭ります。
△平成二十一年
宇治橋渡始式ワタリゾメシキ 十一月
皇大神宮の入り口に架かる宇治橋は、檜の純和風の橋で、その美しさは伊勢の神宮の
象徴ともなっており、遷宮の度に架け替えが行われます。大橋の守護神である饗土橋姫
アエドハシヒメ神社での祭儀に続き、古式にのっとり渡り始めが行われる。「渡女ワタリメ」を先
頭に全国から選ばれた三世代揃った夫婦に続いて、全国の関係者や市民などが新橋を渡
ってお祝いし、多くの参拝者で賑わいます。
△平成二十四年
立柱祭リッチュウサイ 三月
立柱祭とは、正殿ショウデンの建築の初めに際し、御柱ミハシラを建て奉る祭で、素襖スオウ烏帽
子姿の小工が四組に分かれてそれぞれの御柱の木口を木槌で打ち固め、新殿の安泰を祈
ります。
御形祭ゴギョウサイ
「御形」とは正殿東西の妻の束柱にある装飾の一種で、それを穿つ祭儀です。御形は
「御鏡形ミカガミガタ」とも称し、円形の図様を穿つ秘祭です。立柱祭に続いて行われます。
上棟祭ジョウトウサイ 三月
上棟祭とは、正殿の棟木を上げる祭儀です。先ず正殿が古規通りの位置にあるかを測
量する「丈量儀ジョウリョウノギ」があり、続いて大宮司以下が棟木から伸ばされた綱を引い
て棟上げの所作をし、「千歳棟センザイトウ、万歳棟マンザイトウ、曳々億棟エイエイオクトウ」のかけ声
と共に屋上の小工が御棟木を木槌で打ち固めます。
檐付祭ノキツケサイ
檐付祭とは、新殿の御屋根の萱を葺き始める祭儀です。
甍祭イラカサイ
甍祭とは、新殿の御屋根の葺き納めの祭儀で、甍覆イラカオオイなどの金物を打ちます。
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