02b 論語一日一言
 
2[仁徳]
 
巧言令色 鮮矣仁       巧言令色コウゲンレイショク、鮮スクなし仁ジン
 
貧而楽道 富而好礼      貧しくして道を楽しみ、富みて礼を好む
 
父母唯其疾之憂        父母はただその疾ヤマイをこれ憂ウレう
 
父在観其志 父没観其行    父在アらばその志ココロザシを観ミ、父没すればその行ない
               を観ミる
父母之年 不可不知也     父母の年トシは、知らざるべからず
 
父母在 不遠遊 遊必有方   父母在アらば遠く遊ばず、遊べば必ず方ホウあり
 
見義不為無勇也        義ギを見て為セざるは勇ユウなきなり
 
爾愛其羊 我愛其礼      なんじはその羊を愛オシむも、われはその礼を愛オシむ
 
人而不仁如礼何 人而不仁如楽何 人にして仁ジンならずんば礼を如何イカンせん。人にし
               て仁ならずんば楽ガクを如何イカンせん
礼与其奢也寧倹 喪与其易也寧 礼はその奢オゴらんよりも寧ムシろ倹ケンせよ。喪はその易
 戚             オサめんよりも寧ろ戚セキせよ
楽而不淫 哀而不傷      楽しみて淫インせず、哀カナしみて傷ヤブらず
 
成事不説 遂事不諌 既往不咎 成事セイジは説トかず、遂事スイジは諌イサめず、既往キオウは
               咎トガめず
仁者安仁 知者利仁      仁者ジンシャは仁に安ヤスんじ、知者は仁を利リす
 
惟仁者能好人 能悪人     ただ仁者ジンシャのみ能ヨく人を好み、能く人を悪ニクむ
 
徳不孤 必有隣        徳トクは孤コならず。必ず隣トナリあり
 
願無伐善 無施労       願わくは善に伐ホコることなく、労ロウを施すことなから
               ん
老者安之 朋友信之 少者懐之 老者ロウシャはこれを安ヤスんぜしめ、朋友ホウユウはこれを信
               シンぜしめ、少者ショウシャはこれを懐ナツかしめん
其心三月不違仁 其余則日月至 その心、三月ミツキ仁に違タガわざれば、その余ヨはすなわ
 焉而已矣          ち日月ニチゲツに至らんのみ
人之生也直 罔之生也 幸而免 人の生イくるや直ナオし。これをなくして生くるは、幸
               サイワイにして免マヌガるるなり
敬鬼神而遠之 可謂知矣    鬼神を敬ケイしてこれを遠ざく、知チと謂イうべし
 
先難而後獲 可謂仁矣     難カタきを先にして獲ウるを後アトにす。仁と謂イうべし。
 
知者楽水 仁者楽山 知者動  知者チシャは水を楽しみ、仁者ジンシャは山を楽しむ。知者
 仁者静           は動ドウ、仁者は静セイなり
仁者雖告之曰井有仁焉 其従之也 仁者ジンシャはこれに告げて、井セイに仁ありというとい
               えども、それこれに従わんや
中庸之為徳也 其至矣乎    中庸チュウヨウの徳たるや、それ至れるかな
 
志於道 拠於徳 依於仁 游於芸 道に志し、徳に拠ヨり、仁に依り、芸に游アソぶ
 
求仁而得仁 又何怨乎     仁を求めて仁を得たり。また何をか怨ウラみん
 
子以四教 文行忠信      子シ、四ヨつをもって教オシう。文ブン・行コウ・忠チュウ・信シン
 
亡而為有 虚而為盈 約而為泰 亡ナくしてありとなし、虚ムナしくして盈ミてりとなし、
 難乎有恒矣       約マズしくして泰ユタかなりとなす。難カタきかな、恒あること
与其進也 不与其退也     その進む進むに与クミす。その退シリゾくに与クミせず
 
仁遠乎哉 我欲仁 斯仁至矣  仁ジン遠からんや。われ仁を欲ホッすれば、ここに仁至る
 
温而勵 威而不猛 恭而安   温オンにして勵ハゲし。威イありて猛タケからず。恭キョウにし
 (力のない励)       て安ヤスし
恭而無礼則労         恭キョウにして礼なければ労ロウす
 
故旧不遺           故旧コキュウ遺ワスれず
 
人之将死 其言也善      人のまさに死なんとするや、その言うこと善ヨし
 
興於詩 立於礼 成於楽    詩に興オコり、礼に立ち、楽ガクに成る
 
逝者如斯夫 不舎昼夜     逝ユくものはかくのごときか、昼夜を舎オかず
 
克己復礼為仁         己オノレに克カちて礼に復カエるを仁となす
 
為仁由己 而由人乎哉     仁をなすは己オノレによる。而シコウして人によらんや
 
己所不欲 勿施於人      己オノレの欲ホッせざるところは、人に施ホドコすことなかれ
 
内省不疚 夫何憂何懼     内ウチに省カエリみて疚ヤマしからずんば、それ何をか憂え何
               をか懼オソれん
敬而無失 与人恭而有礼 四海 敬ケイして失シツなく、人と恭しくして礼あらば、四海シカイ
 之内皆為兄弟哉       の内ウチみな兄弟キョウダイたり
死生有命 富貴在天      死生シセイ、命メイあり。富貴フウキ、天テンにあり
 
浸潤之譖 膚受之愬 不行焉  浸潤シンジュンの譖ソシリ、膚受フジュの愬ウッタエ、行なわれざ 
 可謂明也已矣        る、明メイと謂イうべきのみ
君君 臣臣 父父 子子    君キミ、君たり。臣シン、臣たり。父、父たり。子コ、子た
               り
攻其悪無攻人之悪 非脩慝与  その悪を攻めて人の悪を攻むるなきは、慝トクを脩オサむ
               るにあらずや
父為子隠 子為父隠 直在其中矣 父は子のために隠し、子は父のために隠す。直チョクは
               その中ウチにあり
不如郷人之善者好之 其不善者 郷人キョウジンの善ヨき者はこれを好ヨミし、その善からざる
 悪之也           者はこれを悪ニクまんには如シかず
剛毅木訥近仁         剛毅ゴウキ木訥ボクトツ、仁に近し
 
人能弘道 非道弘人也     人よく道を弘ヒロむ。道、人を弘むるにあらず
 
当仁不譲於師         仁ジンに当たりては、師シにも譲ユズらず
 
有教無類           教えありて類ルイなし
 
性相近也 習相遠也      性セイ、相アイ近し。習ナライ、相遠し
 
天何言哉 四時行焉 百物生焉 天テン何ナニをか言うや。四時シジ行なわれ、百物ヒャクブツ生
 天何言哉          ショウず。天何をか言うや
見得思義 祭思敬 喪思哀   得ウるを見ては義を思ギい、祭りには敬ケイを思い、喪モ
               には哀アイを思え
[次へ進んで下さい]