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[仏教]

 
[天台宗の教義]
 
             参考:(財)仏教伝道協会「日本の仏教宗派」
 
 天台宗の現在の宗憲には、
 「天台宗は法華一乗の教えを根本として、仏になる可能性がすべてのものに存在する 故に、生きとし生けるものが尊厳性を有することを自ら信じ、自ら実践しつつ他をも教 化するという菩薩としての実践行を同時に行い、正しい教えを盛んにし、人類救済の聖 業に努め、かつ国家社会の文化開発に尽くし、すべてのものが仏に成ることの実現と、 仏国土の建設とにあらゆる宗教的努力をいたすことを宗旨とする。天台宗は、宗祖伝教 大師が立教開示した本義にもとづいて、天台円教・密教・禅・戒・念仏等の、いずれをも法 華一乗の教意をもって融合し、これを実践する」
という意味のことが述べられてある。
 
 天台宗は『法華経』の内容を中心としてたてられた宗であるが、これを円教とよぶ。 『法華経』は、釈尊一代の教えを総括し、その真実の意味を説き尽くした経典である、 として高く評価したので天台大師であった。天台大師は、『法華経』の教義を、『法華 玄義』と『法華文句ほっけもんぐ 』という二つの書物によって表明し、さらに、『摩訶止観まかしかん』によっ て、『法華経』の宗教的実践法を示した。この立場を法華円教とよび、これを伝教大師 が日本に伝えたのである。
 この流れは、平安中期に良源に受けつがれ、さらに、『往生要集』の著者源信と覚運 とが出て、恵心流と檀那流とに分かれる。
 
 天台宗に受けつがれた密教は、台密たいみつ (天台密教)とよばれ、宗祖が中国より伝来して から始まり、慈覚大師円仁、智証大師円珍と受けつがれ、安然により大成された。
 さらに、宗祖が生涯をかけて確立して授戒の法に、大乗戒すなわち円頓菩薩戒とよば れるものがある。
 この円頓菩薩戒は、天台宗においては必ず受けつがなければならない重要に行である 。
 その流れは、宗祖最澄と義真の二系統に分かれ、前者は良忍に伝わる融通念仏宗の戒 脈となり、やがて天台宗と、法然に伝えた浄土宗の戒脈とに分かれた。一方義真系は円 珍から三井寺に伝えられた。
 
 その他の天台宗の特徴的な流れとしては、声明しょうみょう 道・回峯かいほう行・修験道・神仏習合などがある 。
 天台声明は仏教音楽としてつとに有名であるが、これは第四祖慈覚大師円仁が中国よ り伝来した仏教音曲である。
 また、慈覚大師門下の相応和尚を開祖として回峯行が始められ、現在まで、行者志望 者のあとが絶えない。
 さらに、智証大師円珍に始まる山林生活の中で呪法を修する山岳仏教としての修験道 もある。
 また、神祇と仏教の融合により山王一実神道が生まれたが、明治初年より神仏分離が 行われた。
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