070215 万両千両百両十両一両
 
                       参考:岩波書店発行「広辞苑」など
 
〈万両千両百両十両一両〉
 冬景色は、一面灰色の殺風景なものです。野辺や庭の草木の殆どは、深い眠りに就い
ています。
 万両・千両・百両・十両・一両の実は、何れも秋から冬に赤熟し、その実の直径もまた1
㎝程度以下の小粒で可愛らしいものです。これらの赤い実は冬でも成っているので、緑
色の少ない冬には、恰好の彩りを我々に提供して呉れます。
 そのため古来、これらの赤い実を付けた植物は、お正月の縁起物としてもてはやされ
てきました。そして、その姿形、成る実の多い少ない、入手の難易などの理由で「万両・
千両・百両・十両・一両」の名が付けられたのでしょう。
 
「万両」
 マンリョウはヤブコウジ科の常緑小低木。高さ約1m。葉は長楕円形で厚く、光沢があ
る。夏、葉腋に白い小花を下向きに着け、果実は球形、赤熟して冬から春まで保ち、観
賞用。
 別科のセンリョウに似るが大形。またセンリョウより沢山実が付くことから、マンリ
ョウの名前が付いたと云われる。センリョウは葉より上の枝先に、マンリョウは葉より
下に茎を出してその先に実を付ける。
 
「千両」
 センリョウはセンリョウ科の常緑小低木。関東地方以南の暖地の林下に生じ、高さ約
50㎝。茎に膨れた節がある。葉は対生し卵状楕円形。夏、黄緑色の細かい花を短い穂状
に着ける。核果は球形、冬に赤く熟す。実の黄色い品種もある。鉢植や切花とし、多く
正月用。クササンゴ。
 
「百両」
 カラタチバナ(カラタチ・百両とも)はヤブコウジ科の常緑小低木。関東地方以南に分
布。夏、葉の付け根に白色5裂の小花を数個開く。果実は球形、赤熟。白熟・黄熟する種
もある。庭木として植栽。タチバナ・コウジ・ササリンドウ。
 
「十両」
 ヤブコウジ(十両とも)はヤブコウジ科の常緑小低木。高さ約30㎝。夏、葉の付け根
に乳白色又は淡紅色の小合弁花を総状に着け、球形の液果を結んで、冬、紅く熟す。山
地に自生し、また観賞用に栽培。アカダマノキ・ヤマタチバナ・深見草。漢名、紫金牛。
 
「一両」
 アリドオシ(一両とも)はアカネ科の常緑小低木。山地樹陰に自生。高さ約60㎝。葉
腋に鋭い長い刺がある。初夏、白色筒形の花を開く。核果は赤熟。
 
 因みに、
①お正月の生け花などでは地域により、センリョウとマンリョウ、これにアリドオシを
加えて、「千両、万両、有り通し」と語呂合わせをしたり、
②庭園では、モッコクの根元にセンリョウとマンリョウを植えて、「千両、万両持ち込
む」と言ったりすると云う。
 カラタチバナ唐橘は、江戸時代は非常に高価で、「百両金」と名づけられたとも云わ
れている。
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