0401竹生島
参考:小学館発行「万有百科大事典」ほか
〈竹生島チクブジマ〉
「竹」
イネ科タケ亜科の多年生常緑木本の総称。タケ群とササ群に大別。独立のタケ科とす
る場合もある。茎は木質化、隆起した節があり、地上茎・地下茎に分れる。地上茎は直立
叢生、多くは中空で、地下茎は節部から根及び筍タケノコを生ずる。葉は狭長扁平で先端が
尖り、短柄。稀に稲穂状の黄緑花を着けるが、開花後は多く枯死。東南アジアを中心に、
世界に約40属600種、わが国ではおよそ12属150種を産する。タケ群はマダケ・ナリヒラダ
ケ・ホウライチク・オカメザサなどの各属を含む。建築・器具製作・細工物・竿などに重用
し、筍は食用。
「竹生島」
能の曲名。初番目物(脇能物)。金春禅竹作とも伝えるが未詳。『竹生島縁起』など
から素材を得る。
舞台中央の後方に、一畳台の上に引き回しを掛けた小宮が設えてある。竹生島の社殿
を表す作り物である。廷臣(ワキ)が従臣(ワキツレ)を従えて竹生島明神へ参詣のた
め鳰ニオの浦(琵琶湖畔)まで来ると、水棹ミサオを手にした老人(前シテ)と若い女(前ツ
レ)とが、麗ウラらかな春の湖面を舟で近付いて来る。廷臣はこれを呼び止め、共に竹生
島へと向かう。島では、老人の案内で弁才天を詣でる。やがて女は社殿へ、老人は水中
へと消える(中入)。其処へ竹生島の社人(アイ)が出て、宝物などを廷臣に見せ、岩
飛びの舞を見せたりする(末社マッシャの神シンとして登場する演出もある)。やがて天女姿
の弁才天(後ツレ)が社殿に現れ、舞(天女之舞)を舞い、湖上には竜神(後シテ)が
出現して金眼珠玉(火炎玉盤)を廷臣に贈り竜宮へと去る。
竹生島明神、即ち弁才天の霊験を表す能。変化に富む構成と巧みな演出のため上演さ
れる機会も多く、また、初歩の謡曲入門用にこの曲が使われることが多い。小書コガキに
より前シテが若い女、ツレが老人、そして後シテが天女姿で「楽ガク」又は「神楽」を舞
う演出(金剛流「女体ニョタイ」)、前シテ老人が後シテ天女姿と変わり「楽」を舞う演出
(喜多流「女体」)などがある。また狂言型の珍しい例として、アイに道者が出て寄付
を請う演出「道者ドウジャ」がある。
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