0204駒踊
 
                    参考:小学館発行「万有百科大事典」ほか
 
〈駒踊コマオドリ〉
「馬」
 ウマ目(奇蹄キテイ類)ウマ科の獣。アジア・ヨーロッパの原産。体は大きく、顔は長く、
頭部に鬣タテガミを有し、四肢が長く第3指の蹄でよく走る。草食。シマウマなどの野生種
もあるが、家畜として重要。乗用・競馬用のサラブレッドは最も有名。他に輓馬バンバの
ペルシュロン、わが国の在来種など、20以上の品種がある。こま・むま。
 
「駒踊」
 乗馬の姿を象った民俗舞踊で、一種の風流フリュウ芸能と見ることが出来る。古来から馬
の産地として知られる岩手・青森・秋田などの東北地方に多く見られるが、北海道白糠町
の駒踊のように東北人の移民に伴って伝播したものもある。菅笠や花笠に陣羽織・馬乗
袴、或いは鎧姿で幟を背負ったりした者が、馬の胴に見立てた楕円形の竹の輪の前に馬
の首、後ろに尾を付けたホニホロの中に入って乗馬の姿となり、手綱捌きも宜しく荒馬
を御すかの如く踊る。数名から十数名で円型、縦横の陣型などを執る。青森県では八戸
市三社大祭(八月一〜三日)の折に「お庭入り」「直り駒」「引き返し」「すすみ駒」
「駒つかい」「庭ひき」「棒舞」などの演目が踊られる。岩手県九戸郡軽米町向川原の
駒踊は少年が踊る。秋田県鹿角市花輪では七月十三〜十五日に、「回り駒入り」「回り
駒本踊」「膝駒」「臂駒」「横駒」「奴本踊」などの演目を踊る。何れも本質的には馬
と人の一体の擬態で、東北人が如何に馬を大事にしていたかが窺える。特に青森県東津
軽郡今別町のさなぶり荒馬は、ねぶたのハネトと同じ派手な花笠を被り、浴衣に蹴出し
姿の若い女性が馬の手綱を執って騎手の乗る馬と戯れ、荒馬を御する様子を勇壮活発に、
時には滑稽ユーモラスに踊って人気がある。笛・太鼓・胴拍子の急調子の賑やかな囃子も盛り上
がる。
 
 一方、このように多数でなく神事の中でホニホロの馬が出る場合がある。秋田県鹿角
市小豆沢の大日堂祭堂の駒舞や長野県下伊那郡阿南町新野の雪祭の競馬キョウマンも一種の駒
踊である。また、初春の祝福芸である春駒も広義の駒踊である。馬の首の部分のみを板
で作り、腹部に付けて来て祝言を述べながら門付して歩く。新潟県佐渡島などにあった。
沖縄県国頭郡宜野座村ギノザソンの京太郎チョンダラーもその名残であり、旧正月に那覇で行わ
れる艶ナマメかしく美しい尾類馬ジュリウマ行列もかつて遊里に摂り込まれた春駒の芸であっ
た。
 
関連リンク 「大日堂舞楽(祭堂)」「下川原駒踊」
[次へ進む] [バック]