010050藍
 
                    参考:小学館発行「万有百科大事典」ほか
 
〈藍アイ〉
「藍」
 藍とは、タデ科の一年草で、東南アジアの原産。高さ50〜70p。イヌタデによく似て、
秋に花柄を出し、紅色の小花を穂状に着ける。葉や茎から染料を採る。古く中国から輸
入され、江戸時代には四国を中心に広く栽培。三草の一。蓼藍タデアイ・藍蓼アイタデとも。
 
「藍」
 藍(藍色)とは、藍から採った染料、またそれで染めた色で、青より濃く、紺より淡
い。
 藍染アイゾメとは、藍で染めること、またその染めたものを云う。
 藍染を業とする者を、藍染屋とか、藍屋、また紺屋コンヤとも云う。
 
〔藍染〕
 藍の葉はインドキシルの配糖体インジカンを含む。これを温水で抽出し、放置してお
くとオレンジ色のインドキシとなる。更に空気を吹き込んで酸化させるとインジゴ
indigo(藍)が沈殿する。インジゴは水に溶けないので、生葉中にはインジカンとして
含まれ、染色の際には還元して水溶性にする。
 藍染は、葉を採集して細かに刻み、室内に積み重ねて発酵させると2〜3ケ月で黒い
泥状の染(草冠+染)スクモが出来る。これを藍臼に入れて搗ツいたものが藍玉アイダマで、2
〜10%のインジゴを含むが、木灰と石灰と麸フスマを混ぜ、水を加えて掻き回すと、麸の澱
粉が糖化して乳酸発酵を起こし、インジゴを還元して水溶性のインドキシルとなる。こ
の液の中に布地を何回も浸してからよく絞って空気中で乾燥すると、インドキシルが酸
化されてインジゴとなり、染色が完了し、水洗いしても色が抜けない。
 因みにインジゴとは、暗青色の染料のことである。
 
〔薬用〕
 藍玉は薬として口内炎、胎毒、嘔吐、胃癌などに用いた。藍汁を入れた壺の底に溜ま
った澱オリを藍澱アイテン(藍汁とも)、その表面に出来た泡を固めたものを青黛セイタイと云い、
これらを薬に頻用した。
 葉を藍葉ランヨウ、果実を藍実ランジツと云い、解熱剤、解毒剤とする。
 
 因みに藍染の布は数年前まで、その古くなってものを撚り合わせて稲藁などと束ねて
棒状にし、それを腰帯に差し込み、着火して燻し虫除けに用いたものである。
 
関連リンク 「日本人の創った色(藍)」
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