52 身近に生えて気になる植物〈フキ〉
 
〈フキ〉
 フキ蕗はキク科の多年草で、本州から九州の山野に生える。地下に長い根茎があり、
早春「蕗の薹フキノトウ」と云われる花茎を出し、初め大形の鱗状包リンジョウホウに包まれるが、
高さ20〜30pになり、多数の頭花を着ける。葉柄は長く多肉質で、葉身は丸い腎臓形を
なし、長さ幅共20〜30p内外、下面に薄い綿毛がある。
 
 蕗の薹と葉柄は昔から山菜として食用とし、そのために栽培され、ミズブキ・アイチブ
キ・アカブキなどの品種がある。
 本州東北地方から北海道、サハリン、千島には大形の変種アキタブキが生える。アキ
タブキは肥培すると葉の直径1m、柄の長さ1.5mにもなる。
 なお「蕗」は慣用で、漢名としては正しくないと云う。
 
〈薬用〉
 蕗の薹は、民間で鎮咳チンガイ、健胃に用いる。葉、茎、根の汁は、魚の中毒、虫刺さ
れ、切り傷などに内服又は外用する。ケルセチン、苦味質、精油を含有する。
 
〈調理〉
 フキは3月から5月までが最盛期で、葉柄は皮を剥き、灰汁抜きし、青煮などにする
他、伽羅蕗キャラブキ(蕗の茎を醤油で伽羅色になるまで煮染めた料理。伽羅色とは濃い茶
色。)、塩漬けにもする。蕗の薹は特有の香りが喜ばれる。葉も佃煮などにする。
蕗の薹
[次へ進む] [バック]