06 身近に生えて気になる植物〈クローバー〉
 
〈クローバー〉
 クローバー(白詰草シロツメクサ)はマメ科の多年草、ヨーロッパ原産でわが国には江戸時
代に渡来し、広く野生化している。茎は地上に伏して長く這い、全く毛を生じない。葉
は3個の小葉からなる複葉で、緑色の長い葉柄がある。夏に葉腋ヨウエキから長さ20〜30p
の直立する花柄を出し、白色の蝶形花が多数集まって出来た球形の花序を頂上に着ける。
花は白色又は淡紅色を帯び、長さ9o内外。果実は細長い豆果で、4〜6個の種子を生ず
る。
 
 江戸時代にオランダ人がガラス器具をわが国に送ったとき、詰め物として本種の乾か
したものを入れてきたので「詰め草」の名が生まれ、またオランダ・ゲンゲの別名も出来
た。
 
 牧草又は緑肥として利用されるクローバーは本種ばかりでなく、ムラサキツメクサ又
はアカツメクサと呼ばれるものがある。これもヨーロッパ原産で、明治維新頃(1868前
後)に渡来し、各地で野生化している。ムラサキツメクサは全株に毛があり、茎は上に
伸びて高さ30〜60pに達し、分枝は疎らである。花は茎の上部の葉腋から出た短い花柄
の先に円形花序を作って咲く。
 
 クローバーの葉は全て3小葉から出来ているが、ときに奇形葉として4枚の小葉のも
のがある。これを「四つ葉のクローバー」と呼び、これを見付けた者には幸運が訪れる
と云う俗信が古くからヨーロッパにある。
 またアイルランドでは、クローバーを国花とし、3枚の葉が愛情と武勇と機知を表す
ものと意味付けた。
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