03 身近に生えて気になる植物〈カラスウリ〉
 
〈カラスウリ〉
 カラスウリ烏瓜はウリ科の多年草で、本州〜沖縄の野原などに生え、根は太い塊状、
茎は蔓となり、卷き髭で他物に絡む。葉は卵形で掌状に浅く3〜5裂し、ときには深く裂
ける。茎葉に白色の粗い毛がある。
 花は単性で雌雄異株、花冠は夕方から開き、5裂し、裂片の先は糸状に切れて房のよ
うに垂れる。雄花は短い総状になり、雌花は単独で花序を作らない。果実は楕円形で長
さ5〜7p、熟すと赤くなる。種子は黒褐色でカマキリの頭に似ており、また結び文に似
ているので、玉章タマズサと云う優雅な名もある。
 
 変種のキカラスウリは、北海道南部から沖縄に分布する。茎に毛が無く、花冠裂片の
先にある糸状の房が短く、果実は熟すと黄色になり、種子は単に扁平なので区別が付く。
 
〈薬用〉
 漢方では、カラスウリの根を土瓜根ドカコン、果実を土瓜実、種子を土瓜仁と称して使用
する。根は通経、利尿、排膿剤とし、果肉は民間で火傷ヤケド、霜焼けに用い、種子はキ
カラスウリと同様に去痰、鎮咳チンガイ、鎮痛、消炎剤として用いる。これを用いた小陥胸
湯ショウカンキョウトウは、湿性肋膜炎を治す漢方の有名な処方である。またキカラスウリの根か
ら純白で肌理キメの細かい澱粉が採れ、天瓜粉テンカフンと云い、汗知らずに用いる。カラスウ
リの澱粉もその代用となる。根を括(木扁+舌)楼根カロコンと云い、解熱、止渇シカツ、利
尿、催乳剤として用いる。
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