0207身近に生えて気になる植物〈アザミ〉
 
〈アザミ〉
 アザミ薊はキク科の植物、一般に多年草で、大形のものが多い。葉は単葉のものもあ
るが、多くは羽状に分裂し、縁に刺がよく発達する。頭花は多数の管状花からなり、舌
状花は無い。総包の形や大きさ、総包片の形や大きさもいろいろで、種類を見分ける性
質として重要である。痩果ソウカには毛は無いが、冠毛は多数で多列に並び、長さは不同で
長いものでは羽状になるものもある。平地、湿地、海岸、山、高山まで広く生えている。
世界に約150種、わが国に約60種あり、分類の難しいグループである。
 
〈種類〉
 ノアザミは春から初夏に咲く種類で、総包に粘り気があるのが特徴である。本州、四
国、九州に分布する。
 ノハラアザミはノアザミによく似ているが8〜10月に花が咲き、総包に粘り気が無い。
本州に産する。
 サワアザミは頭状花が大きく、総包片が細くて反曲するもので、本州中部地方から北
海道南部に分布する。
 モリアザミはノハラアザミに似ているが、総包外片が著しく伸びて開出するもので、
本州から九州の平原に多い。
 ハマアザミは本州関東地方から四国、九州の海岸に生え、葉は濃緑色で肉厚になり、
表面に光沢がある。
 
 フジアザミはわが国産アザミ類のうち最も壮大で、頭状花は大きく径5〜10pになり、
総包片も幅5〜9oに達し、反り返り、縁に刺が密生する。富士山付近に多いのでこの名
があるが、本州中部地方の山地の砂礫サレキに点々と生じている。
 タカアザミは湿地に生える二年草で、頭花が下向きに垂れて咲き、本州中部地方以北
に分布する。
 ヤナギアザミは葉が線形のもので、本州西部、四国、九州に分布する。
 ナンブアザミは、奥羽地方に最も普通に見られる。
 ヤマアザミは四国、九州の山地に生え、高さ2m近くになり、頭花が多数、穂状にな
る。
 アズマヤマアザミはヤマアザミに似ているが、近畿地方から関東地方に産する。
 タイアザミは関東地方から近畿地方にかけて分布し、秋の山野に普通に見られる種類
である。
 オニアザミは、頭花は6〜8月に開き、総包が粘着するもので、本州中部地方以北の山
地から亜高山に生える。
 
 このほか、チョウカイアザミは鳥海山に、オゼヌマアザミは尾瀬沼や尾瀬ケ原に、ガ
ンジュアザミは岩手山や早池峰山に、センジョウアザミは仙丈ヶ原、白根山系に、と云
うように局部的に分布するものがある。
 
 アザミ類の花は観賞用になるが、特にノアザミの花色の濃いものを選択して栽培した
ものを、ドイツアザミと称して花屋に切り花として出される。
 民間薬として強壮、利尿剤に用いられるものもあり、若い葉や根は食用にもなる。
 
 キツネアザミ、ミヤコアザミ、ヒレアザミなどはそれぞれ属が異なる。
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