0201身近に生えて気になる植物〈アカネ〉
 
〈アカネ〉
 アカネ茜はアカネ科の多年草、本州、四国、九州の山野に普通に見られる蔓草で、方
形の茎に下方に曲がった刺トゲがあり、他物に絡まる。細い髭根が黄赤色なので、赤根
アカネの名がある。葉は長卵形で長い柄があり、4枚ずつ輪生するが、実は2枚が真の葉
で、2枚は托葉が変化したものである。
 花は小形で葉腋に生じ、円錐状の花序となる。花冠は白色の短い筒状で、先端は5裂
し、5本の雄蘂を有する。果実は球形で、熟すると黒色となる。
 
〈染色〉
 アカネの根にプソイドプルプリンを主成分とする色素を含み、その煎汁は藍アイと同様
に古くから染料として用いられ、灰汁を媒染剤として緋色ヒイロに染めるのに利用された。
 ヨーロッパでも古くからセイヨウアカネの根を用いたが、これはアリザリンを主成分
とする。2枚の葉と、葉に変わった4枚の托葉が輪生するので、ムツバアカネの別名が
ある。
 同じ属のオオアカネは葉が4又は6枚(2枚は真の葉で他は托葉の変形)を輪生し、
アカネよりも大形である。
 アカネムグラは茎が直立し、ヤエムグラに似ている。
 
〈薬用〉
 アカネの根は、漢方で茜草センソウ又は茜根センコンと云い、通経、止血、浄血、利尿、解熱、
強壮剤として、リウマチ、月経不順、黄疸オウダンなどに用いる。セイヨウアカネの根は腎
結石症、貧血症、萎黄イオウ病に用いる。
 
関連リンク [51鹿角の紫根染と茜染]
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