56 育ててみたい植物〈スズラン〉
 
〈スズラン〉
 スズラン鈴蘭(キミカゲソウ君影草とも)はユリ科の多年草で、北海道や本州の高原、
アジア北部の草原などに分布する。葉は長さ10〜18p、幅3〜7p、裏面は白っぽい。
 初夏に高さ20〜35pの花茎を出し、5〜10個の花を下向きに着ける。花は径約1p、純
白色で先が反り返り、芳香がある。果実は球形で赤熟する。有害植物につき扱いには注
意し、口には入れない。
 
 スズランは平地で作ると暑さのため生育が悪いので、一般には栽培にはドイツスズラ
ンを使う。
 ドイツスズランは10月中旬に夏の西日を避けた半日陰の涼しい場所に、ピップ(肥大
地下茎 − これを球根の一種として扱う場合もある)を植え込む。花壇植えより東向き
庭園の庭木の下に植えると良い。ピップは細長いものは花芽がないので、真ん中がよく
膨らみ、確実に花を持っている芽を植えることが大切である。土をよく耕し、堆肥や油
粕をよく混ぜ、あまり深植えにならないように、3〜4p間隔に植え付ける。乾くと発芽
が悪いので、上に堆肥や落葉を敷くと良い。5月上旬に葉と一緒に花穂が伸び、5月上
旬から下旬にかけて日本産のスズランよりも大輪の香りの高い白色花を着ける。2〜3年
は植え替えは不要である。
 鉢植えは10月中旬に5号鉢に7〜8芽を植え、冬の間は鉢ごと土に埋め、2月中旬に掘
り出して、フレームや温室に入れると、4月に開花する。花が終わったら、鉢から抜い
て土に下ろす。繁殖は株分けによる。
 変種には、花が桃色のモモイロスズランなどもある。
 
〈薬用〉
 スズランは、根と根茎を強心利尿剤として用いる。強心配糖体はコンパロサイド、コ
ンパラトキシンの2種が証明された。ヨーロッパでは根だけでなく、葉も花も同様に用
いる。
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