03a 茶花一覧(野の花・山の花A)
 
○オトメツバキ(乙女椿) 開花期3〜4月
 淡桃色の中輪です。
 花弁の縁が内曲気味になり,咲き始めは大きい宝珠咲きで,次第にほぐれて千重咲き
 となります。
 庭木としても多く栽培され,樹勢は旺盛で,樹形は立性です。
 
○カモフクリン(加茂覆輪) 開花期10〜3月
 淡桃色の地に紅の覆輪のある中輪です。
 一重の抱え咲きで,開花の初期は少し縦絞りが入り,筒芯は白色,葉は広楕円形で縁
 に粗く大きい鋸歯があります。
 「蝋月」の枝変わりで,樹形は横張性で,樹勢は旺盛です。
 
○カモホンナミ(加茂本阿弥) 開花期 1〜3月
 白色で一重咲きの大輪です。初め抱え咲きで,後椀咲きになり,ときに平開します。
 雄蘂は大きく筒芯で,蕾のときに雌蘂の先端が飛び出すのが特徴です。
 樹形は立体で,樹勢は旺盛です。
 
○クスダマ(くす玉) 開花期1〜4月
 濃紅色の牡丹咲きの中輪で,ユキツバキ系です。
 花弁は波打ち,雄蘂と混在して,花はその名の通り球型になります。
 枝は太く,樹形は横張性で,樹勢は旺盛です。
 
○クロツバキ(黒椿) 開花期4月
 黒紅色の抱え性八重咲きの中輪で,古く江戸時代からある品種です。
 赤色の筒芯と黄色の葯が鮮やかで,この種の代表花です。
 樹勢は弱く,樹形は立形です。
 
○コシミノ(腰蓑) 開花期11〜2月
 濃紅色の唐子咲きの中大輪です。
 唐子は乱れて,白色に紅色の縦絞り,又は小絞りの入った唐子弁に黄色の芯が混じり
 ます。
 樹勢は並,樹形は立性です。
 
○シボリハッサク(絞八朔) 開花期11〜12月
 白色に桃色の縦絞りの一重咲き,筒咲きからラッパ咲きの中輪です。
 雄蘂はやや短い茶筅形で,花糸は乳白色です。
 樹勢は並,樹形は横張性です。
 
○シボリミョウレンジ(絞妙蓮寺) 開花期10〜1月
 朱紅色地に横杢や白斑の入った中大輪で,日本品種の中の紅色種の一つです。
 「紅妙蓮寺」の白斑入り枝変わりで一重,盃状から椀咲き,輪芯です。
 樹勢は強く,立性です。
 
○ジュロウアン(寿老庵) 開花期11〜12月
 赤味のある淡桃色から桃色の一重の筒咲きの中輪です。
 春の開花では盃状咲きとなり,筒芯です。
 樹勢は強く,樹形は立性です。
 
○シュンショッコウ(春曙光) 開花期3〜4月
 桃色で,花芯に近いところが淡桃色の八重,抱え咲きの中輪です。
 細い筒芯から割芯で,樹勢は強く樹形は立性です。
 枝変わりに「斑入春曙光」,実生に「椿山」などがあります。
 
○シラタマ(白玉) 開花期10〜3月
 白色ツバキの代表花で,一重抱え咲きの小中輪です。
 花冠に比べ大きな筒芯で,樹形は立性,樹勢は旺盛です。
 正式名は「初嵐」ですが,別にもう一種同名の「初嵐(呼び名は「嵯峨」)」があるの
 で,それと区別するために一般的にはその蕾の丸いことなどから「白玉」と呼ばれて
 います。
 
○シロカラコ(白唐子,コトハジメとも) 開花期10〜12月
 白色唐子咲きの小輪で,外弁は一重で緩く反曲し,中の唐子弁は大小不揃いでやや黄
 色味を帯び,少し芯が混じります。
 ユキツバキ系で,樹勢は弱く樹形は横張性です。
 
○シロワビスケ(白侘助) 開花期11〜3月
 白色の一重,猪口咲きの小輪で,侘助の仲間です。
 やや乱れた筒芯で,葯は退化して子房に微毛があり,樹勢は弱く,樹形は立性です。
 枝変わりに「雛侘助」があります。
 
○スキヤ(数寄屋,スキヤワビスケとも) 開花期12〜3月
 淡桃色の一重,猪口咲きの小輪で,侘助の仲間です。
 ときに濃い暈ボカしがほんのり入ることもあります。筒芯で,葯は退化して種子はでき
 ず,この仲間では珍しく子房に毛が生えていません。
 樹形は立性,樹勢は旺盛です。
 
○セイオウボ(西王母) 開花期9〜12月
 淡桃色,抱え性のつぼんだ一重咲きの中輪,葉の大きさも中形,侘助の仲間です。
 葉の先端と基部が急に細くなり,花芯は太く筒芯です。
 樹形は立性,樹勢は旺盛です。
 
○ダイカグラ(太神楽,テルヒ・セイヒとも) 開花期11〜3月
 紅色地に白い雲状斑が入る大輪で,大小不規則な30枚以上の花弁と雄蘂が入り乱れて
 咲く,牡丹咲きから獅子咲きです。
 樹勢は並,樹形は横張性で,枝変わりに紅単色の「紅太神楽」があります。
 
○タムケヤマ(手向山) 開花期11〜3月
 濃赤色に白斑の入る一重咲きです。
 初めは抱え気味,後に平開咲きになる中輪で筒芯,枝により単色,赤花が咲きます。
 葉は小さく,寒さのため良花が観られないことが多い種で,樹勢は弱く,樹形は立性
 です。
 
○タロウアン(太郎庵) 開花期11〜4月
 桃色の一重筒咲きの中輪で,「曙」と並んでわが国での桃色品種の代表花です。
 雄蘂は大きく筒芯です。
 江戸中期の茶人高田太郎庵が愛でたのでこの名があると云われており,名古屋地方の
 代表的品種です。熱田神宮のご神木とされています。
 
○タロウカジャ(太郎冠者,ウラク・トサツバキとも) 開花期11〜1月
 紫がかった桃色で,ときに白斑の入る一重,筒咲きからラッパ咲きの中輪です。
 筒芯,葉は楕円形で先が尖り,縁に鋭い鋸歯があります。
 樹勢は旺盛で樹形が立性,侘助の仲間ですが,正常な花粉ができ,僅かに結実します。
 別名のウラク(有楽)は,茶人織田有楽斎が好まれたことに由来します。
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