03 茶花一覧(野の花・山の花A)
 
            茶花一覧(野の花・山の花A)
 
                         参考:中央公論社発行「茶花」
 
[タ]
タカオモミジ(高雄紅葉,モミジ・イロハカエデとも) カエデ科 開花期4〜5月 落葉高木
 本州以南の各地の山地に自生し,人家にも栽培されています。
 葉は対生し,円形掌状に5〜7に深裂し,その裂片は細く尖って縁に鋭い鋸歯があり
 ます。
 春に葉と共に暗紅色の小花が散状又は複総状に吊り下がって咲きます。
 
タカノハススキ(鷹羽薄) イネ科 開花期8〜9月 多年草
 各地の山野に見られるススキの仲間で,葉に矢羽根型の横斑のあるものを云います。
 
タケニグサ(竹似草,チャンパギクとも) ケシ科 開花期6〜8月 多年草
 本州〜九州の山野に普通に見られ,茎は円柱形で中空,高さ1〜2mです。
 葉は柄があって互生し,心臓形で鋭く浅い裂け目があります。
 夏に茎の先端に大きな円錐花序を作り,白から薄紅色の小さな花が多数咲きます。
 茎や葉を傷つけると黄褐色の液を出します。
 
タチフウロ(立風露) フウロソウ科 開花期8〜9月 多年草
 各地の山野に生え,茎は直立して節があり,高さ60p位です。
 葉は掌状に深く5〜7裂し,裂片は更に裂け,表裏とも葉脈上に毛が多く生えていま
 す。
 夏に茎の先に集散花序を出し,2本の細長い花柄に淡紅紫色の花が1個ずつ咲きます。
 
タムラソウ(田村草,タマボウキとも) キク科 開花期8〜9月 多年草
 本州・四国・九州の山地の草原に生え,茎の高さ30〜150pです。
 葉は長い柄があっ互生し,葉身は羽状に深裂して長楕円形,表裏とも細かい白毛があ
 ります。
 夏から秋に枝先が数個に分かれ,先端にアザミに似た紅紫色の花が上向きに咲きます。
 茎,葉共に刺がないのでアザミと区別がつきます。
 
チョウセンゴミシ(朝鮮五味子) モクレン科 開花期5月 落葉木質蔓性植物 雌雄異株
 中部地方以北の山地に生え,茎は蔓状で疎らに分枝します。
 葉は互生又は枝先に束生し,卵形で両端は尖ります。
 初夏に枝の基部から長い花枝を出し,黄白色の小花が1個咲きますが,雌花は雌蘂が
 多数密集します。
 花後に不揃いで小さな球状の果実が多数付いて紅色に熟し,食べられます。
 
ツクバネ(衝羽根,ハゴノキ・コギノコとも) ビャクダン科 開花期4〜5月 半寄生落葉低木
 雌雄異株
 本州から九州長崎県にかけての山地の樹間に生え,よく分枝して高さ1〜2mです。
 葉は対生し,卵形から長卵形で先端は尖り,全縁です。
 初夏に淡緑色の小花が咲きます。雄花は数個集まり,雌花は1個です。
 果実は卵円形で,頂に葉状の大きな包を4個付け,その形が羽根衝きの羽根のような
 のでこの名があります。
 
ツゲ(黄楊) ツゲ科 開花期3〜4月 常緑低木
 関東地方以西の暖地の山地に生え,庭にも栽培され,高さ1〜3mです。
 葉は対生し楕円形〜倒卵形〜長楕円形で厚い革質,滑らかで艶があります。
 春に小枝の先や葉腋に淡黄色の小さな花が群生し,中央に1個の雌花があります。
 さく果は円形で熟すと3裂し,黒色の艶のある種子を出します。
 
ツノハシバミ(角葉皺) カバノキ科 開花期3〜4月 落葉低木〜小高木
 山中に生え,幹は直立して分枝し,高さ5m位です。
 葉は柄があって互生し,倒卵形又は楕円形,先端は鋭尖形で縁に不揃いの二重の鋸歯
 があります。
 早春に葉より先に花が咲き,雄花の尾状花穂は赤褐色で数本小枝から垂れ下がり,雌
 花の穂は小さく鮮紅色の花柱が束生します。
 堅果は緑色厚質の嘴状の筒に包まれており,卵形で尖り,全体に剛毛が生えています。
 
ツバキ(椿) ツバキ科 常緑低木
 日本のツバキの園芸品種は,千種を超えると云われていますが,その源を辿れば,日
 本中南部原産のヤブツバキ,北陸地方原産のユキツバキ,その中間種のユキバタツバ
 キに求められます。この3種の自生地の分布を観ると,山地上部からユキツバキ,ユ
 キバタツバキ,ヤブツバキの順になっていますが,相互に入り交じっているので,何
 系の種と確実に区別することは困難です。
 ユキツバキ系の特徴は,樹形が低く,花弁は平開し,花糸が黄色です。
 ヤブツバキは高木となり,花弁は半開きで,花糸は白色の筒芯です。
 ユキバタツバキはその中間的存在となります。
 ツバキは実生や挿し木で殖やし,また人工交配による品種改良で年々多くの新種が作
 られており,ツバキの最大の魅力である花の色や形は益々変化に富んで行くようです。
 
 [ツバキの主な園芸品種]
 
○アキザキベニカラコ(秋咲紅唐子,ハヤザキベニカラコとも) 開花期11〜3月
 紅色で,開花期によりやや桃色がかることもあります。一重の唐子咲きの大輪です。
 中央の唐子は大きく盛り上がり,葉は丸味のある楕円形,樹勢は強く樹形は立性です。
 関西地方に類似品の「赤腰簑」があります。
 
○アキノツキ(秋の月) 開花期10〜11月
 淡桃で時に濃淡の暈ボカしが入る,七弁一重の中大輪で,三角形の平開咲きで輪芯で
 す。
 秋咲きの代表花で,樹勢は並,樹形は横張性,枝垂性です。
 
○アキノヤマ(秋の山) 開花期11〜2月
 古く江戸時代からある,白色地に紅縦絞りの入った一重の,筒咲きからラッパ咲きの
 小輪から中輪で,花弁の縁はやや波打っています。
 雄蘂は細目の長い筒芯で,樹勢は強く,樹形は立性です。
 枝変わりに「覆輪秋の山」があります。
 
○アケボノ(曙) 開花期1〜3月
 淡桃色の一重,抱え咲きから椀咲きの大輪で,わが国での桃色品種の代表花です。
 花弁の周りはやや波打ち,雄蘂は大きな筒芯となります。
 樹形は立性,樹勢は旺盛です。
 新年の茶花によく用いられます(同名異種あり)。
 
○イチコワビスケ(一子侘助) 開花期11〜2月
 濃紅色の一重,猪口咲きの極小輪で,葯ヤクは退化して子房はこの種には珍しく無毛で
 す。
 白斑入りの枝変わりもあり,樹勢は強く,樹形は立性です。
 似ているものに「佐渡侘助」,「天倫寺月光」があります。
 
○ウスイロオキノイシ(薄色沖の石) 開花期2〜4月
 淡紅色の地に濃い弁脈が浮き出た,やや抱え性の八重咲きの中輪です。
 樹形は横張性,生長は遅い方ですが樹勢は旺盛です。
 枝変わりに「五色八重散椿」があります。
 
○オオシラタマ(大白玉) 開花期1〜3月
 白色の一重抱え咲きから盃状咲きの中大輪です。
 よく知られている「白玉」の中でも大輪早咲きの種類です。
 花弁は幅広く,筒芯で葯は大きく橙黄色,樹勢は並で,樹形は横張性です。
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