29a まつばらん目(まつばらん科)・いわひば目(いわひば科)・とくさ目(とくさ
  科)・しだ目(へご科・わらび科・ちゃせんしだ科・おしだ科・しのぶ科・ししがしら
  科・ほうらいしだ科・めしだ科・こばのいしかぐま科・つるしだ科・うらぼし科)植物
 
〈ちゃせんしだ科〉
 
オオタニワタリ(大谷渡,谷渡タニワタリとも,チャセンシダ属)
 わが国の暖地及び済州島,台湾に分布し,樹上や岩上に着生する常緑多年生シダ,観
 葉植物として鉢植えや地植え。葉は単葉の革質で鮮緑色,長さ40〜100p,塊状の根茎
 から多数放射状に広がり鳥の巣状になります。同属にシマオオタニワタリ,アビスタ
 ニワタリがあります。
 
チャセンシダ(茶筅羊歯,チャセンシダ属)
 チャセンシダ属は全世界の温暖帯に約700種原産し,わが国には約30種が知られていま
 す。本種は各地の山中の岩場に多い常緑多年生の小形のシダ,山草として鉢植え。束
 生した葉柄の状態を茶の湯の茶筅に見立てたもの。近似種にイヌチャセンシダがあり
 ます。
 
マザーファーン(チャセンシダ属)
 モーリシアス島,レユニオン島原産の常緑多年生シダで,第二次大戦後に渡来。温室
 栽培。根茎は短く,葉は細かく分岐,1〜4回羽状複葉で長さ約60p。
 
シマオオタニワタリ(島大谷渡,チャセンシダ属)
 わが国の暖地,台湾,中国南部,ポリネシア原産で,樹上や岩上に着生する常緑多年
 生シダ。観葉植物として温室栽培。オオタニワタリとよく似ており,新葉が紅色を帯
 び1枚ずつ順に開きます。園芸変種に広葉のアビスがあります。
 
〈おしだ科〉
 
ヤブソテツ(薮蘇鉄,ヤブソテツ属)
 本州南部,四国,九州などの暖地に分布し,樹林下,道端の石垣などに生える大形の
 常緑性シダで,庭園や鉢植え栽培。葉は濃緑色,鱗片のある根茎から束生し長さ50〜
 100p。近似種にオニヤブソテツがあります。
 
〈しのぶ科〉
 
シノブ(忍ぶ草,シノブ属)
 わが国の各地,朝鮮半島,台湾,中国大陸に分布し,山地の岩や樹幹などに着生する
 落葉性シダで,江戸時代から根茎を丸めてシノブ玉を作り,「つりしのぶ」と称しま
 す。根茎は太く長く這い,淡褐色の鱗片が密生。
 
〈ししがしら科〉
 
ロマリア(ギッブム)(ヒリュウシダ属)
 ヒリュウシダ属は熱帯に広く分布し,世界で約40種知られ,わが国にも1種産する地
 上性シダ,うち数種が観葉植物として温室栽培。本種はニューカレドニア原産の常緑
 多年生の木性シダ,栄養葉は対照的に盃状をなし厚く強い。
 
〈ほうらいしだ科〉
 
アジアンタム・クネアータム(唐草蓬莱羊歯カラクサホウライシダ,コバホウライシダとも,アジ
             アンタム(クジャクシダ)属)
 アジアンタム属は世界の熱帯及び温帯原産の地上生シダで,世界で約80種が知られ,
 わが国にはハコネソウ,ホウライシダ,クジャクソウの3種があります。本種はブラ
 ジル原産で,明治中期に渡来。夏の鉢植えや切花用。葉は三角形で2〜4回羽状複葉。
 
モノカラー(アジアンタム)(アジアンタム(クジャクシダ)属)
 アジアンタム・クネアータムの園芸品種。属名のアジアンタムはギリシア語の「濡れな
 い」に由来し,葉は常に水を弾くのが特徴。
 
フリッツ・ルーシー(アジアンタム)(アジアンタム(クジャクシダ)属)
 ブラジル原産地上生シダのクネアータムの園芸品種で,わが国へは第二次大戦後スイ
 スから渡来。鉢植え向き。葉は濃青緑色,新葉が淡黄緑色でそのコントラストが美し
 い。ほかに同属園芸品種の中で葉の最も大きいヒロハクジャクがあります。
 
アラゲクジャク(粗毛孔雀,アジアンタム(クジャクシダ)属)
 アメリカ大陸を除く世界の熱帯に産する地上生シダ,観葉植物として温室栽培。クジ
 ャクシダに似ており,全株に短い粗毛があります。
 
アジアンタム・ビクトリエー(オカメホウライシダ,アメリカホウライシダとも,アジア
             ンタム(クジャクシダ)属)
 原種はA.tenerumは熱帯アメリカ,西インド原産のシダ植物(交配品種)で,明治45年
 に渡来。観葉植物として温室鉢植え。成葉は黄緑色,若葉は橙紅色。
 
ドリオプテリス・パルマータ(フウロウシダ(ドリオプテリス)属)
 フウロウシダ属は熱帯に約20種,台湾に1種原産する小形の常緑多年生シダで,特徴
 は1本の株に2種の形の違う葉を持つ,即ち胞子嚢を持った葉と胞子嚢を持たない栄
 養葉とがあります。本種は西インド諸島からペルー,ブラジル原産で,洋種シダと呼
 ばれ鉢植えで発売,ときにイノモトソウとして取り扱われ,葉はモミジ葉で皮状,厚
 味と光沢があります。
 
〈めしだ科〉
 
イヌガンソク(犬雁足,オオクサソテツとも,イヌガンソク属)
 全国の山林,朝鮮半島,中国,ヒマラヤに分布する常緑性シダ。クサソテツに似てい
 ますが,クサソテツよりやや暖かい地方の種で,より大形(1m以上),粗剛。品種に
 ハゴロモイヌガンソクがあります。
 
クサソテツ(草蘇鉄,コゴミ,コゴメとも,イヌガンソク属)
 イヌガンソク属は北半球に広く分布する夏緑性の宿根シダ。クサソテツは全国の山地,
 草原の湿地に群生,その草姿がソテツに似ているので庭園に栽培,また若い芽出し葉
 はコゴミとして食用,胞子嚢は生花材料。
 
〈こばのいしかぐま科〉
 
ミクロレピア・セトサ(フモトシダ属)
 ハワイ原産のシダ植物,観葉植物として室内鉢植え。高さ90〜120p,葉は30p位の柄
 を持ち,レースのように3回羽状に細裂し長さ60〜90p。
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