25 ゆり目(ゆり科・りゅうぜつらん科・ひがんばな科・やまのいも科・あやめ科)植物
 
                    参考:北隆館発行「原色園芸植物大圖鑑」
 
〈ゆり目(ゆり科)〉
 
アフリカン・リリー(紫君子蘭ムラサキクンシランとも,アガパンサス属)
 南アフリカ原産の耐寒性多年草で,明治中期に渡来。花壇,鉢植え,切花用。塊茎は
 長さ9p位,葉は根出葉で長さ20〜40p,花は径3〜4pの鐘状漏斗形で,下部は筒
 状,葉間から40〜80pの花茎を伸ばしその頂頭に9〜30花を散形花序に付けます。花
 期は6〜7月。多数の変種や品種があり,花色も白,青,淡青色など。
 
アルブカ・ネルソニー(アルブカ属)
 南アフリカ原産の多年草で,明治末年に渡来。観賞用として鉢植え,花壇用。草丈80
 〜150p,葉は根生で線状披針形,花は花被片中央に赤褐色条線の入った白色6弁花
 で,直立の円筒状花茎に20輪位総状花序に付けます。花期は6〜7月。近似種に早春
 開花のアルブカ・ナタールがあります。
 
アリウム・アフラチュネンセ(ネギ(アリウム属))
 中国中央部原産の秋植え多年草,切花用。本種はアリウム類の大球性種で高性早咲き,
 草丈70〜100p,地下に鱗茎,葉は根生,花は濃い紫紅色6弁花で,伸びた花茎に半球
 状又は球状の径7〜8pの散形花序に付けます。花期は5月。近似種にA.schoenopra-
 sumがあります。
 
エシャロット(ジャージー・シャロットとも,ネギ(アリウム属))
 原産地不祥,欧州産ネギの一種(多年草)で,明治初年に渡来。わが国のワケギと同
 一種で玉葱タマネギ系の香味野菜。鱗茎は丸味があり開花結実し,花は藤色又は白色。本
 種は現在殆ど栽培されていないので,早生系ラッキョウを土寄せしたものを商品名エ
 シャロットとしています。
 
タマネギ(玉葱,ヨウネギとも,ネギ(アリウム属))
 中央アジア原産の多年草で,明治初期に欧米より渡来。鱗茎を食用,香辛料。わが国
 のものは東欧系の辛タマネギ(南欧系は甘タマネギ)に属します。鱗茎は球状大形,
 茎長50p位,茎頂に白色花を球状に密集します。開花は晩春。品種により日長感応度
 が異なり,短日型早生品種,長日型品種があります。
 
ラッキョウ(辣韮ラッキョウ,ネギ(アリウム属))
 中国原産の多年草で,平安時代より薬用に供されました。鱗茎を食用,薬用。葉は鱗
 茎より束生し独特の臭気,花は赤紫色の小花で,葉側から花茎を伸ばし,散形花序に
 付けます。花期は秋。品種に花ラッキョウ用の小球種や,台湾から導入した玉ラッキ
 ョウがあります。
 
ネギ(葱,ネギ(アリウム属))
 中国西部原産の多年草で,渡来は古く10世紀初めに栽培した記録があります。古来よ
 り野菜として栽培。高さ60p位,鱗茎は膨らまず,葉は円筒形で中空,花は白色,葉
 間から花茎を伸ばし,散形花序に密集します。花期は初夏。変種にシモニタネギ,ヤ
 グラネギ,ワケギがあります。
 
フケギ(分葱,ネギ(アリウム属))
 原産地不祥,1500年以上前に中国より渡来したとされます(ネギの一変種で多年草)。
 古くより野菜として栽培。ネギより小型で高さ30p位,分蘖ブンケツが多く,薹立ちしま
 せん。
 
ヤグラネギ(櫓葱,三階葱サンカイネギとも,ネギ(アリウム属))
 中国原産と云われネギの一変種(多年草),『物類品隲ブツルイヒンシツ』(1763)に記載あ
 り。高さ70〜80p,夏に花茎上に環節ができ,そこに珠芽を生じます。
 
アリウム・ギガンチウム(ネギ(アリウム属))
 中央アジア原産の球根植物(多年草)で,昭和11年に渡来。高さ120p位,鱗茎は径7
 〜8p,花は紅紫色で径18〜23pの巨大な花序になります。花期は5〜6月。近似種
 に桃色花のA.pornumがあります。
 
アリウム・シューベルティー(ネギ(アリウム属))
 パレスチナ原産の多年草で,昭和11年に渡来。鉢植え,花壇用。高さ30〜80p,葉は
 広線形,葉縁は波状,花色は藤色から紫紅色,散形花序に200花位咲かせます。花期は
 春。近似種に桃色味のある白色花で広葉矮性のアリウム・カラタビエンセがあります。
 
キバナノギョウジャニンニク(黄花行者大蒜,アリウム・モーリーとも,ネギ(アリウム
              属))
 欧州ピレネー山脈原産の球根植物(多年草)で,明治初期に渡来。花壇,鉢植え,ロ
 ックガーデン,切花向き。高さ30p位,鱗茎白く丸い,葉は粉緑色,花は黄色で30〜
 40花を散形花序に付けます。花期は4〜5月。
 
ザーネンバーク(ベニバナニラ)(ネギ(アリウム属))
 トルコ原産,昭和10年に渡来したベニバナニラの園芸品種(多年草),花壇,鉢植え
 用。鱗茎はやや球形,草丈10〜12,花は洋紅色で花茎上の散形花序に咲き,芳香性。
 花期は5月頃。
 
アリウム・ローゼンバッキアナム(ネギ(アリウム属))
 トルキスタン原産の球根植物(多年草)で昭和11年に渡来。切花用。鱗茎はやや球形,
 高さ60〜80p,葉は粉緑色,花は紫色,径6〜7pの散形花序をなし,子房は緑色で
 大きく目立ちます。花期は5月中旬。
 
ニンニク(葫ニンニク,大蒜ニンニク・オオニンニクとも,ネギ(アリウム属))
 西アジア原産の多年草で,最も古い栽培植物の一つで平安時代には栽培。鱗茎を香辛
 料,薬用。鱗茎は大形,高さ60〜70p,春に花茎頂部に珠芽を混じえた散形花序を付
 けます。品種に遠州極早生,壱州早生,六月種があります。
 
アサツキ(浅葱アサツキ,糸葱イトツキ,糸葱イトネギとも,ネギ(アリウム属))
 東アジア原産の多年草で,各地の山地に自生。古くより野菜とし,葉,鱗茎を味噌汁,
 酢味噌和え用,雛祭に浅葱膾ナマスを食べる風習があります。鱗茎は卵状,茎高は30〜40
 p,花は紅紫色で茎頂の散形花序に密集します。花期は5〜6月。晩生種の八つ房ア
 サツキは品種柔軟で甘味に富みます。
 
ニラ(韮,ミラとも,ネギ(アリウム属))
 東南アジア原産の多年草,野菜として葉を食用。葉は長卵形の鱗茎より直生,下部は
 葉鞘となり,花は白色の小花で,花茎の頂に球形の散形花序に付けます。花期は夏か
 ら秋。ハナニラと云う花茎を利用する品種にテンダーポールがあります。
 
テンダーポール(ニラ)(花韮ハナニラとも,ネギ(アリウム属))
 ニラの一品種(多年草),中国野菜として花茎を食用。本種は花茎種とも呼ばれ,在
 来種や広葉種(満州,グリーンベルト,ジャンボなど)と区別されます。
 
アロエ(キダチアロエ,木立蘆会キダチロカイ,イシャシラズとも,アロエ属)
 東南アフリカ原産の多肉植物(多年草),鉢植えや,民間薬。高さは普通1〜2m,花
 は朱紅色で,花茎上の円錐花序に付けます。花期は冬。
 
チヨダニシキ(アロエ)(千代田錦,アロエ属)
 南アフリカ原産の多年草で,明治末年に渡来。鉢植え。葉は長い三角形で表裏に白い
 斑点を縞模様に並べ,花は朱黄色,花茎上の円錐花序に付けます。花期は冬。近似種
 に帝王錦,不夜城などがあります。
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