0102a園芸蘭科植物(続き)
ビュルステケアラ属
コクリオダ属とミルトニア属,オドントグロッスム属の最初の3属交配種ハイエアー
ナは,1912年ベルギー人によって登録され,その後210余種が登録されています。オン
シディウム属に近いこれら3属の交配種は草姿や花形はオドントグロッスムに近く,
コクリオダの濃赤色が入って美しく,比較的栽培は容易です。
ファイウス属(ガンゼキラン属)
日本の暖地以南,アメリカ大陸を除く世界の熱帯に約40種分布し,殆どは地生種です。
偽鱗茎がよく発達するものと,茎状になるものがあり,これらは普通葉梢ヨウショウで被わ
れます。
葉はカランテ属などと似て縦皺や葉柄部があり,常緑性です。
花茎は茎(偽鱗茎)の基部,又は途中から立ち上がり,上方で総状花序になります。
カランテ属に近縁ですが,唇弁と蘂柱は殆ど離生しており,唇弁の距も小さい。また
この属の花序軸は無毛です。
ファレノプシス属(コチョウラン属)
台湾以南,インドからオーストラリア北部にかけて約50種が分布し,樹木や岩上に着
生します。
茎は短く,偽鱗茎は作りません。葉は厚く,2列生で,普通先の方が大きい。
花序は葉腋から出て,総状又は円錐状,苞葉は短い。花は小型から大型のものまであ
り,日持ちがよく,平開します。唇弁は3裂し,側萼片は立ち,両方の間辺りに肉質
の突起があり,中央裂片の形は種による形態の違いが著しい。
フラグミペディウム属(側花弁は捻れて垂れる)
熱帯アメリカのグアテマラからボリビアにかけての森林内に12〜20種分布し,普通地
生ですがときに着生の場合もあります。
茎は短く,厚くて光沢のある常緑性の細い葉が2列生出ます。
花茎は直立し,総状又は円錐状に花が付きますが,花数は少ない。花は一般に大型で,
側萼片ソクガクヘンは一つに癒合します。唇弁は袋又は壺状で,子房は3室,雄蘂は2個で
すが,他に庇状の大きな仮雄蘂があり,花粉は粒状です。
熱帯アジア産のパフィオペディルム属に近縁です。
ブラッサボラ属
メキシコ,西インド諸島からアルゼンチンにかけて15〜20種分布し,樹木或いは岩上
に着生する常緑草本です。
偽鱗茎があり,葉は平たく,花は1茎1花で,唇弁を除く花被片が比較的広くて尖ら
ない仲間は,リンコラエリア属として別属にするか,ときにレリア属に含めることが
あります。
偽鱗茎は発達せず,葉は円柱状か線形で,1茎1〜数花咲き,唇弁を除く花被片が細
くて先が鋭く尖る仲間が狭義のブラッサボラ属です。
何れも1茎(1枝)1葉性で,花粉塊8個は大小の2組になる点でレリア属と異なり
ます。
ブルボフィルム属(ムギラン属)
本州中部以南,主として世界の熱帯に約1000種が分布し,東南アジアで特に種類が多
い。
常緑の着生植物で,横に這う根茎の上に,1又は2(稀に3)葉性の偽鱗茎が並びま
す。
花茎は偽鱗茎の基部から出ます。花は大小様々ですが,唇弁の付け根と蘂柱脚部が関
節状になっているため,唇弁は触れると前後に揺れます。4個の硬い花粉塊は無柄で
す。
花序は総状又は単生です。園芸界では,散形状に花が集まるものをキルホペタルム属
とする場合が多い。
本属の仲間には大輪のものがありますが,多くの種は花被片の長さが数oで,分類が
困難です。
プレウロタリス属
フロリダ半島からアルゼンチンに至る熱帯アメリカに約1000種分布し,殆どの種が樹
木又は岩上に着生します。
極めて多型で分類困難な属です。葉柄のように見えるのは根茎から分岐した枝で,葉
は普通無柄です。葉は硬く常緑で,長さ約5o〜25pまでと様々です。
花は一般に小さいが,中には径2pを超えるものもあります。蘂柱の延下部の存在が
明瞭で先端に柱頭があります。葉の基部が心形で蘂柱が短い群と,葉の基部が楔形で
蘂柱が細長い群に分類することができます。花粉塊は2個で柄はありません。
ブレティア属
フロリダからアルゼンチンにかけて25種類以上が分布し,明るい草地に生えます。
全て地生種で,球状の偽鱗茎があり,折畳型の葉は乾期に枯れます。
花序は紫紅色から白色の穂状となってほぼ直立し,偽鱗茎の下方から出て,多数の花
を付けます。
スパトグロッティス属に似ますが,唇弁に長い爪部ソウブはありません。花粉塊は4個
が2組になり,硬くて柄はありません。
外見は東アジア産のブレティラ属によく似ています。しかしブレティラ属の花茎は偽
鱗茎の頂部から出るし,花粉塊は軟らかい。
ブレティラ属(シラン属)
旧世界の温帯,熱帯地方に分布します。
ブレティア属に似るが,偽球のある地生ランで,花序は頂生し,葉に囲まれており,
花粉塊は粉質が小塊状で軟らかい。唇弁は3裂し,側裂辺は細長い蘂柱を囲みます。
ランの分類では花粉塊の性質が重視されますが,それが過大視され,機械的に系統上
はブレティア属と遠く離れたものとして取り扱われることがあります。しかし全体の
姿や日当たりに生える点など共通の性質を持つことから,近年は究めて近縁の属とす
る見方が主流になりました。
ペクテイリス属 例 サギソウ
日本から東南アジアにかけて約6種分布します。
地下に細長く塊根状の器官があり,茎は直立します。
花は白色又は白色と黄色のコンビになるものがあり,平開し,美しい種が多い。普通
側花弁は萼片よりずっと小さい。唇弁は3裂,側裂片の縁は多少細裂,花粉塊は2個
です。
ハベナリア(ダイサギソウ)属やプラタンテラ(ミズトンボ)属と近縁ですが,無柄
で2裂する柱頭を持つため別種とする説が近年は有力です。
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