51 古の名木一覧[松・桜・梅]
 
                       参考:吉川弘文館発行「古事類苑」
 
                    本稿は、「古事類苑/植物部」記載の、主
                   な樹種の名木を抽出し、その名称と解説、出
                   典書籍名、生育地、及び和歌などを収録して
                   みました。
                    現存していないものでも、「名称」はまだ
                   言い伝えられているかも知れません。SYSOP
 
[松]
連理松(一根に雌雄交り生ずと云ふ)
 「本草一家言 三木」京師報国寺
 「古今要覧稿 草木」摂津国有馬郡香下村、矢田部郡駒林村、また信濃国上田、肥後
 国熊本城より一里許
 
住吉松
 「太平記 三十」君が代の短かるべきためしには 兼てぞ折りし住吉の松
 
相生の松(松葉悉く一茎一穂あると云ふ)
 「駿国雑志 二十六」有渡郡三穂村三穂明神
 
三浦平松(古木で霊験あり)
 「玄同放言 二」相模国三浦郡一色村
 
松いろいろ
 「武江産物志 名木」御言葉の松(大久保)、上意の松(亀戸普門院)、相生の松(
 上野)、亀子松(上野)、頭巾松(御城内にあるよし)、首尾の松(浅草)、船松(
 浅草)、霞の松(橋場)、斑女の衣懸松(向ケ岡)、道潅船繋松、鏡の松(根岸円光
 寺)、五石松(駒込)、船繋松(小石川)、千年松(筑土八幡高田)、大友の松(牛
 込)、光り松(高田)、鈴掛松(千駄ヶ谷)、遊女松(同)、鎮座の松(渋谷)、鞍
 懸松(代々木)、一本松(麻布)、笠松(千駄ヶ谷千手院)
 
時雨岡シグレヲカ(御行オギャウの松)
 「江戸名所図会 十七」根岸庚申塚、東叡山(忍の岡)
 
奈美松(古津松とも)
 「常陸風土記 香島郡」郡南廿里浜里
 
唐崎の一つ松
 「重修本草綱目啓蒙 二十三香木」江州志賀郡唐崎
 
這松(五葉)
 「本朝奇跡談 中」下野国日光如法ニョホウ山
 
判官の腰掛松
 「松屋筆記 八十」陸奥桑折宿コヲリノヤド
 
義経の腰掛松(女松)
 「東遊雑記 一」岩代国石母田村
 
岩代の結松ムスビマツ
 「南紀名勝略志 四日高郡」岩代村
 「萬葉集 二挽歌」磐代イハシロの岸の松が枝結びけむ 人はかへのてまた見けむかも
 「同」磐代の野中ヌナカに立てる結び松 情ココロも解けず古ムカシ念ほゆ
 
武隅松タケクマノマツ
 「書言字考節用集 六生植」奥州名取郡
 「後撰和歌集 十七雑歌」うへし時契りやしけむたけくまの 松をふたゝびあひみつ
 る哉
 
阿古耶松アコヤノマツ(阿古屋松)
 「書言字考節用集 六生植」羽州最上郡(歌枕)・「古事談 二臣節」
 「東遊記 四」山形千歳山
 
尾上松
 「播磨名所巡覧図会 三加古郡」播州尾上
高砂の松(高砂の尾上の松)
 「古今和歌集 十七雑」たれをかもしる人にせん高砂の 松も昔の友ならなくらに
 「謡曲 高砂」播州高砂
 
根騰松ネアガリマツ
 「紀伊続風土記 物産六上」海部郡雑賀荘関戸村高松茶屋の北の松原
 
三鈷松サンコノマツ
 「書言字考節用集 六生植」紀州高野山
 
曽根偃フセ松(菅公遺愛の松と云ふ)
 「長崎紀行 二」姫路曽根天神
 
根あがり松(赤松)
 「古今要覧稿 草木」豊後国国埼郡田深浦、豊前国企救郡内裏浦、紀伊国和歌浦
 
ことひき松
 「夫木和歌抄 二十九松」日向国
 しら浪のよりくる糸ををにすげて 風にしらぶることひきの松
 
[桜]
南殿ナンデン・ナテンの桜(左近桜/右近橘)
 「書言字考節用集 六生植」京都紫宸殿
 「江談抄 一公事」・「古今著聞集 十九草木」・「古今要覧稿 草木」・「今昔物
 語 二十四」
 
平安桜
 「古今要覧稿 草木」嵯峨清凉寺地蔵堂
 
墨染桜スミソメサクラ
 「書言字考節用集 六生植」城州深草
 「古今和歌集 十六哀傷 かむつけのみねを」深草の野辺の桜し心あらば ことしば
 らりはすみぞめにさけ
 
雲珠桜ウズサクラ
 「書言字考節用集 六生植」城州鞍馬・「大和本草 十二花木」・(「藻塩草」)
 
秋色桜
 「還魂紙料 上」江戸上野清水堂
 
右衛門桜(楊貴妃の変種とも)
 「古今要覧稿 草木」武蔵国豊島郡柏木村
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