33b 園芸植物用語解説その2
[に]
二季咲きニキザキ:一年のうち,春と秋との2回に開花すること。例:クレマチス・タンポ
ポ。
肉芽ニクガ(珠芽とも):腋芽に多量の養分を貯えて肥大し,肉質塊状になった芽。葉は
退化している。母体から離れて地に落ち,発芽して新個体を作る。例:ヤマノイモ。
二形花ニケイカ:同一種で二通りの花がある場合をいう。例:ヒマワリの舌状花と管状花,
ガクアジサイの結実する花と装飾花,サクラソウの雄蘂オシベと雌蘂メシベの長さを異に
する二つの花。
二重咲きニジュウザキ:一重咲きの花片を2段に重ねたような咲き方。外側の1段は萼ガク片
が弁状に変化したもの。例:キキョウ。
二重接ぎニジュウツギ:接木の一方法。台木に甲種の接穂を接ぎ,更に甲種に乙種の接穂を
接ぐ方法。この場合,甲種の接穂を中間台木と呼ぶ。
二数性ニスウセイ:花を構成する萼ガク,花弁,雄蘂オシベ,雌蘂メシベなどが2又はその倍数か
らなることをいう。例:ミズタマソウ。
日長処理ニッチョウショリ:日長を人工で変化させ,促進又は開花を抑制すること。
二年草ニネンソウ(二年生草本とも):種子から発芽してその年には開花せず,2年目に開花
結実し,その年の冬までに根まで完全に枯れて種子を残す草。越年草より生育期間が
長い。往々両者を併せて越年草といったり二年草といったりする。
[ね]
根ネ:高等植物の栄養器官の一つ。普通は地下にあって地上部を支え,水や養分を吸収す
る。胚の幼根から直接発達したものを定根,それ以外の根を不定根という。
根挿しネザシ:挿木の一方法。茎を挿しても発根しにくいが,根部から容易に芽を出しや
すい植物に応用する。根を短く切り,挿し床の土に埋めるようにして挿す方法。
根接ぎネツギ:挿木の一方法。@台木がない場合,母樹より根を切り取り,これを台木と
して接木する方法。A大木で根が衰弱した場合,他木から若い根を切り取り,それを
大木に接ぐ方法。
[の]
芒ノギ:イネ科の花を構成する護頴や包頴の先端から発する長い剛毛状の突起物。例:オ
オムギ・カモジグサ。
ノッチング法(notching) → 座切ザキリ繁殖
[は]
葉ハ:高等植物の基本的な栄養器官の一つ。茎に着く扁平な器官で,普通の葉は葉身,葉
柄,托葉の3部からなるが,往々托葉や葉柄を欠くことがある。本来葉は炭酸同化作
用,発散作用を行い,併せて呼吸作用のためのガス交換の通路となるものであるが,
包葉,鱗片葉,花葉など,ほかの役割に変わっているものもある。
胚ハイ:種子の本体。胚珠の中で卵細胞の受精によってできた植物の幼体で,胚軸,子葉,
幼葉,幼根の4部からなる。
配偶体ハイグウタイ:胞子体に対する語。世代交代をする植物において,精子と卵子とを生じ
て有性的に生殖を行う世代の植物体。シダ類では前葉体がこれに当たる。
胚珠ハイシュ(卵子とも):子房の中にある小さな粒。受精後は生長して種子となるもので,
頂上に花粉管の入る珠孔と称する孔がある。形により直生胚珠,倒生胚珠,湾生胚珠
がある。
倍数体バイスウタイ育種イクシュ:コルヒチン液で処理して,染色体の数が2倍,3倍,4倍の個
体を育てること。
胚乳ハイニュウ:種子の中に含まれた発芽のための貯蔵養分で,澱粉,蛋白質,脂肪などを含
む。胚乳のない植物もある。
培養土バイヨウド(用土・植土とも):植物を培養するために用いる栄養分のある土。
箱接ぎハコツギ:接木の一方法。台木の幹が接穂より太い場合に応用する。台木に箱形の四
角い孔を空けて,其処に箱形に切り取った接穂を差し込む方法。
葉挿しハザシ:挿木の一方法。葉を挿して殖やすことで,その挿し方に次の方法がある。
@葉の全部を挿す。A葉を縦又は横に切断して挿す。B葉脈を切断して挿す。C葉柄
を着けて挿す。D葉腋の芽を着けて挿す。
波状ハジョウ取木法トリキホウ:取木の一方法。長い蔓枝のあるものに応用する。蔓枝を横に寝
せて,上下に波状に曲げて下方の湾曲部を地中に埋め,上方を地上に出して置く方法。
鉢巻きハチマキ:樹木を移植するとき,根株の土を落とさないよう,また根と土との密着を
図るため,藁ワラや菰コモを巻き,縄で堅く巻き締めて保護すること。
鉢物ハチモノ:鉢作りにしたもの。ただし盆栽は含まれない。
白化ハッカ:緑色植物に葉緑素の形成が見られず,白色になる現象。ただし植物を暗所に置
いて生ずる斑入りとは別である。
花ハナ:種子植物の生殖器官。被子植物の模式的な花は,葉の変形とみられる萼ガク,花
冠,雄蘂オシベ,雌蘂メシベの4要素からなり,これに花床や色などが付属する。雄蘂と
雌蘂とは生殖に不可欠の器官,萼と花冠はその保護器官である。花冠を欠くもの,ま
た萼,花冠共に欠くものもある。雌蘂は子房を作って中に胚珠を入れ,受精後は種子
となる。1花中において雄蘂又は雌蘂の一方が退化すれば,それぞれ雄花又は雌花と
なる。裸子植物の花は萼,花冠を欠き,初めから雄花,雌花が別々の花として発生す
る。雌蘂は子房を作らず,胚珠は剥き出しである。
花芽ハナメ:葉芽に対して花だけを発生する芽。
バーナリゼーション(vernalization,ヤロビゼーション・春化処理とも):初め旧ソ連
のルイセンコが唱えた説。秋蒔きコムギを春蒔きにすると,普通は出穂しないか,又
は出穂が著しく遅れるものであるが,予め幼植物のうちに,ある期間低温に遭わせる
と,出穂するようになる。このことを実地に応用して作物の開花,結実を調節する処
理のこと。
パピリオ咲き(papilio):花弁の縁が縮れて,花弁が捩れている咲き方。例:カンナ。
葉芽ハメ:葉だけを発生する芽。
葉芽挿しハメザシ:挿木の一方法。成葉に腋芽及びその基部の茎を少し着けて挿す方法。
葉物ハモノ → 観葉植物
春枝ハルエダ:発育枝の生長が一度止まり,その後再び生育を始めた枝。特にミカン類では
初期に伸びた枝のこと。その後に伸びたものは夏枝,秋枝と呼ぶ。
春挿しハルザシ:挿木の一方法。3月上旬〜4月下旬に挿すこと。
春接ぎハルツギ:接木の一方法。大体発芽の2〜3週間前を標準として行う接木。
バルブ(bulb) → 偽球茎・鱗茎
春蒔一年草ハルマキイチネンソウ:一年草で春に種子を蒔くもの。例:アサガオ・コスモス。
攀縁茎ハンエンケイ:巻き鬚ヒゲ,気根,葉柄,吸盤などで岩壁や支柱などに攀ヨじ登る茎。例
:キズタ・ブドウ。
半寄生植物ハンキセイショクブツ:寄生植物であるが,葉緑を持ち,自身でも炭酸同化を行う植物
をいう。例:ヤドリギ。
半懸崖ハンケンガイ:懸崖よりは梢端の下り方が少なく,通常は根とほぼ同一の水平面位まで
下がっているもの。例:キク。
半常緑ハンジョウリョク(半落葉とも):秋に半ば葉を落とし,一部分の葉が冬を越すもの。例
:スイカズラ・ヤマツツジ。
半促成栽培ハンソクセイサイバイ:球根を露地に植えて自然の低温に晒した後促成する方法。
半地中植物ハンチチュウショクブツ:ラウンケルの生活形の一つで,冬芽が地表面に密着し形成さ
れるものをいう。例:タンポポ・ナズナ。
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