33c 園芸植物用語解説その2
[ひ]
蘖ヒコバエ(根吹きとも):根元や太い幹から不規則に伸び出す小枝。
鬚根ヒゲネ:ネギやムギなどのように多数の細い根が束生して鬚状になった根。胚の幼根
から出る主根は間もなく生長が止まり,茎の下部から多数の根が出るためにこのよう
になる。
被子植物ヒシショクブツ:種子植物の中の一分類群で,裸子植物と対立する。多くは花に花被
があり,心皮は子房を作り,胚珠はその中に包まれる。従って種子は果実の中に包ま
れる。木部には道管が発達する。双子葉植物と単子葉植物の2群に分けられる。
左巻きヒダリマキ:アサガオ,フジなどのように蔓性の茎が支柱に巻き付くときの巻き方。
支柱を真上から見たとき,茎の先端が時計回りと反対に巻くこと。
一重咲きヒトエザキ:花冠の裂片や花弁が一重になって咲く花。
一芽挿しヒトメザシ:挿木の一方法。充実した芽を中心にして,その上下に茎を着けて切り
取って挿す方法。
ビニールハウス栽培(vinyl house):ビニールハウスを利用して,生育期間中の温度を
高めて熟期を促進する栽培法。
肥培木ヒバイギ:主要樹木の育成に当たり,根瘤バクテリアの作用により窒素を地中に固
定する木を,共に植付けて置くと,その窒素が主要樹木の肥料に利用される。マメ科
の植物に多い。例:ハギ・レンゲ。
被覆作物ヒフクサクモツ:果樹園の間作として栽培する緑肥作物を特に被覆作物と呼んでいる。
肥料の補給を図り,土壌の浸蝕を防ぐことが目的である。例:ゲンゲ。
微毛ビモウ:肉眼では殆ど認められないような細かい毛。例:ヌスビトハギやフジカンゾ
ウの果実の表面に圧着する鉤状の毛や,ハギの葉の裏の毛など。
皮目ヒモク:樹木の小枝の表面に現れる隆起した小点のことで,枝が肥大生長するに従って
横又は縦に広がり,呼吸の働きをする。例:サクラ・シラカバ。
品種ヒンシュ:植物分類学上の最も下の階級で,種又は変種とは僅かの形質の差で区別され
る。品種は一般に園芸(栽培)品種を指す。
品種改良ヒンシュカイリョウ(育種とも):園芸(栽培)植物を改良して,一段と利用価値の高い
新品種や新雑種を育成すること。
[ふ]
ファンシー咲き(fancy) → ショー咲き
斑入りフイリ:茎や花などに白色,黄色,紅色などの模様が現れること。また模様が現れて
いるもの。その色彩や形状には多くの変化がある。斑入りになる原因には,遺伝によ
るもの,ビールスによるものとがある。
複芽フクガ:2個以上の芽が1ヶ所に固まって着く。
副花冠フクカカン:花冠の中にできる花冠状の付属物。花弁などの一部が増大したもの。例:
スイセン。
副萼フクガク(外萼とも):萼の近くにある包葉が萼のように見える場合をいう。例:フヨ
ウ。
覆土フクド:@種子を蒔いてから,その上に用土を被せること。A植物を植えてから用土
を被せること。
伏毛フクモウ(圧毛とも):茎や葉などの面に密着して寝ている毛。例:ヤマツツジ。
複葉フクヨウ:単葉に対する語。葉身が2枚以上の小葉からなる葉で,羽状複葉と掌状複葉
がある。
覆輪フクリン:斑の一種。白色,黄色,紅色などの斑が,中央の緑色を取り囲むようにして
現れるもの。斑の幅の広い深覆輪,特に狭い糸覆輪,緑色との境界が特に不規則な覆
輪崩れなどがある。
袋掛けフクロカケ:果実の外観を美しく保ち,また病害虫の防除を目的として,個々の果実に
紙袋を被せること。例:モモ・リンゴ。
袋芽フクロメ:花は花芽が蕾ツボミとなり,次いで花になるが,葉は葉芽が袋芽となり,次い
で葉になる。即ち袋芽は花の蕾に相当するもの。
不結実性フケツジツセイ:果実ができない性質,又はできても成熟に至らないうちに落果する
性質。この原因は栄養状態によっても起こるが,一般には遺伝的な性質によって起こ
る場合を指しており,生殖器官の不十分と不親和によって起こる。
不親和性フシンワセイ(不和合性とも):花粉又は胚珠が正常であり,完全な機能を行っても
結実不良になる性質。花粉と胚珠の親和を欠いていることによる。
浮水葉フスイヨウ(浮葉フヨウとも):沈水葉チンスイヨウに対する語。ヒルムシロ,サンショウモな
どの水面に浮かんでいる葉のこと。
腐生植物フセイショクブツ:腐植土のような半ば分解した有機物を栄養分として採り入れて生活
する植物をいい,葉緑素を欠き,緑色をしていない。例:ギンリョウソウ・ショウキ
ラン。
付属体フゾクタイ:@スミレの種子に着いている種枕,Aスミレの萼ガク片の付着点を越えて
延長した部分,Bテンナンショウの類の肉穂花序の上に突出した棍棒状のものなどを
往々付属体と呼ぶことがある。
付属根フゾクコン:茎から出る鬚ヒゲ状の根で,他植物の幹や岩壁に付着して茎を密着させ,
茎を攀じ登らせる根。例:キヅタ・ツルマサキ・ノウゼンカズラ。
普通名フツウメイ:学名に対していう。世界各国がそれぞれ自国語で呼んでいる植物の名。わ
が国で用いられている普通名を和名という。例:ナズナ・オミナエシ。
仏炎包ブツエンホウ:マムシグサやミズバショウなどの花序を取り巻いているラッパ状の総包
をいい,サトイモ科とウキクサ科に特有。
不登花フトウカ(不稔花とも):登花に対する語。雄蘂オシベ,雌蘂メシベが不完全で実を結ば
ない花をいう。例:ガクアジサイ・ヤブデマリの装飾花。
舟底挿しフナゾコサシ:挿木の一方法。挿し穂が細長く軟らかい茎の場合に応用する。先端と
基部とを地上に出し,中間部を土壌中に埋め込み,舟底形にして挿す方法。
冬芽フユメ・トウガ:夏芽に対する語。夏から秋,樹木の枝の先端や葉腋にでき,冬を越す芽。
冬の寒さを凌ぐためのもので越冬芽ともいう。多年草では地下茎にできる。高温,多
湿の熱帯地方の樹木にはできない。
ブランチング(branching,枝打性・分枝性とも):花茎が上部で分枝する性質,又は分
枝している姿。
フレーム(frame):植物を栽培又は育種するために用いる苗床の一種。普通は木製の框
カマチで組み,加温又は保温して用いる。
分果ブンカ(分離花とも):1個の子房が分裂してできた果実。シソ,サルビアなどのシ
ソ科植物は子房が4裂し,果実は4個の分果になって離れ落ちる。セリ,ミツバなど
のセリ科植物は2個の分果となる。
分球ブンキュウ:@球根から自然に殖えた子球を分離すること。A球根を人工的に処理して
子球を発生させて分離して新個体を作ること。例:ユリ。
分蘖ブンケツ:根元から出ている子苗を分離して新個体を作ること。例:アヤメ。
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