33a 園芸植物用語解説その2
 
[つ]
追熟ツイジュク:@果実が採種後,食味が良くなり,香気を増して成熟する現象。後熟とも。
 A完熟した果実は収穫の際に傷みやすく,脱落しやすいので,早目に収穫,貯蔵して
 自然に完熟させること。
追肥ツイヒ・オイゴエ:元肥の肥効の不足を補う目的で施す肥料。
接木ツギキ:植物のある部分(根・幹・枝・芽など)を採って(接穂と呼ぶ),別の植物
 のある部分(根・幹・枝,台木と呼ぶ)に接着して両者の癒着を計り,新個体を作る
 こと。その方法に切接ぎ・削接ぎなどの枝接ぎ,芽接ぎ,根接ぎ,寄接ぎなどがある。
 例:リンゴをカイドウの台木に接ぐ,モモをウメやアンズの台木に接ぐ。
接木雑種ツギキザッシュ(栄養雑種とも):接木によって生じた雑種のことで,2種の台木と
 接穂との間の物質的交流が生殖細胞形成に影響して生じた遺伝性のある雑種。
接挿木ツギサシキ:根のない根幹を台木として,これに別の植物を接木する。同時にこの台
 木を挿木して発根させるもので,接木と挿木を同時に行う方法。
接蝋ツギロウ:接木のときに接木部の被覆用として用いる蜜蝋と松脂とを主な原料とし,こ
 れに獣脂,アルコールなどを混入して作る一種の粘着性物質。
壷形花冠ツボガタカカン:気合弁花冠の一種で,花冠の筒部が膨らみ,口の部分が狭くなって
 壷形をした花冠をいう。例:カキ・アセビ・ドウダンツツジ。
梅雨挿しツユザシ(夏挿しとも):挿木の一方法で,梅雨期(大体5月上旬〜7月中旬)に
 堅くなった新枝を挿す方法。
 
[て]
低温処理テイオンショリ:球根を促成するとき,初め低温に晒してから加温する方法。
低山帯テイザンタイ:植物の垂直分布上の植物帯の一つで,丘陵帯と亜高山帯との間に位置
 し,本州の中部山岳地帯では大体海抜500〜1500mの高さ。代表的な樹木はブナ,ミズ
 ナラ,サクラ,カエデ,シラカバ,シデ,クリ,ヤナギなど。
丁字状毛テイジジョウモウ:柄の短い丁字形で磁石の針のような毛。例:ミズキの葉の裏に圧
 着している毛。
丁字着テイジチャク:雄蘂オシベの葯が中央の1点で花糸の先端に着き,丁字形をなすこと。例
 :ヤマユリ・イネ・タケ・ヤツデ。
低出葉テイシュツヨウ:高出葉に対する語。地下茎又は地上茎の下部にある葉で,一般に小形で
 鱗片状,膜状などのものが多い。例:ヤマユリの茎の下部の鱗片状の葉。
底着テイチャク:@雄蘂オシベの葯の一端が花糸の先端に着いていること。例:ユキノシタ。A
 葉の着き方のことで,楯着に対して普通の着き方を表現する場合にいう。
低木テイボク(潅木とも):高木に対する語。高さ1〜5mの樹木で,1m以下の樹木を小低
 木という。
摘花テキカ:不良花房の花や,花数の多いところを中心に,開花直前から開花中にかけて花
 を摘み取ること。
摘果テキカ:果実の品質向上,樹勢の衰弱防止,隔年結果の調整,幼樹の生長促進,病虫害
 に侵された果実の除去などを目的として果実を全部成熟させずに一部のものを幼果の
 うちに摘み取ること。
摘心テキシン:樹の新梢を摘み取ること,又は草木類の茎の頂芽を摘み取ること。
摘葉テキヨウ:生育を良くするために余分の葉を摘み取ること。
デコラチーブ咲き(decorative):舌状花が沢山重なり合っていて,芯が見えない咲き
 方。例:ダリア。
電照栽培デンショウサイバイ:短日植物を長日の季節に咲かせるために,夜間電灯照明をして,
 日長を長くしたのと同じ効果を出させる栽培法。例:キク。
 
[と]
冬季剪定トウキセンテイ:落葉樹の形態の維持や枝の生長と結果の調和とを図ることを目的とし
 て,落葉している冬季に行う剪定。
冬至芽トウジメ:地下茎が秋の短日と低温(5℃以下)に晒された結果,太く長くなりロゼ
 ット状に発生した芽。
倒生胚珠トウセイハイシュ:胚珠の柄が曲がって珠孔のある上部の下の位置にきているもの。例
 :ユリ。
苔立ちトウダチ:葉茎類や根菜類では,花芽が形成されて,それらが発育し始めると,それ
 がロゼット状態から茎が伸長して開花するようになること。
藤本トウホン:蔓性の木本類のことで,茎自身で他物に巻き付くか,又は巻き髭で支えて上
 昇する蔓性の茎のうち,特に木質で丈夫なものをいう。例:フジ・アケビ・マタタビ。
土中植物ドチュウショクブツ:ラウンケルの生活形の一つで,冬芽が地表下面に形成されて越冬
 する植物をいう。例:ユリ・キキョウ。
徒長枝トチョウシ:発育枝のうち,生育が特に早く,著しく長大に生長する枝。
突然変異トツゼンヘンイ:交配によらず,何かの原因で突発的に,親とは異なった形質の新器
 官を生じる現象で,この性質は子孫に遺伝される。人為的に突然変異を起こして有用
 な形質を作ることを人為突然変異育種という。
土用芽ドヨウメ:春に枝や葉を伸ばし,その後生育を中止し,7〜8月に再び芽を出して枝
 や葉を着ける芽。例:ナツメ・エノキ。
ドライフラワー(dried flower) → 永久芽
取木トリキ:樹木の枝を切り取らずに,先に枝に根を発生させてから,親木から切り離して
 新個体を作る方法。
トンネル栽培:割り竹やプラスチックで,半円形でトンネル状の骨組みを作り,作物の
 保護と生育の促進とを図る栽培法。
蜻蛉葉トンボバ:多くは左右に二つずつ翼片を持ち,中央の片が長い尾のようになってい
 るので,この名が付いた。この翼片はときに一対になることがあり,これを鍬形葉と
 呼ぶ。
 
[な]
内果皮ナイカヒ:果皮3層のうちの最内層のことで,例えばモモでは俗にいう”種”,カキ
 では種子を包むゼリー状の部分,バナナでは食用部,ミカンでは10個内外入っている
 俗にいう”袋”の部分。
内向葯ナイコウヤク:葯が花の中心に向かった面で裂ける葯のこと。例:スミレ・フクジュソ
 ウ。
夏芽ナツメ:冬芽に対する語。春から夏に形成され,その年のうちに開いて伸長する芽で,
 冬芽と違って鱗片葉で保護されることはない。キュウリやナスなどの草本の芽。
夏接ナツツギ:接木の一方法で,生育中,大体夏頃に行う接木であり,普通は芽接が行われ
 る。
軟毛ナンモウ:軟らかい毛。例:トマト・タバコなどの茎の毛。
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