32a 園芸植物用語解説その1
 
[お]
追掘りオイボリ(追掛掘とも):樹木を移植するとき,幹の周りを円形に掘り巡らす方法で
 なく,根の姿に従い放射状に掘り,根を切ることなく末端まで掘り出すこと。
黄化オウカ処理:挿木において,発根しにくい場合に黄化処理をする。挿し穂を箱に入れる
 か,黒布か黒紙で覆い日光を当てないようにすること。
扇立ちオウギダチ:茎幹や葉が根元から沢山叢生し,それが一平面に並んで扇を拡げたよう
 な姿になること。
大形ポンポン咲き → ショー咲き
置植えオキウエ(浅植え・高植えとも):水沢地又は必要上,地面に盛土して其処に樹木を
 植えること。
置肥えオキゴエ:肥料を地中に埋め込まずに地上に置いて与えること。
オーキッド咲き:一重咲きで花片の縁が内方に曲がり,細く筒状となり捩ネジれる咲き
 方。例:ダリア。
雄蘂オシベ:花の中にある雄性生殖器。細長い糸状の花糸と,その先にあって花粉を入れ
 る葯ヤクとからなる。
雄花オバナ → 単性花タンセイカ
親木オヤキ:挿し穂又は接穂を採るときの元の木。
温室植物オンシツショクブツ:熱帯や亜熱帯植物で,温室で栽培する必要のあるもの,生育がよ
 いものを指す。
温床オンショウ:冷床を積極的に加温した床。主として促成栽培の苗床に利用します。
温度障害オンドショウガイ:冷害,凍害,寒風害,霜害,晩霜害などの低温,並びに日焼けな
 どの高温による障害。
 
[か]
科カ:植物分類上の一の階級。目又は亜目と族との間に位置する重要な単位。例:バラ科
 ・キク科。科の下に亜科を置くことがある。例:バラ亜科・サクラ亜科。
外花被ガイカヒ:内花被に対する語。花被のうち萼ガクに相当するものをいう。
外果皮ガイカヒ:果皮の最外層。中果皮より薄くて硬い。
塊茎カイケイ:園芸上では地下茎又は地上茎の先端分を貯え,肥大して塊状になったもの。
 チューバー(tuber)。
塊根カイコン:園芸上では,養分を多量に貯えて肥大し塊状になった貯蔵根。ルートチュー
 バー(root tuber)。
開出毛カイシュツモウ:毛の種類に拘わらず,茎や葉などの面から直角に出ている毛。例:ゲン
 ノショウコ。
回旋状カイセンジョウ(包旋状・片巻きとも):@芽中における葉のたたまれている状態の一
 つ。例:タケ。A萼ガクや花弁の芽中におけるたたまれ方の一つ。例:アサガオ。
外旋状ガイセンジョウ(外巻きとも):内旋状に対する語。芽中において葉のたたまれている
 状態の一つ。例:ギシギシ。
頴割れカイワレ(貝割れとも):発芽したばかりの幼植物。例:カイワレダイコン。
返咲きカエリザキ(二度咲きとも):春に開花したものが再び秋に咲くこと。例:ヤマブキ
 ・ボケ。
花芽カガ・ハナメ:葉芽に対する語。発育すれば花となる芽。中に小さな蕾ツボミがある。
夏芽カガ・ナツメ:冬芽に対する語。春から夏に形成され,その年のうちに開いて伸長する
 芽。例:キュウリ(草)・ミズキ(木)
花蓋カガイ:萼ガクと花冠が同質で区別できないとき,両者を併せて花蓋と呼ぶ。外側の萼
 に相当するものを外花蓋,内側の花冠に相当するものを内花蓋という。例:ユリ・ア
 ヤメ。
踵挿しカカトザシ:挿木の一方法。一年生の枝の基部に前年生の枝の一部を踵状に付けて切
 り取って挿し穂にする。
花芽分化カガブンカ:栄養成長が進むと,生殖成長が始まり花芽を形成することをいう。そ
 の時期を花芽分化期と呼ぶ。
花冠カカン:1花中にある花弁全部を合わせていう。花被のうち萼ガクの内側にあるもの。
 サクラの花冠は5枚の花弁からなる。一枚一枚離れているものを離弁花冠。例:サク
 ラ・アブラナ。合着しているものを合弁花冠という。例:ツツジ・アサガオ。
鉤状毛カギジョウモウ(鉤毛とも):先端が編物針のように曲がった毛。例:ヤエムグラの果
 実の毛。
夏季剪定カキセンテイ(緑枝剪定とも):葉が茂っている時期に行う剪定で,冬季剪定の補助
 手段。摘芽,摘心,摘枝なども夏季剪定に入る。
核カク:内果皮が木質化して硬くなったもので,この中に種子が入っている。例:モモの
 種タネ。
萼ガク:被子植物の花被2層のうち外層のもの。一枚一枚を萼片という。
核果カクカ(石果とも):外果皮が薄く,中果皮が多肉で水分に富み,内果皮が厚く木質化
 して硬くなっている果実。例:ウメ・モモ。
角果カクカ:アブラナの果実のように2枚の心皮からなる角状の果実で,裂けるとき中央の
 隔膜を残して左右の片に分かれて脱落するもの。その形の長いものを長角果(例:ア
 ブラナ),短いものを短角果(例:スズナ)という。
革質カクシツ:葉の質感を表す語で,葉にやや厚味があり,しなやかな弾力があり,なめし
 革のような感じがある。常緑樹に多い。例:アオキ・モッコク。
カクタス咲き:分裂した花冠の裂片や花弁の縁が外側に反転して筒状となり,先端は広
 がったり,又は捩ヨジれている花の咲き方。例:ダリア。
殻斗カクト:多数の包葉が合着してできた杯状又は袋状の総包で,ナラ類の果実の基部を包
 む椀状もの,クリやシイでは果実全体を包む。
萼筒ガクトウ:合片萼において下部の合着して筒になった部分をいう。例:サルビア・ナデ
 シコ。
隔年カクネン結果:果樹が多量の結果をみた翌年は結果が僅少となり,それを交互に繰り返
 す現象をいう。例:カキ。
角斑カクフ:斑の一種。縞斑シマフの途中が断絶して白斑部が長方形を呈するもの。
学名ガクメイ:生物(植物と動物)の世界共通の名。植物の学名は「国際植物命名規約」に
 基づいてラテン名で記載される。種を表すには属(genus)+種(species,種小名と
 もいう)+命名者(author)の形で表される。園芸植物の学名は「栽培植物国際命名
 規約」に基づき寝園芸品種の表記は’ ’で表される。
萼裂片ガクレッペン:合片が萼において上部の離れている部分をいう。例:リンドウ・サク
 ラソウ。
花茎カケイ:葉を着けないで上部に花だけ着けている茎。例:タンポポ・ヒガンバナ・ネ
 ギ。
陰作りカゲヅクリ:日光にあまり当てずに育てること。
花喉カコウ:サクラソウやナデシコなどの,細長い花冠の筒部の入口(のど)のところをい
 う。
花梗カコウ → 花柄カヘイ
下向毛カコウモウ(逆毛とも):毛の種類に拘わらず下方を向いている毛。例:アサガオの
 毛。
仮根カコン:シダ類の前葉体ゼンヨウタイやコケ類などに生ずる簡単な根。
花菜カサイ:野菜のうち,花や蕾ツボミを食用に供するもの。
果菜カサイ:野菜のうち,主として果実や種子を食用に供するもの。例:キュウリ・ナス・
 トマト。
重ね咲きカサネザキ:萼ガクや花弁,花片が二重又はそれ以上に重なっている咲き方。
花糸カシ → 雄蘂オシベ
花式図カシキズ:萼ガク,花弁,雄蘂オシベ,雌蘂メシベなどの位置,配列状態を模式図モシキズに
 描いたもので,花の構造が分かる。
花軸カジク:花序の中心となる茎で,これから花柄が出る。
仮軸カジク:主軸の先端の生長が止まり,側枝が発達して主軸に代わり,主軸が枝のよう
 に見えるもの。例:ブドウの茎。
仮種皮カシュヒ:種皮の外側を覆うもので,胚珠の着いているところ,つまり胎座の一部が
 受精後異常に発育して肥大したもの。例:マサキの種子の赤い皮。
花序カジョ:花が茎に着く状態。例:散形花序。
果序カジョ:花序が花の時期を過ぎて果実になったもの。
芽条変異ガジョウヘンイ(枝変りとも):突然変異により一つ又は数個の異なった枝を生ずる
 こと。
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