23 風車・鉄線
 
              風車カザグルマ・鉄線テッセン
 
                  参考:世界文化社発行「世界文化生物大図鑑」
 
[クレマチス属]
 クレマチス属は世界の主に北半球,特に中国,朝鮮半島,日本などのユーラシア大陸
を中心に約200種,日本には14種があります。原種のうち園芸的には,中国中部原産のテ
ッセンや中国東部原産のラヌギノーサ,中国西部からモンゴル原産のタングーティカ,
日本原産のカザグルマ,アメリカテキサス州からメキシコ原産のベニバナハンショウヅ
ル,ヨーロッパ南部原産のビティケラ,中国・シベリア原産のキクザキハンショウヅル
などが有名です。これらの種間交配,品種間改良が行われ,多くの品種が作出されてい
ます。
 
○カザグルマ
 カザグルマ(風車)は原産地は日本(中南部以西),朝鮮半島,中国東北の南部,3
〜4m伸びる蔓性落葉木本で樹木の縁を絡まって上ります。庭に植えたり,交配親として
品種改良に用いられます。蔓は細く褐色で,葉は対生し,3出葉のときは再び3出し,
小葉は卵形又は狭卵形で先が少し尖ります。5月頃枝先に1花をつけ,径10p以上ある
花弁状の萼片ガクヘンは普通8枚あり,淡青色か白色で香りはありません。八重咲きのヤエ
カザグルマもあります。種子は長尾毛がある痩果ソウカで,集まって頭状の果実群を作りま
す。
 栽培:繁殖は挿し木か取り木によります。冬の寒さには耐えますが,夏の暑さに弱く,
特に根元に直射日光が当たるのはよくありません。土質は選びません。
 
○テッセン
 テッセン(鉄線)は原産地は中国南部,樹縁部に生育し,2〜3mになる落葉性蔓性木
本で,茎は細く質は硬く,葉は互生します。花は5〜6月に葉腋ヨウエキから長柄を出し,
その先につく花弁のような6枚の平開する萼片ガクヘンは径6〜8pで美しい。萼片の色は
乳白色で香りはありません。痩果は頭状に集まり,通常結実しません。庭にアーチ作り
として植えたり,切り花とします。代表品種には淡紫紅色のバリレエ・デルシャン,白
色のベル・オブ・ウォキング,香りのある白花のダッチェス・オブ・エジンバラ,紫青
色のアンディヌなどがあります。
 栽培:繁殖は挿し木,取り木によります。夏期の乾燥に弱いです。前年の茎に花を持
つため,剪定は枯れ枝を取る程度にします。
 
[クレマチスの園芸品種]
 クレマチスの品種を分類するのに,花色による分け方もありますが,園芸上は次のよ
うに分類しています。ただし,最近の品種にはこれらを複雑に交配して作出された品種
も多く,分類できないものもあります。
(1)カザグルマ系
 前年の枝に5〜6月頃,15〜20pの大型の花をつけるものです。
(2)テッセン系
 6月頃前年の枝に花をつけ,他群より草丈が短く,八重咲きの品種が多い。
(3)ラヌギノーサ系
 5〜6月,新梢シンショウに大型の花をつけるもので,クレマチスと称しているものの中で
は重要な系統です。
(4)ジャックマニー系
 ビティケラや,大輪のラヌギノーサなどの交配種群で,5月から秋まで連続的に新梢
に花をつけます。
(5)テキセンシス系
 鮮やかな赤紫色で壷形の花を,6月から晩秋まで新梢につけます。萼片ガクヘンは先が外
側に捲マクれます。
(6)ビティケラ系
 他群に比して萼片が少ないのが特徴です。
 
「クレマチスの育て方」
○性質
 日当たり,風通しのよいところを好み,排水のよいところで乾燥しない場所が適地で
すが,夏の高温や特に夏の間株元に日が当たりますと生育が悪くなります。移植には比
較的弱いです。ネマトーダの被害に遭いやすいので,ネマトーダのいる庭では,鉢植え
で楽しんで下さい。
○植え付け
 苗はビニールポットで売られています。厳寒期と梅雨期から夏の終わりまでを外して,
庭に定植して下さい。ただ,4〜5月に売り出される新苗は,いきなり庭に定植しても
順調に育ちませんので,一旦鉢植えで管理し,翌年に定植して下さい。
 定植用の植え穴は,約30p程掘り返した土に腐葉土を2〜3gと苦土石灰一握りをよ
く混ぜます。支柱を立て,残っていた土の半分を戻して定植に取り掛かります。ポット
から苗を抜いて植え穴に置き,周囲に土を戻していきます。穴の八分目まで土を入れま
したらバケツ1杯の水を注ぎ,水が引いたところで残りの土を戻します。
 クレマチスを定植する際,元肥に化成肥料は施しません。窒素分の多い肥料や,十分
に発酵していない油粕を施しますと確実に根腐れを起こします。また根際から上2節位
を土中に埋めて下さい。これは,地上部の蔓が生理的原因によって枯れることがあって
も,地中から新しい芽が出る可能性が強いからです。
○管理
 定植が終わりましたら支柱に蔓を絡ませますが,2〜3mは真っ直ぐ伸ばします。蔓を
垣根に這わすときは翌年2月に誘引して下さい。
 庭植えのクレマチスの管理で特に大切なことは,夏の間株元の温度が上がらないよう
にすることです。堆肥を株元に敷き詰めるとよいでしょう。潅水は日中を避け,早朝か
夕方にして下さい。また,ネマトーダを駆除するために,冬期に石灰硫黄合剤150倍液か
ベンレート水和剤500倍液を土中に注入します。
○繁殖
 一般家庭においては,蔓伏せが確実で最適です。当年伸びた蔓が花を咲かせ,充実し
た茎になった6〜7月に,4〜7節毎に節を土中に埋めて発根・発芽させます。節は3
p程度埋め,針金をU字形に曲げて節を押さえますと,1ケ月位で土中の節からは根が,
地上部の節からは芽が出ます。この幼株は翌年の2〜3月に切り離して鉢に上げます。
更に1年間支柱を立てて肥培し,春に定植します。

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