21c 椿・山茶花
 
「ツバキ・サザンカの育て方」
○性質
 やや粘質の有機質に富む肥沃地を好みます。温暖な地域でも冷たく乾いた風には弱い
ので,冬の空っ風を防ぐところがよく,強い西日の当たらないところで育てましょう。
○植え付け
 東京付近では3月下旬〜4月中旬(春の萌芽前)と,新芽の生長が一段落した9月下
旬が適期です。植え穴には堆肥や腐葉土を十分に入れ,水はけをよくするためにやや高
めに植えます。
○仕立て
 一般的な樹形は円筒形の刈り込み仕立てですが,丈が低く横張り性の強い品種では半
球状に刈り込んだり,列植して低く平らに刈り込んだりもします。枝打ちの細かい品種
は生け垣にも適します。
○整枝と剪定
 円筒形に仕立てる場合,苗木を植え付けてから目的の樹高に達する位までは放任した
侭がよく,一般には2m程に育ったところで刈り込み,整枝を始めます。
 刈り込みの時期は4月中旬から下旬がよく,春咲きのツバキなら花後,できるだけ早
めに済ませて下さい。ツバキ類の花芽は,6〜7月上旬に春から伸び出た新梢シンショウの先
端部にできますので,整枝や剪定が遅れますと,翌年の花が見られなくなってしまいま
す。萌芽力は強く,遅く刈り込んでも土用芽や秋芽は伸びますが,こうした芽には花芽
はつきません。春に刈り込んだ後は,8〜9月に樹形を乱す飛び枝を切る程度に止めて
下さい。
 以上は花の観賞に主眼を置いた整枝法ですが,生け垣などで,花を犠牲にしても形を
密に仕上げたいときは,春芽の伸びが止まった7月,9月,12月と年3回程刈り込みま
す。
○施肥
 12〜2月上旬に,寒肥として堆肥や鶏糞を根元の周囲に与え,新梢の伸び出る4〜5
月,及び枝葉の充実期を迎える9月には,粒状の化成肥料と油粕を等量に混ぜた追肥を
与えます。
○病害虫
 4月下旬〜6月上旬と,7月下旬〜8月上旬に発生するチャドクガの幼虫の食害に注
意して下さい。被害枝を焼却したり,ディプテレックスやスミチオン乳剤を散布して駆
除します。日陰地や通風の良くないところで発生しやすいルビーロウカイガラムシ,ツ
ノロウカイガラムシには,冬期にマシン油乳剤を,アブラムシ,ハマキガの幼虫にはマ
ラソン乳剤,カルホス乳剤などを散布します。
 病害では,初夏の頃新葉が膨らみ淡黄緑色となるもち病,葉に黒褐色の斑点が入る炭
疸タンソ病の予防にダコニール水和剤を,花が褐変して腐る花腐れ菌核病の予防にはベンレ
ート水和剤などを用います。
○成株の移植
 8月下旬〜9月上旬がよいでしょう。枝抜きをして根の負担を軽くし,幹巻きをして
保護してやります。
○繁殖
 7月中旬から8月上旬に充実した新梢を採取し,10p程に調整してから赤玉土か鹿沼
土に挿します。樹勢の強い苗木を得るには接ぎ木がよく,この場合,予めサザンカの実
生苗を台木として用意して置き,3月中旬頃切り接ぎをします。切り接ぎはやや高度な
技術を必要としますが,呼び接ぎ法ですと安全確実です。呼び接ぎ法とは,台木の一部
を削り,其処に,鉢植えのままの穂木の一部を削って接ぐ方法です。接いだ後は活着を
確かめてから,台木の上部は切り捨て,穂木の下部は切り離します。

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