20a 紫陽花
「アジサイの育て方」
○性質
梅雨どきの花として多くの人々に親しまれています。有機質に富み,肥沃で湿潤な土
地を好み,乾燥には弱いです。日陰地にも強いですが,日照不足ですと花つきが悪くな
りますので植え付け場所に注意して下さい。落葉樹ですが,極寒には弱いです。
○苗木の植え付け
暖地では落葉期間中なら何時扱ってもよいですが,東京以北では秋植えより,寒さの
緩んだ3月中旬から下旬が植え付けの適期です。花後の梅雨明けでも植えれますが,こ
のときは枝葉を切り詰めて植え,根の負担を軽くしてやって下さい。ただしその場合,
翌年に良い花をつけることは望めません。痩せ地と乾燥を嫌いますので,植え穴には堆
肥や腐葉土を十分鋤き込み,たっぷり潅水してやりましょう。
○仕立て方と剪定,整枝
根元から叢生して株立ちとなり,放任しておいても半円球状になりますので特別な樹
形作りはしなくてもよいでしょう。アジサイは大株に育てますと真価を発揮する花木で
すので,植え場所は予めスペースに余裕を持たせて植え付けましょう。
アジサイの花芽は10〜11月頃,新梢の頂部付近に形成されますので,9月以降はむや
みに枝先は切り戻さないで下さい。強剪定は花の終わった直後に行います。
コンパクトな樹形を維持したいときは,落葉後に丈が低くて花芽のある枝幹だけを残
して,あとは切り捨てるか,花後に新梢の1/3を切り捨てて2番枝を伸ばし,落葉後に枝
の下部の膨らんだ花芽を1〜2芽残して剪定します。古枝,貧弱な枝条は根際から切り
捨てます。
○花つき
日陰でも生育しますが,半日程度日が当たりませんと花つきはよくありません。ただ
根元に強い西日が当たり,乾燥しますとよく生育しません。花芽は充実した新梢につき
ますので,7月頃リン酸,カリ成分の多い液肥を施しますと,花芽のつきが良くなりま
す。
アジサイ類の花色は,酸性土壌では土中のアルミニウムが吸収されやすくなって青く
なり,アルカリ性土壌ではアルミニウムが吸収されにくくなって赤色を帯びます。肥料
成分も花色に影響し,窒素,リン分が多いと赤く,カリが多いと青くなります。セイヨ
ウアジサイで花色の鮮明なものは,品種特有の花色を出すために適した用土と肥料の配
合が必要になります。鉢植えのセイヨウアジサイで,翌年に元の鮮やかな花色が出ない
ことがあるのは,前述の取り合わせを誤ったためです。
○水やり
乾燥に弱いですので,十分潅水して下さい。地植えのものでも,夏の土用の日照りが
続きますと萎れることがありますので,こんなとき,潅水します(毎日でなくてもよい
)と翌年もよく花が咲きます。
○鉢植えのセイヨウアジサイ
春先に鉢花として出回るセイヨウアジサイは,欧米で改良された品種ですので華麗な
色彩のものが多いです。屋内施設で管理して早咲きにしたものなのですので,普通に管
理すれば在来種と同じですが,花芽の耐寒力がやや弱いです。寒地では簡単な防寒を施
す必要があります。
○繁殖
実生,株分け,取り木でもできますが,一般には挿し木によります。挿し木は6月頃,
よく充実した新梢を1節ずつ切って挿しますとよく活着します。
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