19a 薔薇
「バラの育て方」
○性質
日当たり地か,半日陰で育ち,土質は腐植質に富んだ肥沃な粘質土壌に適します。樹
勢は強健ですが,花は旺盛に伸び出た新梢の先端につきますので,適切な剪定と肥培,
更に病害虫の防除がなにより大切となります。
○苗の購入と植え付け
市販されるバラの苗木には,秋に芽接ぎをしたか,1月に切り接ぎをした一年生苗(
新苗と呼んでいます)が春先に売り出される場合と,更にこの新苗を一夏培養した大苗
が,10月以降,翌春2〜3月にかけて売り出される場合とがあります。初心者でしたら,
例え割高になったとしても,根のしっかりした大苗を購入して植え込んで下さい。また
新苗を購入したときは,そのまま庭に植えないで,1年間は鉢で培養し,大苗にしてか
ら庭に植え込む方がより安全です。
バラは他の樹種と比べ,芽の動き出す時期が早いですので,なるべく早めに植え付け
て下さい。東京以西の暖地では秋に植えるか,寒い1月を避けて2月末までに植え込み
ますと理想的です。植え穴は大きめに掘り,牛糞や堆肥,鶏糞などの有機質をたっぷり
施してから,やや高めに植え,根元には敷き藁をして,凍害や乾燥を防いで下さい。
○仕立て方
四季咲き大輪のハイブリッド・ティー系は,一般に株仕立てとし,冬期の強剪定によ
って古い枝幹を更新し,株の力を保って下さい。多花性のフロリバンダ系はスタンダー
ド仕立てとしたり,花壇の列植に適し,ツルバラ系はフェンス仕立てやポール仕立て,
アーチ仕立てなど,苗の選び方によって幅広い方法が楽しめます。
○整枝,剪定
四季咲き性のバラは,新梢の先に花を咲かせますので,早春に入ってから古い枝幹を
間引き,今年枝も半分位短く切り詰めることで,旺盛な新梢(シュート)を伸び出させ
ます。剪定が不十分ですと新梢の勢いが弱くなり,良い花が見られません。花後は小葉
5枚を残して枝先を切り戻しておきますと,7月頃まで次々と花が咲きます。夏の間は
蕾を掻き取って木の疲れを防いでやり,8月下旬〜9月上旬に軽い切り戻し剪定をして,
秋花に備えます。
これに対して一季咲きのツルバラは,今年伸びています長い新梢には花芽を持ちませ
ん。この枝が開花母枝となって,翌春そこから発生した小枝の先に開花するのです。そ
こで落葉後の剪定の際には,今年伸びた長い新梢を大切にして残しておかなければ,翌
年の花は望めません。四季咲きバラの要領で深く切り詰めたりしますと,花が見られな
くなりますので注意して下さい。
○施肥
12〜2月中旬にかけて,根元の周囲に完熟堆肥,牛糞,鶏糞,骨粉などを十分に埋め
込みます。花の一段落した7月には,油粕と化成肥料を等量に混ぜたものを1株当たり
2〜3握りずつ施して下さい。8月下旬頃にも,秋花に備えて同様の施肥をするとよい
でしょう。
○病害虫
害虫ではアブラムシ,カイガラムシのほか,折角の新梢を傷めるクキハバチ,チュー
レンジハバチなどがつきやすいです。病気ではうどんこ病,炭疸タンソ病,黒星病などが雨
や湿気によって発生しやすくなります。生育期間中は定期的に殺虫剤,殺菌剤を散布し
たり,捕殺に心掛けて下さい。冬期には石灰硫黄合剤を3〜4回散布します。
○トキンイバラ
トキンイバラ(頭金薔薇)は別名ボタンイバラといい,原産地は中国で,江戸時代の
宝永年間に既に栽培されていました落葉小低木です。高さ60〜100p,茎は緑色で稜リョウ
があり,地中に走茎を出して一面に広がります。茎や葉全体に真っ直ぐな刺があり,葉
は3〜5枚の小葉の羽状複葉で,縮緬チリメンのような皺シワがあり,中軸に鈎カギ状の刺があ
ります。花は5月下旬〜6月上旬に咲き,白色の万重咲きで径5p,雄蘂,雌蘂があり
ませんので果実はできません。キイチゴ属の中においては,数少ない観賞用園芸品種で
す。
栽培:繁殖は株分けにより,日当たりを好み,土は特に選びませんが,走茎は植えた
辺りに広がりますので,植える場所を考えて下さい。思いきって間引きをしてみて下さ
い。
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