19 薔薇
 
                薔薇バラ
 
                  参考:世界文化社発行「世界文化生物大図鑑」
 
[バラ類]
○オオタカネバラ
 オオタカネバラは原産地は日本(本州中部以北,北海道),サハリン,南千島,朝鮮
半島,中国,シベリア,北ヨーロッパで,高山植物ですが,タカネイバラとともに鉢植
え,庭植えにされます。高さ1m前後の落葉低木で,枝に刺が密生します。小葉は5〜7
枚,裏面は白色を帯び,中肋チュウロク上に毛があります。花は栽培しますと5〜6月に咲
き,淡紅色で五弁,径5pで,果実は紡錘形,長さ2p,熟しますと朱紅色となります。
タカネイバラは枝がやや細く,花は小型,小葉の数が7〜9枚です。どちらもロックガ
ーデンによく植えられますが,株が広がりますので注意して下さい。
 栽培:繁殖は実生ミショウ,株分け,挿し木,接ぎ木により,日当たりを好んでよく育ち
ますが,自生地では木陰でも生えています。排水のよい土に植え,油粕などを与えます。
 
○サンショウバラ
 サンショウバラ(山椒薔薇)は原産地は本州中部(富士山,箱根周辺)で,庭に植え
たり,鉢植えにする落葉低木ですが,箱根には5m以上の小高木になったものもみられ,
バラ属のうちでは最大になる一つです。多数の小枝を出し,扁平な刺をつけます。小葉
は9〜19枚,葉の両面に毛があり,サンショウの葉に似ます。花は五弁で6月に咲き,
径5〜6p,淡紅色で日に日に淡くなります。
 栽培:繁殖は挿し木,実生により,半日陰位の方がよく育ちます。排水の良い土質を
好みます。実際には,栽培はやや難しい部類に入ります。
 
○コウシンバラ
 コウシンバラ(庚申薔薇)は別名チョウシュン(長春)といい,原産地は中国で,古
くから栽培されていますバラの原種です。江戸時代の文化年間の頃に渡来しました。高
さ1〜7m,枝は緑色で直立し,円柱形,横断面が三角形の尖った刺があります。葉は互
生し,3又は5枚の小葉があり,長さ3〜7.5pの楕円形で光沢があり,鋸歯がありま
す。花は5月下旬に咲き,花色には紅色から桃色まであり,径6p,一重又は八重咲き
で,最もよく咲くのは5月下旬ですが,四季咲き性です。元々中国の改良花木でしたが,
ハイブリッド・パーペチュアル,ハイブリッド・ティーなど現代のバラの親となりまし
た。
 栽培:繁殖は挿し木,接ぎ木により,日当たりを好みます。腐植質の多い土に植えま
す。 
 
○ダマスクバラ
 ダマスクバラは原産地は小アジア(シリア)と考えられていますが,雑種説もありま
す。古代ローマ時代から栽培されていました。大正中期に渡来しました。高さ1〜1.7m,
枝には多くの刺と腺毛があり,小葉は5〜7枚,卵形から卵状楕円形で,鋸歯があり裏
面は有毛です。花は6〜7月,散房花序で多数つき,花弁数も多く,花色は赤,ピンク,
白,ときに斑の入るものもあり,芳香があります。萼ガクは反り巻きし剛毛があります。
二度咲きの性質があり,雑種と考えられています。観賞用だけでなく,香水の原料にさ
れます。
 栽培:繁殖は接ぎ木,挿し木により,日当たりを好み,乾燥し過ぎに注意して下さい。
肥沃な土に植え,牛糞やバーク堆肥を元肥にします。
 
○バラ
 バラは種間交雑がしやすいため,有史以前から栽培されていたこともあって,数多く
の系統と品種が生まれ,現在では世界に15,000以上,日本でも5000程の品種が植えられ
ていると言われています。現在栽培されている園芸品種のバラはブッシュ・ローズ系,
ツルバラ系,シュラブ・ローズ系の三つに大別されます。
(1)ブッシュ・ローズ系
 ブッシュ・ローズ系は株立ち性のバラで,次のタイプに分けられます。
 ハイブリッド・ティー(HT):現代のバラの主流で,花や葉も大きく,色彩は変化
に富み,初夏から晩秋まで咲き続けます。品種の数は数千種になるといわれ,代表的な
ものとしてピース,スーパー・スター,天津乙女アマツオトメ,クリスチャン・ディオール,
プレジデント・L・サンゴールなどバラの名花といわれる品種も多いです。
 ポリアンサ(Pol):四季咲き,花は小輪で房咲き,樹は丈夫で耐寒性,耐暑性があ
り,病気にも強く栽培が容易な系統です。香りはありませんが,開花期が長く,朱紅色
の美しい花色がありますので,花壇,庭園,鉢植えによいでしょう。代表品種としてチ
ャイドール,ピンキー,ファイアー・グローなどがあります。
 フロリバンダ(F):花はPol系よりも大きく,HT系より小さいですが,HT系の
花形によく似た良さと,真夏でも咲き,花色も褪サめないで,豊富な色彩の変化がありま
す。背の低いもの,高いものなどがあって,樹形もバラエティーに富んでいます。代表
的な品種としてはチャールストン,ファッション,プリンセス・ミチコ,リリー・マル
レーンなどがあります。単独に植えるよりも,境栽や寄せ植えとするのがよいでしょう。
刈り込みが強過ぎますと花が少なくなりますので,幾分多めに枝を残すように剪定して
下さい。
 グランディフローラ(Gr):四季咲き大輪房咲きで,HT系とF系との中間のような
系統です。花は大輪で非常に多花性で強健,樹性はHT系より高く伸びるのが多いです。
代表的な品種としてクイーン・エリザベスなどがあります。立ち性の品種ですので強く
剪定しません。古い枝は根元から切り捨て,若く太い枝は切り込みません。
 ミニチュア(MIN):極矮性ゴクワイセイの四季咲き小輪種で,花径は3p以下ですが,花
形がよく,鉢植えや花壇,ロックガーデンに向きます。また,スタンダード作りにもさ
れます。代表的な品種としてはシンデレラが有名です。ノイバラ台に接ぎ木したものは
伸びやすいので,挿し木苗を栽培するとよいでしょう。新芽が伸びてほぼ固まった頃,
5〜6pの長さに切って,赤土や鹿沼土に挿します。剪定は枝を極力詰め,ツツジなど
を刈り込む要領で切ります。内側の混み合っている枝は間引くようにして下さい。
(2)ツルバラ(CL)系
 この系統にはHT系の大輪ツルバラ,テリハノイバラ系の中輪ツルバラ,Pol系の小
輪多花性ツルバラがあります。一般に強健で伸長力がよく,四季咲き性の品種も作出さ
れています。HT系のツルバラは,花つきが多く切り花にも用いられ,3〜4年で見事
な樹になります。代表的な品種に,大輪系ではクリムソン・グローリー(赤色),コン
フィダンス(桃色),ピース(黄色に桃色の覆輪),中輪系ではアメリカン・ピラ(紅
色),ゴールデン・クライマー(黄色),小輪系ではクリムソン・ランブラー(深紅色
)などがあります。
 この系統は毎年,早春と春の花の終わった直後の2回剪定が必要です。6月頃に花の
終わった一昨年の枝を根元から切ってしまい,今年に出た枝の部分を残し,それより先
は切ります。今年に出た太い元気なシュートが,来年の主枝となって花を咲かせますの
で,注意して剪定して下さい。
(3)シュラブ・ローズ(S)系
 ブッシュ・ローズ系とツルバラ系の中間タイプで,樹高2m,株立ちになります。これ
に属する品種は他の系統中にもありますが,次の3タイプに分けられています。
 ハイブリッド・ルゴサ:ハマナスとの交配種で,耐寒性が強く,花期の長い品種も栽
培されています。
 ハイブリッド・マスク:ノアゼットとマルティフローラとの交配品種に,HT系を何
度も交配して多くの品種が作出されました。
 ハイブリッド・ブライヤー:中・小輪の多花性で香りの良い品種が作出され,更に交
配を重ねて,黒星病に強い品種が作出されました。やや高性で株立ちしますので,あま
り切り込まないようにし,内側の込み入った枝は間引くようにします。
[次へ進んで下さい]