15 苺
 
                 苺イチゴ
 
                  参考:世界文化社発行「世界文化生物大図鑑」
 
[イチゴ]
 イチゴ(苺)は別名オランダイチゴ,セイヨウイチゴといい,原産地はヨーロッパで
すが,原種は北米産のものと南米産のものがあり,これらから改良品種として作出され
ました。江戸末期に渡来しました。多年生草本ですが,ランナー(走出枝)が出て,よ
く殖えます。花は5月に咲き,径2〜3p,白色,5〜8弁,花後に花托カタクが肥大して
できる液果は長楕円状円錐形が普通ですが,改良品種によっては扇形になるものもあり
ます。葉は3小葉からなり,根出します。草丈は20〜30p,茎に毛があります。食用(
生食,加工用)として生産されており,ダナー,宝交ホウコウ早生,はるのか,麗紅レイコウ,
ベリースターなどの品種があります。
 栽培:繁殖はランナーの先端にできる小苗を育苗し,9〜10月に植え付けます。日光
によく当て,鶏糞を施すことによって果実が甘くなります。
 
「イチゴの育て方」
○性質
 イチゴは比較的低温を好み,寒さには強いです。生育適温は18〜23℃,日光を好み,
雨を嫌い,夏の暑さや乾燥には弱いです。露地栽培では場所を選んだり,設備や工夫が
必要です。
○苗の入手と栽培
 苗を購入するときは,宝交早生やダナーが家庭栽培に向いています。春に園芸店で花
や実のついた苗を購入して栽培を始める場合は,ランナーの先端にできる子苗を切り離
して育苗します。8月下旬〜9月初め親株に近い大きくなりすぎた子苗は捨て,その先
にある子苗が本葉を3枚つけたときに親株から切り離します。切り離すとき,親株側の
ランナーを2〜3pつけ,先のランナーは短く切ります。
○仮植え
 仮植え床は1m四方の平床にし,完熟した堆肥,鶏糞,遅効性の化成肥料を,1〜2週
間前に鋤き込んで置きます。子苗の根を乾かさないようにして15〜20p間隔に植え付け
ます。苗は浅植えにし,芽の中心にある生長点が埋まらないように注意して下さい。移
植後はたっぷり水やりをし,日差しが強いときは寒冷紗カンレイシャなどで日除けをします。
枯れた葉や新しく出るランナーは摘んで除きます。
○定植
 10月頃が定植の適期ですが,寒冷地では早めに定植して下さい。堆肥,鶏糞などを鋤
き込んで置き,仮植えと同様,根を乾かさないよう,芯芽が地上に出るように植え付け
ます。株間は25〜30pが適当です。植え付け後は十分に潅水をします。活着するまでは
たっぷり水をやりますが,活着後は水を控えませんと,過湿で根腐れを起こしたり,冬
場は潅水による霜害が起こるので注意して下さい。
○施肥
 冬前にはときどき油粕の腐熟液肥を与えますが,冬期は中止し,春に新芽が動き出し
てから,再び液肥,鶏糞を施します。鶏糞は果実の味をよくします。開花後に施肥をし
ますと,果実の腐る原因となりますので,肥料は与えません。
○定植後の管理
 活着しましたら敷き藁をします。この敷き藁は,病気の発生予防,冬の霜害防止,果
実の汚れを防ぐ効果がありますので,是非行って下さい。越冬後,痛んだ葉を中心に,
下葉掻きをします。品種によってはわき芽が沢山出ますので,これも掻き取ります。そ
うしませんと,花も実もできないことがあります。早春,葉の出ない前の花も取り除き
ます。果実を成らせる目安は1株に15個位で,それ以上は摘蕾テキライ,摘果で調整します。
○病害虫
 果実を駄目にする灰色かび病の被害が多いです。敷き藁や下葉掻き,薬剤などで予防
できますが,被害に罹った果実は取り除いて下さい。ほかに斑点病,輪紋病,うどんこ
病などがありますが,ダイセンなどの殺菌剤で防除できます。
 虫害の代表はハダニの発生です。ケルセンなどの殺ダニ剤が効きますが,下葉掻きが
予防に効果があります。イチゴの栽培は果実を楽しむものですから,敷き藁などで予防
しましょう。
○鉢栽培
 特に難しい点はありませんので,露地栽培の延長として考えて下さい。鉢は6号以上
の素焼きのものを用意し,畑土や赤玉土に腐葉土を混ぜて用土とします。鉢なら1株,
プランターなら3〜5株を目安に植えます。芽が伸びましたら薄い液肥か一摘みの化成
肥料を,花が咲く頃まで与えます。土が白く乾いてきましたら潅水します。鉢は日当た
りのよい,風のあまり強くないところに置いて下さい。開花後,25℃以上になるところ
に置きますと,果実の肥大が悪くなりますので注意して下さい。

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