14 木瓜
木瓜ボケ
参考:世界文化社発行「世界文化生物大図鑑」
[ボケ]
ボケ(木瓜)は別名カラボケ,モケといい,原産地は中国,高さ2mになる落葉低木で
す。葉は長楕円形で細かい鋸歯キョシがあり,托葉タクヨウがあります。枝には刺があります。
花期は4〜5月,花は五弁で,花弁の縁が波状に反り返り,径2〜3p,淡紅色で,雄
花と雌花とがあり,果実は長さ10pです。ボケと総称されるものには,ヒボケ,ヨドボ
ケ,クサボケなども含まれますが,日本にはクサボケ1種が自生します。ボケの栽培は
江戸時代から盛んで,今日に至るまで沢山の園芸品種が作出されていますが,主な品種
には次ぎのようなものがあります。
東洋錦:別名サラサボケ,同じ枝の白花と紅花を咲き分け,盆栽・生け垣用。
長寿楽:朱紅色の大輪八重咲き,11月頃から開花,庭木や盆栽にされる。
緋ヒの御旗ミハタ:紅色の大輪一重咲き,切り花・生け垣に用いられる。
その他:近年人気の高い紅白咲き分け品種には安田錦,日月星ジツゲツセイ,八重咲き種
には大八州オオヤシマ,昭和錦,黒牡丹,大輪咲きの寒更紗カンサラサ,白楽天ハクラクテン,銀長寿,
黒光コッコウなどがありますが,園芸品種の中には,母種が判別できないものもあります。
栽培:秋に植え付けます。水はけのよいやや粘質の土を用いて下さい。地植えは腐葉
土,乾燥牛糞ギュウフンなどの有機質肥料を多く与え,鉢植えには油粕の置き肥をします。
繁殖は挿し木が可能ですが,株分け,取り木もできます。剪定は9月以降が無難です。
ボケは太い旧年枝に雌花,その年に伸びた太い枝には雄花がつきやすいです。
「ボケの育て方」
○性質
日当たりのよい肥沃地に適し,排水不良地や,乾燥の激しいところには適しません。
○苗木の植え付け
ボケは9月下旬〜11月に植え付けします。植え穴に堆肥を入れ,植え付け後は根元に
敷き藁をして乾燥を防いで下さい。
○仕立て方
ボケは品種により,立ち性のものと這ハい性のものとがあります。立ち性の東洋錦,長
寿楽などは単植して大株に育てますと見事です。這い性のクサボケ系統の品種は,低い
境栽刈り込みなどに適します。
○剪定と整枝
6〜7月に徒長枝状の長い枝を盛んに伸ばします。しかし,夏の間に枝の切り詰めを
しますと,花芽となるはずの腋芽エキガが葉芽に代わって伸びてしまいますので,剪定は
10月以降にして下さい。その頃になりますと,枝元の花芽が見分けられますので,長い
枝を短く切り戻すなどして姿を整えて下さい。
○施肥
寒肥として1〜2月に堆肥,鶏糞,油粕などの有機質肥料を与えます。その後は花後
と,花芽が分化する直前の8月下旬頃に,化成肥料,配合肥料などを与えるとよいでし
ょう。
○花つきをよくするには
ボケは乾燥が苦手ですので,夏の乾燥が厳しかったりしますと著しく樹勢を損ね,花
芽の止まりも悪くなります。乾きがちなところでしたら敷き藁を施し,晴天が続くとき
は水やりを忘れずにして下さい。
○病害虫
アブラムシ,ハダニ,さび病などの防除に定期的に薬剤を散布して下さい。根部に発
生する根頭癌腫コントウガンシュ病は,軽症ですと罹病リビョウ部を切り取り,切り口にヒトマイ
シン(植物用抗生物質)を塗っておきます。重症のときは株ごと焼却するしかありませ
ん。
○殖やし方
挿し木,接ぎ木で苗を殖やせます。接ぎ木の適期は9〜10月がよく,樹勢の強い品種
(緋ヒの袴ハカマなど)の挿し木二〜三年生苗を台木として切り接ぎをします。挿し木は同
じく9〜10月頃,今年生の充実枝か二〜三年生枝を10〜15pほどに切って,赤玉土か鹿
沼土に挿します。
○鉢植えでの楽しみ方
用土は,赤玉土のような堅めのゴロ土に,荒めの砂及び腐葉土を各1割程ずつ加えた
ものが管理しやすいです。ボケは夏期頻繁に水やりを必要としますので,殊に目詰まり
しないような用土を用いて下さい。鉢替えの適期も秋で,2〜3年に1回行って下さい。
肥料は3月上旬,花後,梅雨明け,10月上旬〜中旬と,年に4回ほど油粕に骨粉を混
ぜた置き肥をして下さい。
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