06 [古来の園芸植物]竹笹類
 
               竹笹類
 
                  参考:世界文化社発行「世界文化生物大図鑑」
 
                   ※筍が生長して葉鞘ヨウショウ(タケの皮)が脱落
                   するものをタケ,何時までも稈に着いて残っ
                   ているものをササといいます。
 
ホウライチク 蓬莱竹:中国南部原産(バンブー),稈カンは叢生ソウセイして株立ち,高さ
  3〜5m,径2〜3p,枝は節ごとに多数生ず,筍は四季,地下茎が走らず刈り込みに
 耐えるので生け垣に適す
 栽培:繁殖は5月株分け,挿し木をする,挿し木は枝のある節を3pに切り,枝は5
 〜10pに切り詰め,鹿沼土にミズゴケを混ぜた用土を用いる
ホウオウチク 鳳凰竹:ホウライチクの変種,小型で稈は高さ2〜3m,径1〜2p,葉
 が小さく鳥の尾羽のように2列に並んでつく,盆栽用・庭用,ホウライチクの変種に
 はほかに稈が黄金色で冬は真紅に変わるスホウ竹(蘇芳竹)・稈の断面に穴のないコ
 マチダケ(小町竹)・葉に白い縦縞タテジマのあるホウショウチク(鳳翔竹)など
 栽培:鉢植えとする,肥料は控え,夏前に出た筍のみを残して育て,稈の先を止めず
 に育てる,小鉢で作ると高さ30p程度
カンチク 寒竹:九州に野生種があるといわれるが,中国原産とも,高さ2〜3m,径
 1pの細稈で帯紫色,枝は短く葉は多数つき淡緑色で艶がある,筍は秋から初冬,和
 風庭園や生け垣・刈り込みものに適す
 栽培:株立ちの姿に雅趣があり,日陰でもよく育ち,刈り込みに耐える,4月下旬〜
 5月に株分け,根伏せする,茂り過ぎないように絶えず剪定と間引きをする
シホウチク 四方竹:シカクダケ・イボダケとも,中国・台湾原産,稈は高さ5〜7m,
 径3〜4p,四角形で中空,稈面に鋭い小さな刺が散在し,節は高く隆起し稈の中程
 以 下の節には疣イボ状の突起がある,枝は1節から2〜3本生じ,葉は大型で長さ
 14〜20p,鮮緑色でよく茂って垂れ下がる,筍は秋,玄関脇や中庭の植え込みに適す
 栽培:温暖な気候を好み,寒風に弱い,株分けは4月下旬〜5月
マダケ 真竹:変種にオキナダケ・コンシマダケ・キシマダケ・ヒュウガハンチク・カ
 シロダケ・ムツオレダケ・シボチク,中国原産とも日本原産とも,稈は高さ8〜20m,
 径10p,節に2本の隆起線がある,枝葉はモウソウチクに比べて疎らで葉は大きい,
 筍は晩春,竹林用として栽培
 栽培:株分けは,秋彼岸に地下茎を根回しし,3月下旬に植え付ける
キンメイチク 金明竹:マダケの変種,稈は高さ3〜5m,径3〜5p,稈は黄色で芽
 溝(芽のある側の溝)に緑色の縦縞があり,黄色と緑色との交互の配色が美しい,葉
 にも白色又は黄色の縦縞が出る,筍は晩春,葉枝を茂らせないで適当に枝抜きし,稈
 の美しさ見せるようにする,マダケの変種には稈の色が緑色で芽溝部が黄色のギンメ
 イチク・稈全体が黄金色で葉は緑色のオウゴンチクなどがある
 栽培:株分けは,秋彼岸に地下茎を根回しし,3月下旬に植え付ける
モウソウチク 孟宗竹:江戸中期に薩摩藩にもたらされた中国原産の竹,日本最大のタ
 ケで稈は高さ25m,径24pに達す,稈の基部の節間は短く,稈の下部の節には隆起線が
 1本,稈の中部の枝のある節では2本の隆起線がある,葉は小型で硬く密生する,筍
 は春,主として筍用で洋風庭園にもよく調和する,変種にキンメイモウソウ・キッコ
 ウチクなど
 栽培:株分けは,秋彼岸に地下茎を根回しし,3月上旬に植え付ける
キッコウチク 亀甲竹:モウソウチクの変種,稈は高さ5〜10m,基部付近の節間は短
 く,1節置きに歪んで片面が膨らみ,反対側は伸びないので節はジグザグ状になり,
 亀の甲のようにみえる,基部から30節内外が亀甲型になるものが良品とされ,上部と
 枝葉はモウソウチクと変わらない,観賞用・細工もの
 栽培:肥料を十分に施すと見事なものができる,台風時に亀甲部から裂けるので,筍
 が3〜4mに伸びたら枝を7〜8節残して剪定すると防げる,ただし枝を切りすぎると
 翌年太い筍が出なくなる
クロチク 黒竹:ゴマダケ・シチク(紫竹)とも,中国原産,稈は高さ3〜5m,径2〜
 3p,稈は始め緑色,秋冬には変色し年々黒紫色になる,筍は春,稈の黒いものほど
 枝条及び葉が繊細で美しく,落ちついた風情は茶庭向き
 栽培:株分けは秋彼岸頃に地下茎を切って根回しし,翌春2〜3月に移植する
ハチク 淡竹:クロチクの変種で中国原産,稈は高さ18〜20m,径8〜12p,鈍い緑白色
 〜帯白色でほかはクロチクと殆ど変わらない,筍は晩春,稈の質が良いので茶器,花
 器,日用品の細工もの・竹箒・竹垣など,ハチクの品種には葉に白い縦縞のあるシマ
 ハチク・稈に黒褐色の雲紋のあるウンモンチクがある
 栽培:クロチクに準ずる
ホテイチク 布袋竹:中国原産,稈は高さ5〜10m,径3〜5p,地際の節間が不規則に
 短く詰まり,節間の上部は膨フクれ下部は括クビれる(寄り節という),寄り節の上部か
 ら急に細くなり節間は交互に1側が溝になり凹ヘコむ,各節から2本の枝を出し更に分
 枝する,葉は長さ約10p,幅約1p,紙質で薄く明るい緑色をしている,筍は晩春,
 釣竿・杖のほか,玄関脇や茶庭の露地向き
 栽培:クロチクに準ずる
メダケ 女竹:シノダケ・ナヨダケとも,本州中部以西に自生,稈は高さ2〜4m,径2
 〜3p,緑色で葉鞘ヨウショウ(タケの皮)は落ちずに何時までも残る,枝は稈の上部に多
 く生じ,葉は皮質で光沢があり先端は下垂する,耐水性・耐潮性あり,筍は初夏,釣
 竿,品種に同一株に幅の広い葉・細い葉・緑葉・白色・黄色又は淡紅色の縦縞のある
 葉などいろいろの葉をつけるハガワリメダケ(葉変わり女竹)がある
 栽培:繁殖力が強く,どんなところにでもよく育つ,古株は切った方がよい
タイミンチク 大明竹:沖縄原産,稈は高さ5〜7m,径1〜2p,地下茎は遠くへ走ら
 ず密生し,枝葉がよく繁茂,葉は鮮緑色で光沢があり,細長くて先端が下垂する,柔
 らかい感じで適当の高さに刈り込むと美しく,生け垣・目隠しに適す
 栽培:株分け,植え付けは4月,刈り込みませんと観賞用にならない
[次へ進んで下さい]