04a 菫データ
 
ナエバキスミレ:高山植物/基準標本・苗場山/分布・本州苗場山などの山地帯〜亜高
 山帯の砂礫地に生える,花は黄色(オオバキスミレの仲間)
ナガハシスミレ(テングスミレ):分布・北海道西南部,本州日本海側の多雪地の林内
 や草地などに生える/花期・4〜5月,花は淡紫色
ナガバタチツボスミレ:分布・本州伊豆半島以西〜九州の林内や草原に生える/花期・
 3〜4月,花は淡紫色で紫条あり
ナガバノスミレサイシン:分布・本州関東地方以西の太平洋側〜九州の林内や林縁に生
 える/花期・4〜5月,花は淡紫色で紫条あり
ニオイタチツボスミレ:分布・北海道南部〜九州の海岸から山地の林縁や野原に生える
 /花期・3〜4月,花はほのかな香りのある紅紫色(濃紅紫色のテリハニオイタチツ
 ボスミレもある)
ノジスミレ:分布・本州〜九州の日当たりのよい道端などに生える/花期・3〜4月,
 花は紫色
ヒカゲスミレ:分布・北海道南部〜九州の林内や林縁に生える/花期・4〜5月,花は
 白色で紫条あり
ヒゴスミレ:分布・本州〜九州の山地の草原や林縁に生える/花期・4〜5月,花は香
 りのある白色で紫条あり(基本種はナンザンスミレ)
ヒナスミレ:分布・北海道南部〜九州のブナ帯の腐葉の多い林内や林縁に生える/花期
 ・4〜5月,花は淡紅紫色(フジスミレもある)
ヒメスミレ:分布・本州〜九州の道端や植木鉢の中などに生える/花期・3〜4月,花
 は濃紫色
ヒメスミレサイシン:分布・本州中部及び関東地方北部のブナ帯からシラビソ帯の林内
 に生える/花期・5月,花は白色で紫条あり
ヒメミヤマスミレ:分布・本州関東地方以西のブナ帯の林内に生える/花期・4〜5月,
 花は白色で紫条あり(ヤクシマスミレもある)
フイリミヤマスミレ:高山植物/基準標本・朝鮮北部,北海道/分布・北海道,本州(
 ミヤマスミレの変種)
フギレオオバキスミレ:高山植物/基準標本・北海道/分布・北海道西南部の亜高山帯
 の草地に特産,花は黄色(オオバキスミレの仲間)
フギレキスミレ:高山植物/基準標本・芦別岳/分布・北海道夕張山地などに生える,
 花は黄色(オオバキスミレの仲間)
フモトスミレ:分布・本州〜九州の山野の疎林,草地などに生える/花期・4〜5月,
 花は白色又は淡紫色で紫条あり
マキノスミレ:分布・本州近畿地方以東の林縁や草地に生える/花期・4〜5月,花は
 紅紫色
ミヤマキスミレ:高山植物/基準標本・鑓ガ岳/分布・北海道,本州中部以北の亜高山
 帯以上の渓流の側やハイマツ林の林縁,草地,砂礫地などに生える,花は黄色(オオ
 バキスミレの高山型)
ミヤマスミレ:高山植物/基準標本・モントリオール付近/分布・北海道〜九州の山地
 帯〜亜高山帯の林縁や草地に生える/花期・5〜6月,花は淡紅紫色(シロバナミヤ
 マスミレもある)
ヤツガタケスミレ:高山植物/基準標本・八ガ岳/分布・八ガ岳特産,花は黄色(タカ
 ネスミレの仲間)
 
〈菫の育て方〉
 
△生育地の環境
 スミレは普通,日当たりのよい草原に生えます。芝のある放牧場や土手などに生え,
「山路来て何やらゆかしすみれ草」と詠まれていますように,山の道の脇に生えている
のをよく見かけます。草原に生える種類にはシロスミレ,シハイスミレがあります。エ
イザンスミレは陰性の種類で,雑木林や杉林の下,特に経路沿いで土の移動がみられる
ところに生えています。タチツボスミレは草原,林縁,石垣の間,ときには林内と様々
の環境下に生育しています。
 亜高山から高山にかけてミヤマスミレ,タカネスミレ,キバナノコマノツメなどが林
内,日の当たるところ,半日陰地などにそれぞれ自生しています。これらの種類は殆ど
採取禁止です。
△自生地に学ぶ
 自生地は人家の近くから海岸付近,平地,山地,林下,高山帯と多様で,それぞれの
環境に適応した種が生育しています。自生地の生育環境のうち,光と水に対する適応力
は種によってそれぞれ差がみられますが,排水がよいという土壌条件は,全ての種に共
通した生育環境の一つとして指摘できます。
 庭先のスミレが自力で飛ばした実生の中には,ところを得て旺盛な生育をするものが
多いですが,手を加えた栽培ではよく育たない場合が多いです。自生地の微妙な環境の
再現が生育の要点となります。
△栽培と管理
 スミレは普通,鉢植え,庭植え,ロックガーデンに植え付けます。鉢植えは多孔質で
やや深めの腰高鉢などを用い,川砂,山砂,赤玉土,腐葉土などを混ぜ,細かい粒子を
除いた,保水力があって排水のよい土で植え付けます。夏は午後半日陰のところに置く
か,ヨシズ,寒冷紗カンレイシャで遮光し,風通しのよい涼しいところでやや乾燥気味に管理
します。肥料は開花後から梅雨期までと,9月中旬から11月上旬頃まで油かすの置肥か
ハイポネックスの1,000倍液などを与えます。11月中旬以降は潅水を徐々に少なくしま
す。暖地系のものは凍らない程度のところに取り入れ,鉢内が乾いてから潅水します。
アブラムシ,ハダニなどが発生しますのでカルホス乳剤の1,000倍液で防除して下さい。
根に瘤コブを作る線虫が寄生することがあります。被害の軽い場合は切除しますが,重症
の場合は焼き捨てるなどして伝染を防いで下さい。気温18℃前後の頃に瘡加ソウカ病が発生
します。ダイセン系の薬剤で予防しましょう。
 庭植えは,春にはよく日が当たり,夏には半日陰になるところを選んで植え付けます。
△増殖法
 実生:用土はミズゴケの粉にバーミキュライトを混用したものがよいでしょう。受精
後下を向いていたさく果サクカが横向きになりやがて上向きになりますが,この頃のやや未
熟のものを採り蒔きにします。
 根伏せ:エイザンスミレ,タチツボスミレ,ミヤマスミレの仲間に適用します。用土
は鹿沼土かバーミキュライトがよいでしょう。時期は4月下旬〜8月下旬とします。
 葉挿し:ミヤマスミレの仲間に適用し,無茎種や種子の出来ない種類を増殖するのに
よいでしょう。生長の止まった葉を,托葉タクヨウを付けて切り取り,バーミキュライト,
鹿沼土に挿します。
 茎挿し:有茎種に用います。葉を付けて1節に切り,葉挿しと同じ用土に挿して下さ
い。

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