03a 松の趣〈盆栽づくり〉
 
 △芽摘み・古葉とり
 春になりますと新芽がぐんぐん伸びてきますが,そのまま放置しておきますと,勢い
のよい枝ばかりが徒長して全体の形が崩れてしまいます。そこで目標の樹形を想像しな
がら,伸ばしたい枝はそのまま伸ばし,押さえたい枝先の芽は摘み取って下さい。
 なお,10月頃,黄色を帯びてきた古葉は全部,手で揉み上げるようにしむしり取って
下さい。
 @クロマツ
  5月上〜下旬,ミドリが伸び立ってまだ新葉の開かないうちに,目安として1/5
 位い元を残して爪先で摘み取ります。ミドリが不揃いのときは勢いの弱いものから摘
 み取り,2番芽の出具合のバランスを図るようにします。また,ミドリが二股に出て
 いるものは太い方の芽を元から摘み取って下さい。
 Aニシキマツ,アカマツ
  飛芽トビメといって,勢いの強すぎるミドリだけを摘み取るようにして下さい。
 Bゴヨウマツ
  若木で勢いのよい新芽だけ,全体の樹形を考えながら,元を1/3位い残して摘み
 取ります。
 △葉刈り,枝抜き
 クロマツの場合,仕立中の若木の中には元気がよすぎて,葉が長く伸び,見苦しいも
のもあります。こうした若木には葉刈りを行います。
 9月下旬から10月中旬頃,どの葉も1/3位い元を残して鋏で切り取ります。この際,
 枝先の新芽はあまり切り込まない方がよいでしょう。葉刈り後は水分の蒸散が少なく
なりますので,潅水は控えめにしましょう。こうしますと,残された葉腰(葉の付け根
)や枝先からでてくる新しい芽は,葉となっても短小となるのです。
 ニシキマツ,アカマツ,ゴヨウマツは原則として葉刈りはしません。
 古葉とりが終わった10月下旬頃から翌年の新芽の動きだす直前までが,マツ類の枝抜
きと針金がけの適期です。込みすぎた枝,徒長した枝などを取り除いたら,目的の樹形
を考えて不要の部分を剪定して下さい。小枝は元から,太い枝は少し残して切るように
しましょう。
 △針金かけ
 盆栽界では「自然作り」といって針金は使わずに,芽摘みや抜きだけで盆栽を作るこ
とを主張する人々もいますが,大方は,樹形作りは針金かけが基本であると思って下さ
い。盆栽の目的は「人工的に美しい形をつくる」ことにありますので,どうしても針金
かけが必要なのです。
 @揃えておく用具
  盆栽を載せて,ときには廻して向きを替えながら作業をする回転台は必要です。
  針金はできたら銅線のもの,銅線は藁火ワラビで焼きなましますと何回でも使えます。
 太い4番線から細い18番線まで3,4種類位い用意して下さい。
 A針金かけの適期
  クロマツとゴヨウマツは10月から翌年2月頃までの休眠期,またニシキマツとアカ
 マツは芽吹き前の3月頃が枝折れの心配もなくて好適です。
 B針金かけの方法
  目標の樹形を考えて,不要な枝は剪定します。まず銅線の先を根元の土中に挿し入
 れて固定し,幹の樹肌を痛めないように下から上へと,縫針1本入る位いの強さで螺
 旋状に巻き上げます。あまり細かく卷くより,幾分緩く巻きましょう。
  幹の次には一の枝にかけ,さらに一の枝の小枝にかけます。続いて二の枝,三の枝
 の順にかけていきます。枝にかけるとき,針金の元は反対側の枝に絡ませて固定させ
 るか,幹の針金に止めておきます。
  かけ方は右卷きでも左卷きでも構いませんが,交差させますと見苦しく,また利き
 方も弱いです。
  曲げようとする太い枝や幹は,事前に手で何回も曲がり癖をつけておきますと,曲
 げやすくなります。
  全体をかけ終わりましたら,目的に従って枝や幹をゆっくりと曲げていきます。そ
 して,静かに頭から潅水し,2週間位いは半日陰で管理します。
 C針金を外す時期
  若木で約6ケ月,老木など完成木で1ケ年位い経過しましたら,針金を外しましょ
 う。あまり長くそのままにしておきますと,針金が樹肌に食い込み,生理上からもよ
 くありません。
 △種木の選び方
 アカマツを除いては,マツ類の入手は容易です。
 種木の選び方は,根元がしっかりしていて根張りがよいことが第一です。次は葉性が
よくて,勢いが良ければ理想的です。また幹に傷のないものを選んで下さい。
 なお,木振りや枝振りは,基本的な姿さえしているば,整姿して美しく仕立てられま
す。
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