GLN 食而健康「鹿角の特色ある料理」

鹿角リンゴ

参考:(大正十年六月二十七日)花輪青年会編輯部発行「鹿角」
 
 北国の冷たい雪の中に育った吾々にとって、南国の山に、畑に常緑木の葉蔭に美しく 色付いた蜜柑が憧憬の一つである如く、南国の暖かさの中に育った人々にとって、雪深 く積もる北国のリンゴも、定めし憧憬の一つでなければならぬ。青、赤、黄、とりどり の彩りは、画家幾人の妙技秘術を傾注しても、到底及ぶことの叶わぬリンゴの美しさで ある。見るに佳く、嗅ぐに良く、味はって更に他果の追従をゆるさぬ鹿角リンゴは、三 十年の過去に於て、既に京阪の市場に於て、其の盛名をかち得たのであった。
 
 明治九年花輪町吉田清兵衛、村山義和、毛馬内町高橋嘉六の諸氏、初めて当時の勧業 寮より苗木の払下げを得て、栽植せしを以て、鹿角リンゴの嚆矢コウシとはする。当時は未 だ之が栽培の智識、経験を有しなかったのと、品種の特性を知らなかった為めに、成績 余りに良好ならざりしも、花輪町佐藤要之助なる人、明治十九年盛岡地方より品質優良 なる四百本の苗木を購入して、之が栽培せしところ、其成績頗る良好なりし結果、漸次 郡内各町村に数百の同業者と広大なる栽培反別を得るに至ったのであった。
 
 明治二十九年花輪町に果樹協会起り、毛馬内町に産業組合の組織するあり、郡の南北 相呼応して共に斯業の発達、進歩を促し、其後之等を統一して、全郡の果樹協会を設立 し、栽培法の研究は勿論、病虫害の予防、駆除、移出品の取締り、販路の拡張等に努め、 或は中央より技術官を招聘し、視察員を先進地に派して、只管ヒタスラ技術の研究を怠らず、 遂に本郡に於ける特産として広く称賛を博したのであった。
 現在の栽培反別約三百余町歩、反別(面積)と其の生産数量に於ては津軽苹果ヘイカ(リ ンゴのこと)一万町歩の夫れには遥か及ばないけれども、品質香味の点に於て追従をゆ るさぬものありとしたならば、栽培当業者の努力と風土、気候、其他所謂自然要素の天 恵に浴することの、特に厚きに依るものとしなければなるまい。
 
 主なる品種として紅玉、柳玉、国光、祝、旭、魁、倭錦等あり。
 之が栽培地は花輪町、宮川村、柴平村、大湯村、毛馬内町等の各町村であって、中に も花輪町の村山元司、瀬田石喜代治、宮川村に於ける岩泉和三郎、田村又蔵、柴平村の 兎沢徳蔵、米田善次郎、大湯村の中村豊次郎、青山源次郎等の諸氏は当業者として有力 な人々である。
 是が販売機関としては、花輪町に鹿角林檎購買販売組合、柴平村に寺坂苹果信用購買 販売組合等あり、販路の主たるものは東京、大阪、名古屋、枇杷島の各市場である。

因みに「リンゴ」とは
参考:北隆社発行「原色園芸植物大圖鑑」
 
「リンゴ」バラ科リンゴ属
 小アジア、コーカサス原産で、江戸時代以前に渡来した落葉高木。葉は扁平で、白い 花を春咲かせる。果実は赤や黄色で生食、ジュースなどに加工される。冬の最も寒い月 の平均気温が -10〜10℃の間の地に適し、東北地方、北海道、長野県などの4〜10月の 平均気温が20℃で、年平均気温が 6〜16℃のところで栽培する。苗木は、落葉直後に植 付ける。
 
 なお、リンゴ属の種には次のようなものがある。
ハナカイドウ(カイドウ、スイシカイドウ)
 中国西部原産の落葉小高木。盆栽、庭木用。わが国にも自生。
ミカイドウ(ナガサキリンゴ)
 中国原産の落葉小高木。庭木、盆栽用。
ベニリンゴ(ウケザキカイドウ)
 本州北部に自生する落葉小高木。切花、盆栽、庭木用。
カイドウ リゼット
 中国北部原産の落葉小高木。盆栽、庭木用。米国で改良された品種。
カイドウ アルプスオトメ
 中国原産の落葉小高木。食用、盆栽用。わが国で作られた園芸品種。
ヒメリンゴ(エゾリンゴ)
 中国原産の落葉小高木。セイヨウリンゴとズミ(ミツバカイドウ)の交配種。盆栽用。
ズミ(ミツバカイドウ)
 本州中北部、北海道、朝鮮半島原産の落葉小高木。鉢物、盆栽用。

鹿角リンゴ
鹿角リンゴ

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