06 晴れの食
 
                       参考:鹿角市発行「鹿角市史」ほか
 
 祝儀・不祝儀の料理で気を付けることは次のような点である。
@季節感のあるものを使う(魚、果物、野菜など)。
A材料は新しいものを使い、同じ材料が重ならないようにする。色の綺麗なものを使う
 (花麩、三ツ葉など)。
B祝儀では縁起の良いものを使う。例えば餅はくっ付く、海老は腰が曲がるまでの長寿、
 鯛は目出度い、昆布は喜ぶに通ずる。鮹と烏賊、人参と大根は紅白を表し、数は奇数
 に合わせた。
C不祝儀には鳥獣魚の肉は使わない。
Dナマスは祝儀ではお膳の左、不祝儀では右に付けた人(処)が多い。
 
〈晴れの日の料理〉
 この場合の晴れとは、冠婚葬祭や年中行事など特別で正式な日のことで、綺麗な着物
を着て、特別なご馳走を頂くのである。
 
△婚礼の料理
 大正初めの花輪地区でのお膳の一例、お膳は高足膳・朱塗縁有り
 
 ○本膳
  飲食は清酒、甘酒
  @ナマス皿(お膳の位置は左上)
   切りナマス(大根・人参・氷頭ヒズ・塩海老入り)を向かい合わせて馬蹄形に高く盛
   る。
  A坪蓋付(お膳の位置は右上)
   花型のオコシ飾りかお菓子、又は卵焼きを盛る。
  B香の物(お膳の位置は真中手前)
   半紙を四つ切りにして裏に折り、沢庵二切れを盛り付ける。香の物は器を用いな
   いので、皿数に入れない処もある。その時はもう一品の器に数の子と紫蘇の穂を
   短く切ったものを出す。
  C蓋付(お膳の位置は左手前)
   ご飯を一口盛る。
  D蓋付(お膳の位置は右手前)
   ナメコの味噌汁一口盛る。
   なお、鶏は飛ぶ、落ち着かないとして本膳では使わなかった。
 
 ○二ノ膳
  @蓋付(お膳の位置は左上)
   鱸スズキの切り身入り吸物
  A五寸蓋付(お膳の位置は右上)
   甘煮(舞茸・人参・牛蒡・里芋・ササゲ豆)
  B三ツ盛(お膳の位置は真中手前)
   大皿に鯛かキンキンの尾頭付・羊羹・キントン
 
 ○御膳の口 − お給仕が運ぶ
  @吸物(時季の魚で鱈・豆腐・葱)を伸べ、銚子を注ぐ。そして一人一人下座へも運
   ぶ。
   それからお盆に載せて、
  Aお茶碗蓋付(春雨・ハモ・花麩・筍・銀茸・芹)
  B小皿(ヤリイカとシボリ醤油)
 
  次のお盆二つには、
  @メヌキと巻麩の吸物
  A焼魚(鮭か油目(アイナメ)の切り魚)
 
  続いて、
  @お浸し(時季の物で茄子焼き)かデンブ(大根入りキンピラ)
  A酢の物(ホッキ貝(ウバガイ)に菊の花)
 
 そして引出物を出し、ご飯と味噌汁を給仕する。また漬物(鰊漬け・鰰の飯鮨)入りの
お重を回し、銘々が取って次の人へ回す。
 お膳の残りは「送り膳」として自宅まで届けた。
 
 農家では普通、口取クチトリや鮹と烏賊の刺身など七つ、吸物二つ、お茶碗一つなどを出
し、お重かお椀に餅を盛り、粒餡に砂糖・胡桃を薄く掛けたお汁粉を進めた。またご飯前
に蕎麦切りや濁酒を出した。食べ残しは藁苞ワラヅトに入れて持ち帰った。
 決め酒(結納)や年祝などでは、縁起を担いで桜湯を出した。このようなときの料理
は、五つか七つの皿数にした。
 
△葬式(仏式)の料理
 前日の夜詰ヨヅメ(通夜)の際、近い親戚は五重にご飯や味噌付けタンポ、お萩や饅頭・
餅・白和え・油炒め・煮物など五種の品を持参した。それを集めて皿に盛り、弔問客に差し
出す。近所の人は豆腐十二丁、野菜などを届けた。
 
 大正初め、花輪柴平地区の葬式料理は次のようなものであった。
 
 ○本膳
  @蓮華の粉菓子(白)・果物
  A煮付(五色)
  B精進揚(天麩羅)
  Cナマス
  Dお茶碗
  E煮じゃ昆布
  F吸物
 飲物は濁酒・甘酒などを出した。また煮豆・お浸し・キンピラ牛蒡などを出す処もある。
ご飯のときには、うち豆腐又は納豆汁、漬物二切れを出す。花輪以外では餅も出した。
 花輪の大家では大正時代からケイランを出した。またご飯の後、胡麻煎餅一枚を湯桶
に入れてお湯を注し、お茶代わりとした。
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