05 飲食に関わる短歌
参考:吉川弘文館発行「古事類苑」
△飲食
たまだれのこがめやいづらこよろぎの 磯の浪分おきにいでにけり
(古今和歌集 十七雑上 としゆきの朝臣)
いせのうみに年へてすみしあまなれど かゝるみるめはかづかざりしを
(後撰和歌集 十八雑四 いせ)
白雪のふれる朝のしらがゆは いとよくにたる物にぞありける(藤原仲文集)
△料理 つゝみ焼
わきもこが身を捨てしより猿澤の 池のつゝみやきみは恋しき
(拾遺和歌集 七物名 祐見)
△同 ふな
いにしへはいともかしこしかたゝぶな つゝみやきなる中の玉章
(新撰和歌六帖 三 衣笠内大臣家良)
△同 鮒の和布巻フナノメマキ
此ほどは妻にてまかるゝ伊勢守 鮒となりてや口にのるらん
(類聚名物考 飲食三)
△同 蒸物
君が為衣のすそをぬらしつゝ 春の野に出てつめるわかなぞ(大和物語 下)
△同 包丁人
大鯉のかしらを三にきりかねて 片われしたる在明の月(七十一番歌合 下)
△同 調采
よもすがらあすのてんしんいそぐとて 心もいらぬ月をみる哉(七十一番歌合 下)
△粥
白雪のふれる朝のしらがゆは いとよくにたる物にぞありける(藤原仲文集)
△赤小豆粥(あかきをもの)
春くればあかきをものゝあへものも 恵にもれぬ御代にあふらし(名物六帖 中編一阿)
△七彦粥(産七夜)
君がよをなゝひこのかゆなゝかへり いはふことばにあえざらめやは
(散木葉謌集 九雑)
△増水ミソウヅ(ゾウスイ)
ほうしごのいねとみしまにもちぬれば みそうづまでもなりにける哉
(散木葉謌集 九雑)
△麺メン
いかなれば世にはおほかるむぎなはの 一房にだにたらぬなるらん
(古今著聞集 十八飲食 法眼長眞)
△素麺商
てうさいのこしきの上のあつむぎの むしあげのせとの月渡るみゆる
(七十一番歌合)
我恋は建仁寺なるさうめむの 心ふとくもおもひよるかな(同)
△菓子
いかにせむこしきにむせる饅頭の 思ひふくれて人の恋しき(同)
△金龍山米饅頭
根本はふもとの鶴やうみぬらん よねまんぢうはたまごなりけり(骨董集 上編上)
△饅頭商
うり尽すたいたう餅やまんぢうの 声ほのか成夕月夜哉(七十一番歌合 上)
思ひわび千度悔てもまんぢうの 残るべきなを猶つゝむ哉(同)
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