03 神饌シンセンとは
 
 わが国の神社神道において、お祭りとか、祈祷をするときには、神前に神饌を奉って
拝礼致します。
 
 神饌とは、神に供える飲食物のことで、供物クモツとか、御食ミケとも云い、普通、稲・米
・酒・鳥獣・魚介・蔬菜ソサイ・塩・水などです。
 
 神饌の種類として、調理の上から、
(1)熟饌ジュクセン「調理饌」
(2)生饌セイセン「丸物」
(3)素饌ソセン「精進料理」
に分けられますが、通常は生饌を献じます。これは、出来るだけ新鮮で、清浄な状態の
食べ物を召し上がっていただくためです。
 
 また、神饌を供する順序は概ね、和稲、荒稲、酒、餅、海魚、川魚、野鳥、水鳥、海
菜、野菜、菓、塩、水とします。
 
〈神饌の品目〉
 
 神饌の品目には、次のようにいろいろあります。
 一社の故実や伝統、しきたりなどに応じて、適宜選びます。
 
△米
(1)稲は、和稲・荒稲、初穂、穎、懸税など
(2)米は、玄米、白米、洗米センマイ、散米サンマイなど
(3)飯は、白飯、赤飯、強飯、小豆飯、粟飯など
(4)粥は、米の粥、小豆粥、粟粥、稗粥など
 
△酒ミキ
(1)白酒・黒酒
(2)濁酒・清酒
(3)醴酒コサケ(一夜酒、甘酒)
(4)薬酒(屠蘇、白散)
(5)堅酒
 
△餅モチ
(1)丸餅(勾餅、沓形餅、鏡餅など)
(2)切餅(熨斗餅、菱餅など)
(3)草餅、大豆餅、小豆餅、黍餅、栗餅など
(4)白餅・赤餅
(5)茅巻チマキ(団子など)
 
△魚
(1)海魚(代表的には鯛、昔は鰒アハビ)
(2)川魚(代表的には鯉、昔は年魚)
(3)貝類其他(蛤ハマグリ、栄螺サザエ、牡蛎カキ、海老、鮑アワビ、雲丹ウニ、煎海鼠イリコなど)
(4)干物、塩物(鮨など)
 
△鳥
(1)野鳥(雉、山鳥など)
(2)水鳥(雁、鴨など)
 
△獣(猪、鹿など)
 
△海菜
(1)奧津藻葉オキツモハ(昆布、和布、海松など)
(2)辺津藻葉ヘツモハ(ひじき、あらめ、海苔など)
 
△野菜
(1)甘菜アマナ(芋、人参、藷、芹、かぶ、なずな、はこべらなど)
(2)辛菜カラナ(大根、芥菜、はじかみなど)
 
△菓
(1)果実(蜜柑、林檎、梨、桃、柿など)
(2)作果(打物、おこし、饅頭、羊羹など)
 
△塩
 
△水
 
〈家庭における神饌〉
 
△毎朝朝食前の神饌は、洗米(又はご飯)、酒、塩、水をお供えします(塩・水だけで
も可)。
 
△その他珍しいもの、初物ハツモノなど季節のもの、到来物なども随時お供えします。
 
〈直会ナオライ〉
 
 祭典、又は拝礼の後は、神様に捧げたこれらの神饌をお取り下げして、一同で頂戴致
します。これを直会と云い、今日の慶びをお祝いするのです。
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