15 野菜「あしらいの花」
 
             野菜「あしらいの花」
 
                     参考:草土出版発行「花図鑑[野菜]」
 
〈あしらいの花〉
 
 プロフィール:器に盛った主材料に添えられる花,葉,実などは,何気ないようです
が,想像以上にその料理を引き立てる役割を担っています。香りや新鮮さを添えて風味
を醸し出します。また,彩りとして添える,色合いにアクセントを付ける,形のバラン
スを執るなど,美しく見せるために用います。一方において,伝統的に縁起を担ぐよう
な深い意味があったり,毒消しなどの目的を持つものもあります。春夏秋冬,それぞれ
の季節らしさを表現するためにも,四季折々のものを用いたいものです。「飾り花」や
「飾りづま」などとして栽培ものが市場に出回っていますが,身近な野生の草花を摘ん
で,個性溢れる演出を楽しんでみて下さい。
 
◎つま菊 マメギクとも
 愛知県から周年出荷される黄色の小輪種で,生花のまま料理の飾りに用いられること
が多い。キク科。
 
◎春ラン
 古くから日本人に愛されていますラン科の宿根草です。香りはあまりなく清楚で上品
な色と花姿を活かしてあしらいます。開花は2〜4月。
 
◎さくら
 花の時期は短いが,葉や花を塩漬けにして色と香りを一年中楽しみます。ヤエザクラ
かオオシマザクラの花を利用します。桜茶,桜ご飯にします。バラ科。
 
◎ぼけ
 一般のボケよりも趣のある野生のクサボケは,真っ赤で小さな五弁花です。春に日当
たりの良い山裾の茂みに咲きます。バラ科。
 
◎ゆず(花柚子)
 夏は緑,冬には熟して黄色い実を付ける,香り高いユズです。花は白色の五弁花で,
春遅く咲きます。中国原産で,奈良時代に渡来したと云います。ミカン科。
 
◎カーネーション(愛染)
 花色と甘い香りを楽しみます。サラダに散らしたり,酒やジュースに浮かして利用し
ます。ローマ時代から香料や甘味料に用いられていました。ナデシコ科。
 
◎あじさいの花
 梅雨の季節に清涼感のある花です。開花から日を追うごとに色が変わるので,別名「
七変化」とも云います。乾燥花は煎じて服用しますと解熱に効果があります。ユキノシ
タ科。
 
◎立桂タツカツラ
 庭や公園などの緑陰樹として広く植栽される身近な木で,4〜5月に赤みを帯びた細
い花を付けます。「桂」は「香出」が語源です。カツラ科。
 
◎青かえで
 瑞々しい青い葉は,和食のアクセントとしてよく利用されます。葉は小さな掌のよう
な形で,「蛙手」が語源です。カエデ科。
 
◎木の芽
 山椒の若葉(地方によってはアケビの芽を云う)のことで,春の香りの代表です。掌
でポンと叩きますと,細胞内の香りが外部に出ます。ミカン科(香辛野菜の項参照)。
 
◎ほおずき 酸漿
 夏らしさを演出する,鮮やかなオレンジ色のナス科の植物です。実を取り出して萼の
中に小さな料理を盛り付ける料理法もあります。

[次へ進む] [バック]