16 野菜「果実的野菜と野菜的果実」
 
           野菜「果実的野菜と野菜的果実」
 
                     参考:草土出版発行「花図鑑[野菜]」
 
〈果実的野菜と野菜的果実〉
 
 プロフィール:一般にフルーツとして食べている「果実」も,植物学に基づいて考え
ますと「野菜」に分類されるものがあり,驚くことがあります。そんな野菜を「果実的
野菜」として特記してみました。例えばメロンやスイカ,イチゴは生産段階においては
野菜として取り扱われています。栽培上の原則を観ても,
 
 @野菜は原則として草本(例外:タラノキやサンショウは木本),果実は原則として
  木本(例外:バナナ,パイナップルは草本)。
 A野菜は原則として一〜二年草(イチゴは多年草ですが毎年株を更新しますので二年
  草的)。
 B野菜の栽培管理は樹(果樹)と根本的に異なる。
 
と云った点が挙げられます。しかし,流通や消費段階においては果物となって,消費者
の手に届くときには野菜としての面影はありません。
 
 それに対する「野菜的果実」とは,果物として食べられることはなく,寧ろ調味料的
に利用される果実を云います。柑橘類の幾つかがこれに当たり,日常的に野菜として扱
われています。
 
 △食べ方,用い方
 イチゴの旬は新年から春で,形が良く,色が濃いくて艶があり,蔕ヘタがピンとしている
ものが新鮮です。傷みやすいので新鮮なうちに食べて下さい。洗うときは,蔕を付けた
まま洗うことが肝心です。蔕を取って洗いますと,水っぽくなりビタミンCも流出しま
す。ビタミンCが100g中80mgと多く,5粒食べれば一日に必要な量が摂れる。
 スイカは叩いた音によって良否を確かめる方法が知られていますが,澄んだ音がする
のは一応合格です。成分の95%が水分,赤色は色素でビタミンA効力はなく,カリウム
が多く体内の塩分を排泄する働きがあり,高血圧にも効果があります。また尿成分を作
るのに関わるアミノ酸のシトルリンも含んでいますので,利尿効果が大きく,腎炎や妊
婦時の浮腫ムクミを取るのに最適です。
 メロンの旬は夏から初秋で,丸みがあって見た目相応の重さがあるものが良質です。
ペクチンやカリウムを多く含みます。
 パパイヤは,熟したものは甘味が増して果肉も柔らかに,未熟なものは緑色をしてい
て甘味が少なく,肉質も硬い。これを野菜として漬物や煮込み料理に利用します。また
パパイヤにはパパインとして蛋白質分解酵素が含まれ,肉や魚など蛋白質食品と一緒に
摂りますと,消化を助けます。パパインは,肉の軟化剤,ビールの混濁除去剤や皮のな
めし剤として工業的に利用されます。
 記載してある柑橘類は,その果汁や果皮などを食酢や料理の風味付けに利用するもの
です。
 
◎アケビ 通草
 山地に自生する蔓性落葉低木で,栽培もされます。春に淡紅紫色の花が咲き,若芽や
秋に熟す果実の皮部を野菜として用います。蔓で篭を編み,茎を薬用(利尿効果)にす
る身近な木です。
 
◎スイカ 西瓜
 アフリカの原産で,砂漠においては飲料として珍重されました。中国にはシルクロー
ドを経て伝わり,「西域の瓜」の意味で西瓜と名付けられました。
 
◎イチゴ 苺
 真っ赤な果肉と独特の甘さが人気のバラ科の植物で,ビタミンCが豊富です。わが国
には江戸時代の終わりにオランダから渡来,オランダイチゴ,クサイチゴと云われてい
ました。
 
◎メロン
 ギリシャ語の melop epon(リンゴのようなウリ)が語源です。ネット(網目)は,メ
ロン自身の亀裂部分に出来た瘡蓋カサブタです。
 
◎野菜用パパイヤ
 実は大きく楕円形で,未熟な実をサラダや漬物の用います。熟すと黄色からオレンジ
色になり,独特の甘い香りと大量の種子が特徴です。
 
◎ユズ 柚子
 酢ミカン類の中においても酸味が強く,爽やかな香りがします。奈良時代頃から料理,
菓子などに用いられて来ました。
 
◎スダチ 酢橘
 9〜10月頃マツタケと同時期に出回ります。果汁はポン酢として鍋物やフグ料理,和
え物などに用い,皮は細かく刻んで舐め味噌ナメミソなどに利用します。
 
◎カボス
 ダイダイの一系統で,ダイダイよりやや苦味のある大分県特産の果実です。皮は七味
唐辛子の材料の用いられ,レモンの代用にも適しています。
 
◎レモン
 インドのヒマラヤ山麓の原産で,わが国へは明治時代に広島に入り,一時は満州へ輸
出もされていました。コレステロールを溶かすビタミンCの宝庫です。

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