14b 野菜「キノコ」
◎ブナシメジ
キシメジ科 地方名:ブナモダシ・ブナワカイ・ニレタケとも
プロフィール:ブナシメジの傘は直径4〜15p,初め丸く,やがて平らに開き,褐色
がかった灰白色で,中央に大理石のような斑紋があります。肉は厚く締まっていて白色,
襞ヒダは白色で細かく,茎は白色でしっかりしています。秋にブナやニレなどの広葉樹の
切り株や倒木に生えます。北半球に分布します。味,香りに癖クセがなく,さっぱりして
いて歯切れが良い。見た目に美しく如何にもキノコらしい形をしているところから,こ
のブナシメジの栽培品に「ホンシメジ」と云う商品名を付けて市販されていますが,野
生のものに比べ幾分風味が劣ります。
△食べ方と効能
ブナシメジの旬は秋から初冬です。これもヒラタケ同様,天然のホンシメジではあり
ませんが,グルタミン酸やアスパラギン酸などの旨味のあるアミノ酸を沢山含んでいる
ので,味は良い。汁物,炊き込みご飯,和え物,天麩羅,炒め物,鍋物などにします。
香りを活かして,あっさりとした味付けに仕上げて下さい。
◎ブナハリタケ
エゾハリタケ科 地方名:カノカ・ブナカノカ・ブナワカイとも
プロフィール:ブナハリタケの傘の直径は4〜10p,扇形から半円形,ほぼ白色で,
後にやや黄色味を帯びます。裏には数oの長さの針状の突起がビッシリ付いています。茎は
なく,木に重なり合うように生え,キノコ全体に強い芳香があります。沢山群生してい
ますと,遠くからでもその香りによって見付けることが出来ます。秋に主としてブナな
どの広葉樹の倒木に発生します。強い香りが鼻に憑くので,普通は一度茹でこぼして調
理します。肉質はしっかりしていて歯応えは良い。屡々ブナハリタケの一部が山吹色に
変色いることもありますが,それは変形菌という菌に侵されたもので,その部分を切り
捨てると心配ありません。
△食べ方と効能
ブナハリタケの旬は秋です。吸水性があるので,絞ってから保存し,また塩漬けや粕
漬けにして長期保存します。天麩羅やフライ,炒め物,佃煮,ピラフ,たれ焼きなどに
合います。香りに個性がありますのだ,油を使った料理,少し酷コクのある味付けの方が
相性が良い。炊き込みご飯にするときは,一度塩蔵したものを塩出しして用いますと,
仄かなマツタケの香りが楽しめます。また,ブナハリタケは長年月の塩蔵に耐え,長期
保存したものは鼈甲ベッコウ色で柔らかい肉質となり,様々な料理に利用出来ます。
◎ツクリタケ(マッシュルーム) 作茸
ハラタケ科
プロフィール:ツクリタケの傘は直径5〜12p,初めは丸く,後に平たく開きます。
肉は白色,紅変性があります。襞ヒダは初めピンクで後に紫褐色になります。茎は太くて
短い。栽培品の多くは白色ですが,肉質が締まって荷傷みの少ないブラウン種もありま
す。アメリカ,中国,オランダ,フランスなどにおいて生産される,世界一生産量の多
いキノコです。欧米においては通称「マッシュルーム」,フランスにおいては「シャン
ピニオン・ド・パリ」と呼んでいます。
傘が丸く,よく締まって表面がすべすべしているものが新鮮です。味はあまりありま
せんが,シコシコした歯触りと,独特の風味があります。よく生のままサラダに用いますが,
調理しますと旨味が出ます。
△食べ方と効能
ツクリタケはわが国においては缶詰が先に出回りましたが,生の方が香りも歯応えも
良く,旬は10〜12月です。白色のホワイト種と茶色のブラウン種があります。ホワイト
種は茎が太く,全体に真っ白で表面がすべすべしているものが良品です。傷や変色のあ
るものは避けます。ホワイト種は切ると直ぐ変色しますので,直ぐにレモン汁を掛けて
下さい。バターソテーやグラタン,ピザ,スパゲッティー,サラダやスープ,カレーや
シチュー,クリーム煮などの煮込み料理にします。ブラウン種は炒め物に向きます。
◎マイタケ 舞茸
タコウキン科 地方名:クロブサ・クロフとも
プロフィール:マイタケは共通の茎から無数に分かれた茎と,その先にできる幾つも
の傘からなり,全体は20〜30p,ときには50pになることもあります。傘は濃い灰色か
淡褐色で,切れ込んだ扇状の傘が幾つも重なり合っています。傘裏は白色で極めて細か
い網目状です。秋にミズナラやクリ,ブナなどの広葉樹の老大木の根元の周辺に生えま
す。発生場所は毎年決まっていて,大きいものは数sになることもあります。味,香り,
歯応えと三拍子揃ったキノコで,大株を見付けたときは嬉しさのあまり舞い踊ると云う
のでこの名前が付けられたと云われています。
△食べ方と効能
マイタケの旬は秋です。茶褐色が濃く,光沢のあるもの,触るとパリッと折れる位のも
のが新鮮です。水分が滲んでいるものは古いものです。新鮮なもので水分が少ないもの
は腐敗しにくく,長時間保ちます。最近は天然ものに近い大型で肉厚の栽培品も出回り,
風味もよくなってきました。身が締まり,歯応えがありますので,鍋物にはぴったりで
す。秋田名物のきりたんぽは,鶏肉やゴボウ,季節の野菜などと一緒に鍋に入れます。
吸物や煮物,和え物,バター炒めなどにもよく合います。火を通し過ぎますと,風味が落
ちます。
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