1402c 野菜「キノコ その2」
 
◎ヤマドリタケ 山鳥茸
 イグチ科 西欧名:セップ・セープ・ポルチーニ・スタインピルツとも
 プロフィール:ヤマドリタケはわが国にも多いイグチの仲間で,全体にずんぐりした
形,淡黄褐色〜茶褐色で,傘の裏は細かい網目状です。フランスにおいてはセップ,ド
イツにおいてはスタインピルツ,イタリアにおいてはポルチーニなどと呼ばれ,西欧に
おいては最高級のキノコとされます。肉質は堅く,歯切れ,風味ともに申し分ありませ
ん。わが国に生えている殆どはヤマドリタケモドキで,セップとよく似ていますが,発
育環境の違いからでしょうか,肉質もあまり堅くならず香りも弱い。わが国において食
用にする地域は少ないが極めて味の好いキノコで,西欧のヤマドリタケに近い風味を持
ちます。
 
 △食べ方と効能
 ヤマドリタケの旬は夏から秋です。イグチ化科キノコ特有のぬめりはあまりなく,ぬ
めりを嫌う西欧人に特に好まれます。香りがよく少しも癖クセがないため,どんな料理に
もよく合います。フランスにおいては大きな傘を利用して,窪みに詰め物をします。豚
挽肉,玉葱,大蒜ニンニク,パセリ,セップの茎を微塵切りにしたものを傘に詰めて,オー
ブンで焼きます。その他,バターで炒めて肉料理の付け合わせにしたり,フライにして
も美味しい。和風の鍋物や煮物,汁物にもよく合います。
 
◎セイヨウショウロ 西洋松露
 セイヨウショウロタケ科 西欧名:トリュフ・トラッフル・トリュッフェルとも
 プロフィール:セイヨウショウロ(トリュフ)は,地面の下に出来る黒いジャガイモ
状のキノコです。高級なフランス料理やイタリア料理には欠かせないトリュフですが,
発生量が少なく,見付けることが難しいため,極めて高価で,キャビア,フォアグラと
並んで世界の三大珍味に喩えられます。料理には,フランスのペリゴール産の黒トリュ
フと,イタリアのピエモンテ産の白トリュフが最上級として用いられます。最近は安価
な中国産も出回っています。トリュフの採集には,トリュフ独特の匂いを嗅ぎ分けるよ
うに訓練された豚や犬を使います。わが国においてもトリュフの仲間は生えています。
 
 △食べ方と効能
 トリュフは強く独特な香りがあるので,他の材料と組み合わせて,その香りを移させ
ることがトリュフ料理の楽しみ方です。フランスにおいては黒トリュフに人気があり,
イタリアにおいては白トリュフを貴重にします。新鮮なものは冬に出回り,傷みやすい
ので,普通瓶詰や缶詰を用います。また切り屑も捨てずにオリーブオイルに漬けて,ト
リュフオイルを作り,香りの移ったオイルは,そのまま料理に振り掛けて使います。サ
ラダやオムレツ,鶏のクリーム煮,卵のココットなど,あまり熱を通さないことが,香
りを残すポイントです。
 
◎アミガサタケ 編笠茸
 アミガサタケ科 西欧名:モリーユ・モレル・モルケルとも
 プロフィール:アミガサタケの傘は淡黄褐色で,周囲は蜂の巣のような穴で覆われ,
高さは8〜20p,茎は傘より淡色,キノコの内部は空洞になっています。グロテスクな
姿に似合わず,西欧においては高級な食用キノコとして,フランス料理やイタリア料理
には欠かせない材料になっています。4〜5月に庭,草地,林内などに生えます。アミ
ガサタケには種類が多く,このほかトガリアミガサタケ,チャアミガサタケなどがあり
ますが,区別しないで利用されています。生のものは脆モロいが,火を通すと弾力が出て,
鶏臓物トリモツのようなシコシコした独特の歯触りがあり,料理に酷コクのある旨味を出します。
通常は乾燥品を戻して料理に用います。
 
 △食べ方と効能
 アミガサタケの旬は春から初夏です。トリュフ程ではないが,ヨーロッパにおいては
高級なキノコに属します。傘の窪み(穴)と茎の株に砂を含んでいることが多いので,
十分に水洗いして,よく水を切って料理します。油と相性がよく,酷コクのある料理に向
きます。アミガサタケをバターで炒めた後,生クリームで煮たものを,バターでよく焼
いたトーストの上に載せて食べる料理は,フランスのジュラ地方の名物料理です。その
他,ソースや煮込み料理,フライやスパゲッティーなどにも合います。
 
◎キヌガサタケ 衣笠茸
 スッポンタケ科
 プロフィール:キヌガサタケは,純白のレースのマントを大きく広げた姿が美しい。
しかし,見掛けとは裏腹に頭部にはグレバと呼ばれる異臭を放つ胞子の粘液があり,遠
くからでもその異臭のために直ぐ分かります。茎は硬質のスポンジ状で白色,晒し鯨の
質に似ています。夏に竹林に生え,極めて短時間に生長します。このキノコに似ている
マクキヌガサタケはレースのマントが短く,針葉樹や広葉樹の林に生え,同様に食べら
れます。異臭のある頭部のグレバを,レースのマントに付けないようにして洗います。
スープなどに用いますと,独特の歯触りと,旨味のある良い出汁が出ます。
 
 △食べ方と効能
 キヌガサタケの旬は初夏から秋です。中国においてはツースンと呼ばれ,生よりも乾
燥品が一般的です。乾燥品の多くは茶色に変色していますが,良質のものはあまり色が
付いていません。一般にはスープに用い,またエビやカニの擂り身をレースのマントに
繰るんで蒸す高級な中国料理もあります。生のものの入手は難しいが,トマトピューレ
や梅酢を使って純白のレースを染めて料理するのも楽しい。茎のシャリシャリとした晒し鯨に
似た歯触りが特徴です。

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