12 野菜「香辛野菜」
 
              野菜「香辛野菜」
 
                     参考:草土出版発行「花図鑑[野菜]」
 
〈香辛野菜〉
 
◎トウガラシ 唐辛子
 ナス科 原産地:熱帯アメリカ
 プロフィール:トウガラシは辛味のある辛味種と,辛味のない甘味種に分けられます。
辛いのが基本的な品種ですが,変種として辛くないものがあります。
 辛味種には,乾燥させて一味や七味に用いられる鷹の爪タカノツメや,本鷹ホンタカ,八房ヤツブ
サ,タバスコ,カイエンペッパーなどがあり,甘味種にはピーマン,パプリカ,伏見甘長
フシミアマナガ,シシトウガラシがあります。
 また,葉を食用とする葉トウガラシには伏見辛フシミカラ,や日光ニッコウが用いられ,伏見辛
の未成熟な実は青トウガラシとして用いられます。その他野観賞用の品種として,辛味
種に属する五色ゴシキと,榎実エノミなどがあります。
 トウガラシの辛味の成分はカプサイシンと云うもので,この成分は血管を広げ,血行
を良くしたり,食欲を増進し消化を良くする作用があると云われています。最近は国内
生産が減り,中国や東南アジアからの輸入が増えています。色が鮮やかで,果形の揃っ
たものを選んで下さい。
 
 △トウガラシの主な品種
 @鷹の爪:七味などの香辛料に用いられます。
 A辛味トウガラシ:未成熟の青いものを利用します。
 B葉トウガラシ:葉を漬物やシソ巻きなどに用います。
 Cシシトウ:トウガラシの甘味種で,仲間にピーマン(果菜類の項参照)などがあり
  ます。
 
 △世界三大香辛料 − トウガラシ・コショウ・カラシ
 
 △食べ方と効能
 トウガラシの旬は夏です。未熟なものは緑色をしていますが,熟すと赤色になり,「
鷹の爪」と呼ばれて市販されます。ふっくらと柔らかく,表面に張りと艶があるもの,
凹みのないものが良品です。
 トウガラシは一般に,香辛料として用いられます。鷹の爪などの辛味種は,辛味を利
かせたい料理のスパイスとして用いられます。中国料理の炒め物や,パスタのソースに
用いることが多く,その場合は,種子を除いて輪切りにし,油が熱くなる前に入れます
と,辛味が十分に出ます。
 未熟な青いトウガラシには,他の野菜以上のビタミンCやカロチンが含まれ,熟して
赤くなりますと,その量は一層増えます。殺菌効果もあり,ハクサイの漬物に入れるの
はそのためです。
 甘味種には,辛味の成分であるカプサイシンが少ないので,煮たり,揚げたり,焼い
たりして,仄かな辛味を楽しむことが出来ます。
 
◎シソ 紫蘇
 シソ科 原産地:地中海沿岸,中央アジア
 プロフィール:縄文時代の貝塚や遺跡からシソの種子が発見され,平安時代以前から
栽培化されたと云われています。わが国においては最も古い野菜の一つであり,咳止め
の薬としても用いられていたようです。古くから親しまれているだけに,その利用法も
豊富で,花・芽・葉何れも食用となります。シソの名は漢字の紫蘇の音読みで,本来は
赤ジソのことをシソと云い,青ジソはその変種です。青ジソは大葉とも云い,香りが良
く,薬味などに用いられ,赤ジソの葉は梅干しや紅ショウガの着色などに用いられます。
また,シソの実は佃煮などに利用され升。
 シソの品種には,縮緬チリメンの有無と色で分かれます。色は緑と紫のほかに,葉の表面
は緑で裏が紫のカタメンシソもあります。葉の縮みの少ない大葉と呼ばれる青ジソと,
縮緬のある赤ジソの栽培が多い。赤ジソの若い芽を紫芽ムラメ,青ジソの若い芽を青芽,熟
さない実を収穫したものを穂ジソ,花が開きかけたものを花穂と呼び,何れもつまやあ
しらいに用いられます。
 
 △シソの区分
 @青ジソ:大葉と呼ばれるものです。
 A赤ジソ:主として着色用に利用されます。
 B穂シソ:刺身のつまなどに利用されます。
 C紫芽ムラメ:アカメとも呼ばれます。
 
 △食べ方と効能
 青ジソは年中出回っていますが,旬は7月〜10月です。
 青ジソは葉が瑞々しい緑色で,裏に黒い斑点のないもの,切り口が黒くないもの
を選んで下さい。保存は濡れた新聞紙に包んで冷蔵保管します。青ジソは天麩羅テンプラや
酢の物,寿司や刺身のつま,素麺ソウメンや冷や奴の薬味などに用います。そのほか,バジ
ルの代わりにスパゲッティに散らしたり,鶏肉や魚を巻いてフライにしたりと,洋食に
も利用されます。千切りにするとき,葉を4〜5枚重ねて太い葉脈を切り落とし,端か
らクルクルッと巻いて切ります。その後,冷水に放しますとシャキッとします。
 赤ジソは6〜8月に出荷され,赤ジソは,梅漬けなどに利用されます。
 青ジソはビタミン類,ミネラル類共に多く,特にカロチンとカルシウムの含有量は野
菜の中でも優れています。
 赤ジソは,カロチンの量は青ジソよりも少ないが,他の栄養素の量は青ジソと変わり
ません。特有の香りは,ペリルアルデヒドと云う成分によるもので,この成分には防腐
作用があるため,魚による中毒を中和するのに役立ちます。刺身のつまとして添えられ
ている青ジソや花穂ジソは,必ず食べるようにしましょう。また,シソの実を絞って採
れた油に抗酸化作用があることから,最近は健康に良い油として人気があります。
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