10b 野菜「中国野菜」
 
◎サイシン 菜心
 アブラナ科 原産地:ヨーロッパ
 プロフィール:サイシンはハクサイ,カブの仲間で,コウサイタイよりも小さめです。
色もコウサイタイが赤紫色なのに対し,サイシンは緑色です。中国においては古くから
栽培されており,中国野菜としてわが国に入って来ました。中国においては薹トウが立っ
たときの花茎と共に蕾ツボミをも食べることから,菜苔ツァイタイと呼ばれたり,種子からナタ
ネ油を採ることから油菜イウツァイ・油菜心イウツァイシンなどと呼ばれます。
 外観は菜の花に似ており,黄色い花を付けます。また葉は光沢のある緑色で,細長若
しくは箆ヘラ形から長楕円形,加熱しますとより鮮やかになります。季節に関係なく一年
中薹トウ立ちするのが特徴です。暑さに強く中国においては広東地方を中心に栽培されて
おり,軽い保温で越冬することから,わが国おいても僅かに栽培されています。主茎を
採りますと,側枝が次々と伸びます。
 
 △食べ方と効能
 サイシンの旬は初春です。サイシンの種子からもナタネ油が採れます。また花蕾は春
のあしらいに利用されます。花が咲いているものは萼が堅くなっていますので,蕾のも
のを選びます。茎は真っ直ぐに伸びて瑞々しい艶があり,葉に萎みや枯れがないものが
良品です。
 葉,蕾,茎はそれぞれ切り分けて下調理します。葉は生では青臭く,蕾には少し苦味
がありますので,生食には向きません。また茎の下部の堅い部分は,薄皮を剥いてから
用います。お浸しや和え物などのときも一旦茹でますと,癖クセがなくて美味しい。茹で
たものは仕上げに加えて,さっと火を通し,味を馴染ませる程度にします。煮過ぎたり,
炒め過ぎたりしないようにしましょう。また茹でるときは,熱湯に塩と油を入れますと,
短時間で色良く茹で上がります。
 カルシウム,ビタミンA効力,ビタミンCが多い。ビタミンAは,油と一緒に摂りま
すと吸収が良くなり,またビタミンCは水に溶けやすいので,茹で湯に油を加え,短時
間に料理することは,栄養素の損失を抑えて吸収を良くすると云う両方の利点がありま
す。
 
◎タアサイ 如月菜キサラギナ・縮み雪菜ユキナとも
 アブラナ科 原産地:中国華中地方
 プロフィール:タアサイは,わが国には1940年頃渡来,早春2月頃に多く収穫される
ので,如月菜と命名され,関東地方北部から東北地方南部に定着し,縮み雪菜と云う名
前で栽培されています。その後日中国交回復の頃,中国から再導入され,タアサイの名
で全国的に栽培されるようになりました。
 葉は丸く,やや長めで濃い緑色,長い葉柄があり葉数が多く,放射線状に潰れたよう
に生長することから,中国においては押し潰された菜と云う意味の名が付いています。
下部が押し潰されたように地を這うもの(如月菜)と,やや半立性のもの(ヒサゴ菜)
があります。堅そうに見えますが,柔らかくて繊維質も少ないので,歯切れの良い野菜
です。
 一般には,軟弱野菜(鮮度が落ちやすい野菜)の一つとして周年栽培されますが,耐
寒性があり,中でも成熟して寒さに遭ったものは,最も美味しいと云われ,関東地方北
部から東北地方南部においては冬期の野菜として栽培されます。
 
 △食べ方と効能
 タアサイは,夏から冬まで長い期間楽しめる緑黄色野菜です。葉の緑が濃く,艶のあ
るもの,チリチリとした皺シワが多いものが良品です。
 葉の緑が濃くしっかりしているため,見た目には堅そうですが,繊維が少なくても柔
らかです。根元に土が付いていますので,一枚一枚剥がして流水で丁寧に洗って下さい。
色を鮮やかに,歯触りをシャキッと仕上げるには,加熱は高温で短時間に料理した下さい。
茹でるときは,たっぷりの熱湯に塩と油を入れて,沸騰点を上げます。
 炒めるときは,油を十分に熱してからタアサイを入れます。塩を少し加えますと色鮮
やかになり,また加熱しますと葉柄も緑色になり,癖クセも少なく,甘味もあるので,ど
んな料理にも合います。
 お浸し,和え物,煮物,炒め物,鍋物のほか,中国料理においてはスープの具や漬物
にもします。魚介類や肉との相性が良く,煮崩れしないのも特徴です。
 ビタミンA効力のあるカロチンの含有量は抜群,ビタミンB1・B2のほか,鉄,カルシ
ウムも豊富です。一年を通して入手しやすく,癖もないため,用いる料理の幅が広く,
利用価値の高い緑黄色野菜と云えます。
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