10a 野菜「中国野菜」
 
◎ツルムラサキ セイロンホウレンソウとも
 和名:バセラ,マルバラナ ツルムラサキ科 原産地:熱帯アジア
 プロフィール:その特有の色合いから人目を引くツルムラサキは,わが国においては
主に観葉植物として,また果汁を染料として用いてきました。しかし,中国野菜が注目
されるようになったことで,健康野菜の一つとして再認識されるようになりました。わ
が国においては,鹿児島地方でよく食べられていたようです。最も古いツルムラサキの
記録は,江戸時代初めの『多識篇』に,「豆留牟良佐岐」と云う記述が残っています。
 ツルムラサキはその名の通り蔓草,蔓は他のものに巻き付きながら1〜4m伸び,色は
艶のある紅紫色,葉は艶のある紫色で,厚く広い卵形です。夏から秋に紅色がかった白
い小花を付け,花が散った後に萼に包まれた球状の果実を付けます。この果実は熟すと
黒紫色に変わって行きます。一般にツルムラサキは,蔓,葉共に紫色のものを云います
が,これ以外に変種として,蔓も葉も緑色で葉が大きく,蔓のあまり伸びないものもあ
ります。
 
 △食べ方と効能
 ツルムラサキには,蔓が赤紫色のものと緑色のものがあり,緑色でもツルムラサキと呼
ぶのは,葉の根元に濃い紫色の実を付ける植物であることからです。わが国においては,
この紫の色素は神事にも用いられ,食用色素にもなります。
 若い茎葉を摘んで熱湯でさっと茹でて料理します。火を通すと,独特のぬめりが出ま
す。火を通し過ぎますと臭みが出て,歯応えも悪くなりますので,さっと茹でる程度に
して下さい。癖クセのある野菜ですが,それが美味しさに繋がります。生のままサラダや
掻き揚げ,炒め物,味噌漬けや粕漬けにします。花芽も刺身のつまになります。茹でた
ものは和え物やお浸しにすると良いでしょう。
 ビタミンA効力があるカロチンやビタミンC,カルシウムが豊富です。
 
◎ヒユナ バイアム・ジャワホウレンソウとも
 ヒユ科 原産地:熱帯アジア
 プロフィール:ヒユナは,古代ギリシャにおいては野菜として栽培されていましたが,
中国においても古くから食用として栽培されてきました。わが国には中国から渡来し,
江戸時代には広く栽培されていました。
 ヒユナの茎は真っ直ぐに立ち,葉は菱状の卵円若しくは長楕円で葉先はやや尖ってい
ます。葉の色は,緑から黄緑,濃緑,帯紫,紫とカラフルで,茎も同様の色をしていま
す。熱帯地方原産ですので,暑さや乾燥に強く,夏の野菜として各地において重宝され
てきました。
 わが国においては淡緑色の品種が一般的で,敢えて採り上げるような味覚の特徴はあ
りません。通常若い株,若い葉を食用としますが,太った茎の皮を剥いで利用すること
も出来ます。赤みのある葉では赤い汁が出ます。野草のイヌビユ,ハリビユ,ホナガイ
ビユなども近縁で,これらは何れも食用となります。ほかに観賞用のケイトウなども近
縁です。
 
 △食べ方と効能
 ヒユナは,若い株は根元から刈り取り,大きくなったものは若い葉を摘み取って食用
にします。
 ホウレンソウと同じように利用できますが,特有の粘りがあるため,食感は少し異な
ります。スープ煮にしますと,粘りが溶け出して薄いとろみが付いて美味しい。その他
汁の具,お浸し,炒め物などにします。茎も皮を剥いで利用できます。
 鉄が豊富で,ホウレンソウの2倍含まれています。その他ビタミンA効力,ビタミン
Cも多い。
 ヒユナの近縁種であるアマランサスも野菜として出回り,お浸しや炒め物などに向き
ます。またアマランサスの種子は穀類の一つとして注目されています。
 
◎キンサイ 芹菜 スープセロリ・中国セロリとも
 セリ科 原産地:中国
 プロフィール:キンサイはセロリの原種に近い野菜です。キンサイの葉は,セロリの
葉より小さいが似ています。茎は空洞(空心)で細く,中には中空でない品種(実心)
もあります。色は濃緑色,緑色,淡緑色,丈は50〜60pです。柔らかく香りが強いのが
特徴で,スープの味を引き立たせるために浮き身にして用いられることから,別名スー
プセロリとも云われます。中国の家庭料理には欠かせない貴重な野菜です。
 
 △食べ方と効能
 キンサイは年中入手できますが,旬は冬です。葉や茎が濃緑色で太く柔らかく,しか
もシャキッと張りのあるものを選んで下さい。保存するときは,通気性のある新聞紙で包み,
冷蔵保管します。保ちはあまり良くありませんので,1週間以内に食べきって下さい。
 形は三つ葉に似ていますが,茎は中心が空洞のものが多く,直径3〜4pです。細い
割に筋は堅く,シャキシャキした歯触りが楽しめます。味は殆どありませんが,強烈な香りが
ありますので,好き嫌いのはっきりする野菜です。香りはセロリに似ていて,マトンや
ラムなど臭いの強い肉の臭い消しに用いられます。
 葉は,茎ほど香りは強くなく,柔らかで軽い苦味があります。薬味的な利用の仕方で,
生のまま細かく刻んで鍋料理のタレに添えることも多い。その他サラダにしたり,スー
プや煮物,炒め物,またお粥に散らして色味と香り付けに用います。茹でてお浸しや
和え物にするときは,加熱し過ぎますと香りがなくなって,くたっとしますので,さっ
と潜らせる程度に止めます。
 ビタミンB2,及びカルシウムやリンなどのミネラルが比較的多く含まれます。
 
◎コウサイタイ 紅菜苔
 和名:紅菜花ベニナバナ,紅菜苔フォンツァイタイ アブラナ科 原産地:中国(揚子江中流地帯)
 プロフィール:コウサイタイは,わが国において最初に作られた中国野菜と云われて
います。第二次世界大戦中に渡来しましたが,なかなか定着せず,本格的な栽培は1970
年代になってからです。和名の紅菜花の名は,葉も茎も鮮やかな赤紫色をしているから
です。コウサイタイは,唐の時代に栽培されたとの記述があるように,古くから親しま
れています。
 花茎の大きさは紙巻き煙草程度,色は鮮やかな赤紫色,寒さに合いますとその色はよ
り濃くなって行きます。冷涼な気候を好み,寒さに比較的強いので,秋から冬にかけて
栽培し,冬〜早春に利用するのが一般的です。また,加熱しますと赤みが抜けて青緑色
に変化すると云う特徴があります。黄色い花は,観賞用としてもなかなかのものです。
ハクサイやカブの仲間です。
 
 △食べ方と効能
 コウサイタイはナバナ同様,春を告げる野菜です。元は種子から油を採る野菜でした
が,茎を食べるようになりました。花が咲く前の蕾ツボミのあるもので,茎は真っ直ぐ伸
びてしっかりしているもの,葉に傷みがなくて瑞々しいものを選んで下さい。出来るだ
けその日のうちに使いきって下さい。風に当たると傷みが早いので,残りましたら新聞
紙に包んで冷蔵保管して下さい。また,茹でてラップに包み,冷凍保存しても良い。使
うときは,凍ったまま加熱します。
 茎が美味しい野菜です。綺麗な紅色をしていますが,加熱しますと色素が溶け出して
緑色になります。また加熱することでぬめりが出て柔らかさを増すので,太い茎でも歯
応え良くね美味しく食べられます。味はナバナと似ていますが,ナバナより甘味があり
ます。ワラビにような香りもあります。ナバナ同様,お浸しや炒め物,スープ煮などに
向きますが,色といい,形といい中国野菜らしい素材なので,カキ油や干し貝柱,干し
エビなど中国の旨味成分と合わせて料理して下さい。中国においては,そのまま切らず
に茹でたり炒めたりして,ボリューム感一杯に卓上に提供します。肉料理の周りに飾り
ますと,彩りも良い感じです。何れにしても,油と相性の良い野菜です。ユニークな料
理としては糠漬けで,塩揉みして糠床に漬けますと,短時間に色良く漬かります。
 ビタミンA・B群,鉄などが多く,中国野菜の中においても栄養価が高い。
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