1002b 野菜「中国野菜 その2」
◎ザーサイ(搾菜)
アブラナ科 原産地:中国
プロフィール:ザーサイは,中国四川省特産の野菜,漬物の名で知られており,肥大
した茎を利用する茎用タカナの一つです。
漬物のザーサイは,瘤コブ状に肥大した茎と根元の部分を干して塩漬けし,中国酒や各
種の香辛料で漬け込んだものです。わが国においては,野菜そのものではなく,この漬
物を輸入しています。
野菜そのものの生産には,肥沃な土地と長期に亘って温暖な気候が続くことが必要で,
わが国においては千葉県館山において栽培されたことがありましたが,経済的に採算が
合わなかったようです。
△食べ方と効能
ザーサイの葉は特有の辛味と風味があり,炒め物や漬物になります。茎の部分(瘤コブ
)は皮が堅いので剥いて用います。生のまま千切りにして,塩で揉むとコリコリの歯応えが
出ますので,そのまま食べられます。またさっと下茹でしたり,湯通しをして,炒め物や
煮物にします。
漬物のザーサイは塩分と辛味が強いので,炒め物やスープに少し加えるだけで,特有
の風味が備わり,中国料理らしい味に仕上がります。
◎チャンチン 香椿 ライデンボクとも
センダン科 原産地:中国
プロフィール:チャンチンは,わが国には室町時代に渡来し,禅寺において栽培され
ていた中国野菜です。チャンチンは本来,落葉性高木ですが,食用にするため葉を摘み
取りますので,伸びずに低木になっています。
新芽は赤くて美しく,ガーリックに似た香りを持ち,香辛料として用いられます。
△食べ方と効能
チャンチンは,若葉と新芽をさっと茹でてから料理します。赤くて美しい新芽と幼柄
には,アントシアニンと云う色素が豊富に含まれていますので,酢湯で茹でたり,酢料
理に利用しますと,鮮紅色になって美しい。仄かにニンニクに似た香りがします。
中国においては香辛野菜として扱われます。家庭においては,油炒めや卵綴じ,汁の
具にすると良いでしょう。
◎マコモタケ マコモ・シナタケ・ちまき草とも
和名:マコモ イネ科 原産地:中国及び東南アジア
プロフィール:マコモは中国揚子江沿岸地域に広く自生しており,栽培の歴史も古い。
わが国に自生するマコモでは,マコモタケは形成しません。マコモタケになるのはヒロ
ハマコモで,その若茎に食用菌のマコモクロホ菌が寄生しますと,その基部2〜3節が
肥大しマコモタケとなります。マコモと云う名は,最初はコメと呼ばれ,その後コモに
変化し,現在のマコモに変化したと云われます。
地域によってはこの葉で粽チマキを包んだことから,ちまき草とも呼ばれます。また,食
用以外にもマコモの枯藁を編んで,敷物にしたものを,神仏に供える饌具として現在も
用いられています。
△食べ方と効能
マコモタケは,生のままでも多少甘味がありますが,加熱しますと一層甘味を増し,
えぐみのない筍のような味になります。淡白で歯触りが良く,筍とトウモロコシを合わ
せたような味と香りがします。食べられるのは,若い茎の根元の部分の苞葉を除いたと
ころです。表皮は剥く必要はありません。切ったら直ぐ酢水に浸けます。生食できます
が,さっと茹でた方が食味が良い。炒め物や煮物,揚げ物,汁の具,また焼いて味噌を
付けて食べても美味しい。
◎マチク(麻竹) [メンマ]
イネ科 原産地:ビルマ,タイ,インド
プロフィール:マチクは中国,台湾,沖縄などで栽培されます。
マチクの筍の先の部分,25〜30pを細切りにして茹で,篭に入れ被いをして重石を置
いて発酵させ,水分が抜けて色が飴色になった頃天日に干し,乾燥させたものをメンマ
と呼んでいます。
わが国にはこの乾燥品が輸入され,その多くが塩漬けにされ,業務用にされています。
市販されている塩漬けのメンマを料理する場合,塩抜きをした後に水で戻してから調理
します。
同属のミノマチクは茎が黄緑色で,濃い緑条を持ち,コロマチクは,各節の基部が膨
出し,観賞用や工芸装飾用として用いられています。
△食べ方と効能
マチクは,筍の部分を食用とし,竹の皮は粽チマキを包むために用いられます。メンマは
ラーメンの具には欠かせません。わが国においては,多くは水煮したものや味を付けて
売られています。ラーメンの具のほか,主に中国料理の炒め物に適しています。
◎コブタカナ
アブラナ科 原産地:中央アジア,中国,インド
プロフィール:コブタカナは,中国から導入された多肉性タカナ類の一つ,葉は広い
楕円形で肉厚,中央脈に瘤コブ状の突起物があるのが特徴です。
最初に導入されたのは第二次世界大戦中で,雲仙コブタカナと名付けられ,九州を中
心に栽培され,順化したものの,広くは普及しませんでした。近年になって中国から再
び導入されました。中国から導入された多肉性タカナ類には,コブタカナの他に結球す
るタイプの結球タカナもあります。
△食べ方と効能
コブタカナの主な利用法は漬物で,瘤コブ状の部分が柔らかく,良質な漬物となりま
す。外葉と共に漬け込むことが出来ます。その他,炒め物として利用しても良いでしょ
う。
◎オオクログワイ 大黒慈姑 シナクログワイとも
カヤツリグサ科 原産地:中国揚子江沿岸
プロフィール:オオクログワイは,わが国のオモダカ科のクワイとは別物で,クログ
ワイ(水田の雑草)の栽培変種です。このオオクログワイは,地下茎の先端部に着生す
る塊茎を食用とします。この塊茎は,直径3〜4pの偏球形で,暗褐色の薄い表皮に包
まれ,内部は白く,歯切れが良く甘味があります。
△食べ方と効能
オオクログワイは,中国料理の炒め物や餡掛け類の多くに利用されています。表皮を
剥き,小さく刻んで用います。カリカリとした食感が楽しめます。その他生食したり,砂糖
漬や煮物にも利用できます。
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