1002a 野菜「中国野菜 その2」
 
◎トウミョウ(豆苗トウミャオ)
 マメ科 原産地:中央アジア〜中近東
 プロフィール:中国料理の中において高級野菜とされるトウミョウは,実はマメ科エ
ンドウの蔓先10p位の若芽を摘み取ったものです。
 トウミョウの専用種として褐豌豆カツエンドウがあり,代用として絹莢も用いられます。褐
豌豆はエンドウよりも小粒です。味はホウレンソウに似ており,香りはサヤエンドウな
どと同じ,エンドウ特有の甘い香りを持っています。グリーンピースやサヤエンドウ(
大莢)などの新芽もトウミョウとなりますが,マメを採るために品種改良されており,
その葉や茎は堅く,また数多く生えないため,あまり適しません。
 
 △食べ方と効能
 トウミョウの旬は春です。先端の若芽だけを摘み取りますので,手間のかかる野菜と
して,中国においては高級品に属します。茎が太く,若芽は瑞々しくて緑色が美しく,
柔らかいものを選んで下さい。育ち過ぎたものは,堅くて筋っぽく,風味も劣ります。
 葉野菜の中においては,味に酷コクがあり,旨味も強い野菜です。香りはキヌサヤに似
ていますが,味や歯触りはホウレンソウにも似ています。青臭さがありますので生で食
べるには適しませんが,加熱し過ぎると,直ぐにくたっとなって香りが逃げますので,
火の通し過ぎに注意して下さい。
 多めの油で一気に炒めます。アクが強いようでしたら,炒めた後に出汁ダシでさっと煮
て,汁気を切って仕上げて下さい。和え物,お浸し,炒め物,蒸し物,スープなど,ど
んな料理にも合います。中国料理のほか,バターソテーにして洋風料理の付け合わせに
利用しても,個性的な美味しさが楽しめます。
 ビタミンCは特に多く含まれています。その他ビタミンA効力とカルシウムも多い。
 
◎黄ニラ(韮黄ジオウホワン) 黄韮 コガネニラとも
 ユリ科 原産地:中国
 プロフィール:黄ニラは,その色が黄色と云うだけで,ほかの普通のニラと同じです。
これは栽培法に特徴があるのです。まず普通にニラを栽培して収穫した後,再び生え出
るときに日光を遮断して育てますと,黄ニラが収穫出来ます。中国においては重要な中
国野菜の一つとして,古くから親しまれています。年中出回りますが,6月から8月頃
のものが香りが良く柔らかです。わが国においては,岡山が黄ニラの生産地として有名
です。
 ニラ特有の香りはありますが,やや穏やかでアクも少なく,ニラの苦手な人にも薦め
られます。日光を遮って栽培されるため,ニラよりも柔らかく甘味があります。栄養野
菜として需要が増え,栽培も盛んになりました。
 
 △食べ方と効能
 黄ニラの旬は春と秋です。折れや萎れがなく,柔らかで色が綺麗なものが良品です。
加熱しますと香りは上品になり,甘さとぬめりが出ます。生食が出来,サラダや鍋の薬
味,青魚の叩きに掛けても良い。また,餃子ギョウザや春巻き,卵焼きの具やスープにし
ても美味しい。茹でて酢醤油で和えたり,炒め物も良い。淡黄色が活きるよう,綺麗な
色の野菜と合わせて,薄い色の味付けで仕上げてみて下さい。肉や魚介類との相性も良
い。
 
◎花ニラ(韮菜苔ジオウツァイタイ・韮花ジオウホウ) 花韮 食用ハナニラとも
 ユリ科 原産地:中国,東部アジア
 プロフィール:花ニラは,食用として古くから栽培されている中国野菜です。若い花
茎と蕾ツボミを食用とすることから,食用ハナニラとも呼ばれます。葉は堅く食用にはな
りません。
 花ニラは,花茎は緑色ですが,その先に白っぽい蕾が付いており,普通のニラに比べ
て,薹トウ立ちするのが早い。わが国においては,可成り以前に台湾から導入されたテン
ダーポールと云う代表的な品種が栽培されています。花茎の先端にある苞葉が開かない
うちに,株元から折り取って収穫します。ニラ特有の香りは弱く,ほんの僅かな香りが
あり,比較的食べやすい野菜です。
 
 △食べ方と効能
 花ニラの旬は冬から初夏です。根元の方から堅くなるので,下の方を触って堅さを確
かめて下さい。蕾の緑が鮮やかで濃く,変色していないものを選びます。入手したその
日に使いきることがベストですが,残りましたら新聞紙に包んで冷蔵保管します。
 生のまま味噌やマヨネーズを付けて食べます。加熱しますとニラの香りはなくなり,
また甘く,柔らかくなります。茹で過ぎに注意します。炒めるときも,強火で一気に炒
めます。
 
◎カイラン(芥藍ヂェラス・芥藍菜ヂェラスツァイ) チャイニーズケールとも
 和名:カランチョウ アブラナ科 原産地:中国南部〜東南アジア
 プロフィール:カイランは暑さに強く栽培も容易です。カイランはキャベツやブロッ
コリーの仲間ですが,結球しません。本葉が数枚になった若い株を刈り取って葉菜とし
ます。薹立ちが始まり,花が数輪咲いたときに,花茎を折って収穫し,若い葉と先端に
付く蕾が食用となります。
 葉にはやや苦味がありますが,加熱しますと消え,広東料理には欠くことの出来ない
中国野菜の一つです。白花系と黄花系があります。
 
 △食べ方と効能
 カイランは葉が青々としていて瑞々しく,茎は真っ直ぐ伸びたもので,太過ぎず,細
過ぎず,柔らかいものが良い。
 葉,茎,花蕾を別々にし,それぞれさっと塩茹でします。茎の太いものは,表皮が堅
いので,さっと茹でて皮を剥いてから使います。茎は煮崩れしにくいので,煮物に用い
ます。葉や花蕾は和え物,炒め物にします。また生のまま揚げ物にもします。
 ビタミンA効力のあるカロチンとビタミンCが多い。
 
◎キンシサイ(黄花菜ホワンホワツァイ・金針菜ジンヂェンツァイ) 金針菜
 和名:ノカンゾウ,萱草 ユリ科 原産地:アジア東部
 プロフィール:キンシサイは,カンゾウの蕾ツボミを乾燥させたものです。カンゾウは
わが国においても本州から九州までの山野ゆ田圃の畦に自生しています。6月から8月
頃の蕾を食用として,栽培します。キンシサイに利用されるカンゾウには,ノカンゾウ
とヤブカンゾウがあります。
 キンシサイの名は,この花の蕾が黄色で細く尖っていることに由来しています。
 栄養素も豊富で,鉄分やカロチン,ビタミンCなども多く含んでいます。昔,中国に
おいては航海の際に乗組員をビタミン欠乏症から守るために,必ず中国茶とこのキンシ
サイを船に積んでいた,と云われております。
 
 △食べ方と効能
 キンシサイは中国からの輸入ものが殆どで,ユリの花と称して売られていることが多
い。良く乾燥していること,細かく砕けていないもの,形が整っているものを選んで下
さい。水に浸けて戻し,水気を十分に切って料理します。炒め物や汁物,煮物などにし
ます。
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