09b 野菜「京野菜」
◎九条クジョウネギ 青ネギとも
プロフィール:京都においては,ネギと云いますと「九条ネギ」を指します。太さ2
p,長さ80p以上の葉ネギで,縁の部分と白い部分の両方を食べます。九条太は5〜6
本,九条細は10本位に枝分かれします。
1280年程前に京都に導入されて以来,栽培され続けていると云う歴史ある野菜です。
江戸時代に九条付近において品質の良いネギが作られましたので,この名が付きました。
伝統的な栽培方法は,収穫まで一年以上を要します。秋に種子を蒔き,春に稚苗を干し
て植付け,冬に収穫します。最近は栽培期間の短い作り方も増え,年中出回るようにな
りましたが,独特の風味は霜に当たらないと生まれません。
△食べ方と効能
九条ネギは,葉の柔らかいものを選んで下さい。
甘味があり,冬の鍋料理には欠かせません。味噌汁には,薬味としてだけでなく,具
にしても良い。その他,煮物や酢味噌和えなどに用います。
◎トウガラシ
プロフィール:トウガラシは品種によって草丈や枝の広がり,果実の形や大きさが違
い,味も辛いスパイス用やピーマンのように辛くないものまで様々です。京都において
は,大別して4種類のトウガラシが栽培されています。中でも圧倒的に多い品種が伏見
トウガラシです。これは果実の長さが10〜15pにもなる最も細長い品種で,「ヒモトウ
」との愛称があります。辛味のない伏見甘,辛味のある伏見辛などが知られますが,何
れも曲がらずに伸びるものが良品です。シシトウガラシの元として知られる田中トウガ
ラシは,果実が小さい。かつては左京区の田中地域において作られていました。他に登
録商標の万願寺トウガラシと鷹ケ峯トウガラシがあります。
△食べ方と効能
辛味のない種類は,そのまま焼いて焼きトウガラシにします。その他,煮物にしたり,
天麩羅にもぴったりで,幅広く調理できるのが魅力です。
葉や茎は佃煮にしますと,辛味を楽しめます。
◎桂ウリ
プロフィール:桂とは京都市左京区にある地名で,世界的に名高い日本庭園「桂離宮
」が築かれていることで知られています。この周辺が桂ウリの原産地です。八条宮家の
造営によるこの離宮は,最初は簡素な建物でした。その様子を智仁親王が「瓜畠のかろ
き茶屋」と称されたと云います。「瓜畠」は昭和初期には,桂村全域から周囲の村に拡
大しましたが,現在は隆盛の面影はありません。
桂ウリはシロウリの一種で,果肉が厚く緻密で弾力性に富みます。香りが良く甘味も
あり,漬物にしても形が崩れない最高の品質を持ちます。古くから,関西地方の代表的
な漬物「奈良漬け」の原料に利用されて来ました。
△食べ方と効能
桂ウリは一般的には,奈良漬けの材料として利用されます。果肉は厚く,歯切れ良い
ウリです。香りが良く,仄かな甘味も感じさせます。
◎柊野ヒイラギノササゲ 三尺ササゲとも
プロフィール:『日本書紀』にも登場するササゲは,古くから人々に親しまれた野菜
の一つです。原産地が賀茂川沿いにある上賀茂神社の北「柊野」の柊野ササゲは,夏の
京野菜です。柊野ササゲは別名三尺ササゲと呼ばれるように,莢サヤの長さが80〜90pに
も達するのが特徴です。
春3月末から4月にかけて種子を蒔き,7月下旬から9月中旬,完熟しないうちに野
菜として収穫します。長い莢が幾筋も垂れ下がる光景は見事で,夏の風物詩です。8月
のお盆に,他の京野菜と一緒に霊前に供える風習は,今も残ります。
△食べ方と効能
柊野ササゲは,普通のサヤインゲンが少なくなる夏に利用されます。煮物やお浸しな
ど,インゲンと同じように調理して良いでしょう。
〈京野菜一覧 − 京都府指定〉
ダイコン:辛味ダイコン,青味ダイコン,時無しダイコン(藤七ダイコン),桃山ダイ
コン(大亀谷ダイコン・ねずみダイコン),茎ダイコン(中堂寺ダイコン・雑煮ダイ
コン),佐波賀ダイコン,聖護院ダイコン
カブ:松ケ崎浮菜カブ(八ツ頭・葉カブ),鴬菜,佐波賀カブ(天神カブ),大内カブ,
すぐき菜,舞鶴カブ,聖護院カブ
漬菜:水菜,壬生菜,畑菜,花菜(伏見寒咲きなたね)
ナス:もぎナス,賀茂ナス,山科ナス
カボチャ:鹿ケ谷カボチャ
トウガラシ:伏見トウガラシ,田中トウガラシ(中獅子・ししとう),万願寺トウガラ
シ,鷹ケ峯トウガラシ
ウリ:桂ウリ
サトイモ:エビイモ
ゴボウ:堀川ゴボウ
ササゲ:柊野ササゲ(三尺ササゲ)
ウド:京ウド
ミョウガ:京ミョウガ
ネギ:九条ネギ
セリ:京ゼリ
クワイ:クワイ
タケノコ:京タケノコ
ジュンサイ:ジュンサイ
[次へ進む] [バック]