09 野菜「京野菜」
 
              野菜「京野菜」
 
                     参考:草土出版発行「花図鑑[野菜]」
 
〈京野菜〉
 
◎金時ニンジン 京ニンジンとも
 プロフィール:お祝いや華やかな膳には,鮮やかな真紅の金時ニンジンが相応しく,
欠かせない存在です。中までも独特の赤い色をしています。この赤が「坂田の金時」の
ようだと,名付けられました。風味に富み甘くて柔らかい。煮崩れしにくいので,関西
地方においてはお正月の「お煮しめ」や「なます」「お雑煮」「関西風ちらしずし」な
どに利用されます。アジア型ニンジンで現存するのは本種のみで,関西地方のみに栽培
されます。7月に入ってから種子を蒔き,11月下旬〜1月にかけて出荷される冬の野菜
です。京都市南部の九条や鳥羽,砂質地の城山町などにおいて生産され,根が長く伸び,
肌理キメが美しく芯まで真赤なものが高く評価されます。
 
 △食べ方と効能
 金時ニンジンは,晩生の細長い色が綺麗なニンジンで,冬が旬,正月料理には欠かせ
ない野菜です。肌が滑らかで艶があるもの,色の深いものを選びます。髭根ヒゲネの痕アト
の窪みの深いものや,皹ヒビ割れのあるものは避けます。
 普通のニンジンよりも柔らかで甘味が強く,火を通すと赤色が一層鮮やかになります。
煮物や汁物,雑煮やかやくご飯に加えますと,彩りが良くなり,特にお目出たい席の京
料理には必ず用いられます。
 赤い色はリコピンによるものです。ビタミンCを酸化する酵素アスコルビナーゼが含
まれています。
 
◎鹿ケ谷シシガタニカボチャ
 プロフィール:鹿ケ谷は京都の地名で,有名な夏の行事の送り火で名高い「大文字山
」の麓辺りを指します。此処において150年も前から作られ,人々に親しまれてきました
カボチャです。形は高さ20p以上,重さ3〜4sのとてもユニークな,デコボコの瓢箪の
ようなカボチャです。肉質が緻密で粘質,煮崩れせず,光沢があります。初めは新緑色
で,完熟しますと表面に白い粉が吹き,地色は淡い柿色になります。収量が少ない上,
病気に弱く,貴重なブランド野菜になりつつあります。
 
 △食べ方と効能
 鹿ケ谷カボチャの旬は夏です。表面の縮緬チリメンが細かく,艶のあるものが良品です。
 肉質は,栗カボチャに比べますと粘質で水分が多く,一般に煮物や天麩羅にします。
煮物にするとき,水から煮ますと煮崩れしやすいので,調味料と出汁を合わせた煮汁を
温めて置き,その中にカボチャを入れて煮ます。
 カロチン,ビタミンB1・B2・Cが豊富に含まれています。
 
◎聖護院カブ
 プロフィール:聖護院カブは,京都を代表する漬物「千枚漬け」の材料として名高い,
アジア型大カブの代表品種です。重さは2s以上,作り方によっては4〜5sにもなる
日本一の大きなカブです。聖護院カブは,京都市左京区聖護院地区において品質の良い
ものが採れたことから名付けられましたが,元々滋賀県堅田地方に伝わる近江カブです。
これを1700年代の享保年間に聖護院の篤農家伊勢屋利八が持ち帰り,栽培を続けるうち
にだんだんと円形になり,更に改良が加わって今の大きさの偏円形になってと云います。
現在の主産地は京都府丹後の弥生町,中部の日吉町・亀岡町などです。8月下旬から9
月上旬に種蒔きし,11月中旬以降に収穫します。
 
 △食べ方と効能
 聖護院カブは丸くて艶があり,白いもの,ずしりと重いものが良品で,茎や葉がピンと
しているものが新鮮です。肉質は肌理キメが細かく,甘味があります。煮崩れしにくいの
で,煮物や蒸し物に向きます。大きさを活かして,薄切りにしたカブを熱湯でさっと茹
でて,青菜を巻いたり,雲丹ウニや明太子を包みますとお洒落な前菜になります。葉も柔
らかくて美味しいので,煮物やお浸しにします。輪切りにして昆布,味醂,酢で漬けた
千枚漬けは,京都の名産です。
 根の部分にはミネラル,ビタミン類ともにあまりありません。葉にはビタミンC,カ
ロチン,カルシウムが多い。
 
◎聖護院ダイコン
 プロフィール:聖護院ダイコンは,子供の頭ほどある大きな丸いダイコンです。
 聖護院カブ同様,尾張の国から奉納された細長い宮重ダイコンを聖護院において作っ
ているうちに,だんだん丸くなってきたと云います。品種には根部がやや偏円の早生系
統と,やや長い楕円形の晩生系統があります。何れも水田において作付けされ,8月下
旬からの種子蒔きに間に合うよう,極早生の水稲を前作します。肥えた土壌でじっくり
育ち,寒い冬に収穫します。主産地は京都府南部の淀周辺で,淀ダイコンの名で京阪神
市場に出回っています。
 
 △食べ方と効能
 聖護院ダイコンの旬は秋から冬になけてです。普通のダイコンと同じで,葉が瑞々し
く,濃い緑色で黄ばんでいないこと,根は丸くて表面が滑らかなもの,白くて張りのあ
るものが良品です。水分が蒸発しやすく,葉が付いていますと葉に水分を取られて,根
にスが入ってしまいますので,葉は切り落として新聞紙に包み,冷暗所で保存します。
肉質が柔らかく甘味が強い。煮崩れしにくいので,煮物やふろふきには最適です。聖護
院カブの代わりに,千枚漬けに利用されることもあります。
 葉にはビタミンC,カルシウム,カロチンが多い。根には澱粉の分解酵素アミラーゼ
が含まれ,澱粉の消化を助けます。
 
◎堀川ゴボウ
 プロフィール:堀川ゴボウは長さ約60p,直径6〜9p,重さ1s程度の丸太棒のよ
うなゴボウです。このゴボウは,豊臣秀吉の造った聚楽第などを取り壊した後,その堀
を埋め立てて作ったと云われることから,別名を聚楽ジュラクゴボウとも云います。根の先
端は蛸の足状に枝分かれし,胴体は中が空洞になっていてブヨブヨと柔らかい感触がしま
す。この風貌からは意外ですが,一年以上の歳月と手間暇要けて育て上げる,最高に贅
沢なゴボウなのです。前年の秋に種子蒔きし,育てた株を一旦掘り上げて,翌年6月に
植え替えし,11月上旬〜12月下旬にかけて収穫します。土壌の質が大事で,有機質に富
んだ,通気・排水・保水性の良い土が求められます。現在は京都市左京区の一乗寺周辺
と大江町,舞鶴町において丹念に栽培されます。
 
 △食べ方と効能
 堀川ゴボウの旬は秋から冬にかけてです。堀川ゴボウはスの入ったような孔がある,
大型のゴボウです。太さが均一で細くないもの,真っ直ぐに伸びているものを選んで下
さい。
 見た目はごつい感じを受けますが,味も香りも良く,普通のゴボウより柔らかい。普
通のゴボウ同様,皮の部分に風味がありますので,泥を束子で洗い流したら,皮は包丁
の背でこそげ落とすようにきます。アクがつよいので,切ったら直ぐに酢水に晒します。
また茹でるときも,酢湯で茹でます。多くは,煮しめやたたきにするほか,孔(穴)の
中に肉やエビなどを詰めて煮物にします。
 食物繊維,カルシウムが多い。炭水化物の一種イヌリンが含まれ,腎臓に良いとされ
ています。
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